救急科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:95

敗血症性ショックへのバソプレシンの腎不全改善効果は?/JAMA

 敗血症性ショック患者に対する昇圧薬の1次治療では、バソプレシンの腎不全の改善効果はノルエピネフリンを上回らないことが、英国インペリアル・カレッジ・ロンドンのAnthony C Gordon氏らが実施したVANISH試験で示された。研究の成果は、JAMA誌2016年8月2日号に掲載された。敗血症性ショックには感染症治療に加え輸液および昇圧薬の投与が行われる。米国では昇圧薬の1次治療はノルエピネフリンが推奨されているが、バソプレシンは糸球体濾過量の維持や、クレアチニンクリアランスの改善の効果がより高いことが示唆されている。

急性呼吸不全のICU入院患者に標準化した多面的リハビリテーションの早期介入を行うと入院期間を短縮できるのか?(解説:山本 寛 氏)-572

急性呼吸不全の患者の予後は不良であり、もし生存しても身体機能の低下が待っている。こうした患者の身体機能を維持するためには、患者ごとに異なるアプローチが必要なことも多い。これまでにも、ICU入院患者に対する身体リハが入院期間を短縮したり、身体機能を改善させたりといった効果が報告されてはいるが、異論もあるところである。標準化された多面的なリハビリテーションによる早期介入が、ICUに入室した急性呼吸不全の患者の転帰を改善させるかもしれないと考えた著者らは、急性呼吸不全患者に対して、標準化された多面的なリハビリテーション(Standardized rehabilitation therapy;SRT)で早期介入を行った場合と、通常のICUケアを行った場合とを比較検討した。

韓国のMERSアウトブレイクから得た教訓/Lancet

 2015年に韓国で中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)感染症の大規模なアウトブレイクが発生した。韓国・成均館大学校医学部/サムスン医療センターのSun Young Cho氏らはアウトブレイク疫学調査の結果、過密な緊急救命室(ER)に入室した1人の感染患者からの大規模伝播である可能性が大きいことが示されたと報告した。著者は、「調査の結果は、医療施設は世界的視野の下で、新興感染症への備えをする必要があるという確たる証拠を提示するものであった」とまとめている。Lancet誌オンライン版2016年7月8日号掲載の報告。

ICU患者家族への緩和ケア医の介入、逆効果の場合も/JAMA

 集中治療室(ICU)に入室し長期間の人工呼吸器装着が必要となったクリティカルな患者の家族に対して、緩和ケア専門医による面談などの介入は、ICUスタッフによるルーチンの面談などと比べて、不安やうつを軽減せず、むしろ外傷後ストレス障害(PTSD)症状を増す可能性があることが、米国・ノースカロライナ大学のShannon S. Carson氏らが行った多施設共同無作為化試験の結果、示された。JAMA誌2016年7月5日号掲載の報告。

重症外傷患者への即時全身CTは有用か/Lancet

 重症外傷患者に対する即時の全身CTスキャン診断は、標準放射線精密検査を行った場合と比較して、院内死亡の低下には結び付かないことが、オランダ・アムステルダム大学医療センターのJoanne C Sierink氏らによる無作為化試験の結果、示された。先行研究において、外傷患者の初期評価における、全身CTスキャンの生存へのベネフィットが示唆されていた。ただし、レベル1のエビデンス報告はなかった。Lancet誌オンライン版2016年6月28日号掲載の報告。

ATACH-2とINTERACT2:脳出血の急性期に血圧をどう管理すべきか?(解説:有馬 久富 氏)-563

急性期脳出血に対する、積極的降圧療法の効果を検討したATACH-2試験の結果が、N Engl J Med誌に掲載された。ATACH-2は、無作為化オープン比較試験である。発症4.5時間以内で、収縮期血圧180mmHg以上の脳出血患者が、収縮期血圧110~139mmHgを目標とする積極的降圧療法群と、140~179mmHgを目標とする通常治療群に無作為に割り付けられた。

カテーテル関連尿路感染症の予防プログラム(解説:小金丸 博 氏)-555

カテーテル関連尿路感染症は、デバイスに関連して起こる代表的な医療関連感染症の1つである。医療関連感染症を減少させることは非常に重要な課題であり、国を挙げて取り組みが行われている。本論文では、米国において国家的プロジェクトとして行われているCAUTIの予防プログラムが、非ICU患者における尿道カテーテルの使用率およびCAUTIの発生率を有意に低下させることが示された。

急性期脳出血に対する積極的降圧療法は有効か?/NEJM

 超急性期脳出血患者において、ニカルジピンによる収縮期血圧140mmHg以下への積極的降圧療法は、140~179mmHgを目標とした標準降圧療法と比較し、死亡や高度障害は減少しなかった。米国・ミネソタ大学のAdnan I. Qureshi氏らが、多施設共同無作為化非盲検比較試験ATACH-2(Antihypertensive Treatment of Acute Cerebral HemorrhageII)の結果、報告した。脳出血急性期の収縮期血圧の降圧目標については、INTERACT-2試験にて、発症後1時間以内に140mmHg未満に下げることで3ヵ月後の転帰を改善する傾向が示されたが、これまで推奨の根拠となるデータには限りがあった。NEJM誌オンライン版2016年6月8日号掲載の報告より。