救急科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:53

J&Jの新型コロナワクチン、 安全性と免疫原性を確認/NEJM

 開発中の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の新規ワクチン候補Ad26.COV2.Sは、18~55歳および65歳以上のいずれの集団においても、良好な安全性と免疫原性プロファイルを示すことが、オランダ・Janssen Vaccines and PreventionのJerald Sadoff氏らが行ったCOV1001試験の中間解析で明らかとなった。これらの知見は、このワクチンのさらなる開発の継続を支持するものだという。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2021年1月13日号に掲載された。Ad26.COV2.Sは、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)の完全長・安定化スパイク(S)蛋白質をコードする遺伝子組み換え非増殖型アデノウイルス血清型26(Ad26)ベクターで、武漢株の最初の臨床分離株に由来する。Ad26ベクターは、欧州医薬品庁(EMA)の承認を受けたエボラワクチンや、RSウイルス、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、ジカウイルスのワクチン候補として使用されており、Ad26ベクターをベースとするワクチンは一般に安全で、免疫原性が高いとされる。

コロナ受け入れ病院の緊急支援金、申請は2月まで/日医

 日本医師会・松本 吉郎常任理事が、新型コロナ患者受け入れ病床のさらなる確保を目的とした緊急支援事業補助金について記者会見で解説した。なお、この補助金は昨年末に厚労省から通知が出され、1月7日に緊急事態宣言の発令を受け改正されたもの。この度、対象条件などを明確化したリーフレットが発行された。申請期限は2月28日まで。  補助金の対象医療機関は、病床が逼迫している都道府県において新型コロナ患者・疑い患者の受け入れ病床を割り当てられている医療機関とされ、12/25~2/28までの最大確保病床数に応じて補助額の上限が計算される(12/24以前から継続している確保病床も対象となる)。

院外心停止、蘇生中の亜硝酸ナトリウムは入院時生存を改善せず/JAMA

 院外心停止患者において、亜硝酸ナトリウムの投与はプラセボと比較して、入院までの生存を改善しないことが、米国・ワシントン大学のFrancis Kim氏らによる第II相無作為化二重盲検プラセボ比較臨床試験の結果、明らかとなった。心停止の動物モデルでは、蘇生中の亜硝酸ナトリウムの治療的投与により生存率が改善することが認められているが、臨床試験における有効性の評価はこれまで行われていなかった。著者は今回の結果を受け、「院外心停止において蘇生中の亜硝酸ナトリウム投与は支持されない」とまとめている。JAMA誌2021年1月12日号掲載の報告。

コロナ病床は簡単には増やせない、医療壊滅を防ぐために/日医

 感染者数の増加が続き、各地で医療体制のひっ迫が叫ばれる中、日本の医療体制の在り方についても様々な意見が報道・発信されている。1月13日の日本医師会定例記者会見において、中川 俊男会長は改めて国民に対し協力を要請するとともに、日本の医療提供体制の現状を説明し、日医として引き続き行っていく働きかけ、施策について説明した。  公立・公的等病院の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)受け入れ割合が約70~80%である一方、民間病院が約20%というデータに対し、より多くの民間病院が新型コロナ患者を受け入れるべきという意見がある。

「時間軸を考えた急性心不全治療」でも病態の把握は必要である(解説:原田 和昌 氏)-1343

わが国の代表的な登録研究である、東京都CCUネットワーク登録において急性心不全患者(平均77歳)の院内死亡率は約8%と依然として高く、いくつかの心不全登録研究における30日の再入院率も5~6%で近年まったく改善していない。ガイドラインでは、中用量の利尿薬、早期の硝酸薬開始、必要なら非侵襲的陽圧呼吸(NPPV)、増悪因子(ACS、AF、感染など)の探索と治療を推奨している。ELISABETH試験は、Mebazaa氏がフランスの15施設にて行った、クラスター(施設などの一つのまとまり)レベルで介入時期をランダム化し、順番に観察期から介入期に移行(介入の導入時期をずらして順次適用)し、介入の優越性を検定する非盲検のデザインの試験である。救急入院した高齢者急性心不全患者の予後を、(投与時間も規定されている)推奨の治療セットが改善するかを調べたが、事前規定の治療セット群と、担当医に治療を任せた群とで、生存日数、30日の再入院率に差はなかった。

高齢COVID-19患者、72時間以内の回復期血漿投与で重症化半減/NEJM

 重症化リスクの高い65歳以上の軽症新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者において、発症後早期の高力価回復期血漿療法により、COVID-19の重症化が抑制されることが明らかとなった。アルゼンチン・Fundacion INFANTのRomina Libster氏らが、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)特異的IgG抗体価の高い回復期血漿の無作為化二重盲検プラセボ対照試験の結果を報告した。COVID-19の進行を抑える治療はまだ見つかっておらず、これまで入院患者への回復期血漿の投与は成功していない。研究グループは、抗体は疾患の経過の早期に投与される必要があるのではと考え、軽度の症状発症後72時間以内に回復期血漿療法を開始する検討を行った。NEJM誌オンライン版2021年1月6日号掲載の報告。

COPD急性増悪、入院患者の約6%が肺塞栓症/JAMA

 呼吸器症状の急性増悪で入院した慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者において、あらかじめ定めた診断アルゴリズムを用いると、5.9%の患者に肺塞栓症が検出された。フランス・Centre Hospitalo-Universitaire de BrestのFrancis Couturaud氏らが、同国内の病院7施設で実施した前向き多施設共同横断研究「prevalence of symptomatic Pulmonary Embolism in Patients With an Acute Exacerbation of Chronic Obstructive Pulmonary Disease study:PEP研究」の結果を報告した。COPDで呼吸器症状が急性増悪した患者における肺塞栓症の有病率はこれまで明らかになっておらず、COPDの急性増悪で入院した患者に対していつどのように肺塞栓症のスクリーニングをするかが課題であった。JAMA誌2021年1月5日号掲載の報告。

新型コロナ、再入院しやすい患者の特徴は?

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の初発感染で入退院した患者のうち、9%が退院後2ヵ月以内に同じ病院に再入院していたことが明らかになった。また、複数の病院で患者の1.6%が再入院していた。再入院の危険因子には、65歳以上、特定の慢性疾患の既往、COVID-19による初回入院以前の3ヵ月以内の入院、高度看護施設(SNF:skilled nursing facility)への退院または在宅医療への切り替えが含まれていた。米国疾病予防管理センター(CDC)のMorbidity and Mortality Weekly Report(MMWR)11月13日号での報告。  CDC研究班は、Premier Healthcare Database の電子健康記録と管理データを使用し、退院、再入院のパターン、およびCOVID-19による初回入退院後の再入院に関連する人口統計学的および臨床的特徴を評価した。

Moderna社mRNAワクチン、3万例超で94.1%の有効性/NEJM

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する、Modernaのワクチン「mRNA-1273」の有効性(重症化を含む発症の予防効果)は94.1%に上ることが、3万例超を対象にした第III相無作為化プラセボ対照試験で明らかになった。米国・ブリガム&ウィメンズ病院のLindsey R. Baden氏らが報告した。安全性に対する懸念は、一過性の局所および全身性の反応以外に認められなかったという。mRNA-1273ワクチンは、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)の膜融合前安定化スパイクタンパク質をコードする脂質ナノ粒子カプセル化mRNAベースのワクチンで、2020年12月に米国では緊急使用の承認が発表されている。NEJM誌オンライン版2020年12月30日号掲載の報告。

人工呼吸器未装着COVID-19入院患者、トシリズマブで重症化を抑制/NEJM

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)肺炎入院患者(人工呼吸器は未装着)において、トシリズマブは人工呼吸器装着または死亡の複合アウトカムへの進行を減らす可能性が示されたが、生存率は改善しなかった。また、新たな安全性シグナルは確認されなかった。米国・マウントサイナイ医科大学のCarlos Salama氏らが389例を対象に行った無作為化試験の結果で、NEJM誌2021年1月7日号で発表された。COVID-19肺炎ではしばしば強い炎症状態が認められる。COVID-19の発生率には、十分な医療サービスが受けられない人種および民族のマイノリティ集団における不均衡がみられるが、これらの集団のCOVID-19肺炎入院患者について、IL-6受容体モノクローナル抗体トシリズマブの安全性と有効性は確認されていなかった。