救急科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:95

ICU免疫不全患者の急性呼吸不全、非侵襲的換気療法の有効性/JAMA

 急性呼吸不全で低酸素血症を呈するICU入室の免疫不全患者において、早期の非侵襲的換気療法は酸素療法単独と比較して28日死亡率を低下しなかったことを、フランス・Saint-Louis University HospitalのVirginie Lemiale氏らが無作為化試験の結果、報告した。ただし、試験の検出力は限定的なものであったとしている。同患者に対しては、死亡率を低下するとして非侵襲的換気療法が推奨されている。一方で、その有効性については不明なままでもあった。JAMA誌オンライン版2015年10月7日号掲載の報告。

カテーテル関連感染症、クロルヘキシジン消毒で大幅減/Lancet

 カテーテル挿入前に、皮膚消毒をクロルヘキシジン・アルコールで行うと、ポビドンヨード・アルコールを使った場合に比べて、カテーテル関連感染症リスクは85%低下することが示された。フランス・CHU de PoitiersのOlivier Mimoz氏らが、2,546例を対象とした無作為化比較試験の結果、報告した。結果を踏まえて著者は、「血管内カテーテル関連感染症予防のためにも全例について、皮膚消毒はクロルヘキシジン・アルコールを用いるべきである」と述べている。Lancet誌オンライン版2015年9月17日号掲載の報告より。

中心静脈カテーテル挿入、鎖骨下静脈が低リスク/NEJM

 中心静脈カテーテル(CVC)の挿入3部位別のリスクについて検討した結果、鎖骨下静脈へのカテーテル挿入が、内頸静脈または大腿静脈と比べて、血流感染および症候性血栓症のリスクが低いことが明らかにされた。気胸のリスクは高かった。フランス・CHU de CaenのJean-Jacques Parienti氏らが多施設共同無作為化試験の結果、報告した。CVCでは鎖骨下静脈、内頸静脈、大腿静脈の3部位への挿入が一般的に行われているが、いずれも重大合併症の可能性が指摘されていた。NEJM誌2015年9月24日号掲載の報告。

プライマリケアでの肺塞栓症診断予測、Wells基準が有用/BMJ

 プライマリケアで容易に適用できる肺塞栓症の診断予測モデルは5つあり、的中率はいずれも類似しているが、偽陰性率が低いという点でWells基準のモデルパフォーマンスが最良であることが示された。オランダ・ユトレヒト大学医療センターのJanneke M T Hendriksen氏らが、システマティックレビューとプライマリケア設定での妥当性確認調査を行い明らかにした。プライマリケアでは、Wellsスコア4以下でDダイマー検査陰性であれば約10人に4人の割合で、安全に肺塞栓症を除外できる。ほかにも肺塞栓症の診断予測モデルは開発されているが、2次医療で検証されたもので、プライマリケアでの臨床能は不明であった。BMJ誌オンライン版2015年9月8日号掲載の報告より。

小児の院内心停止、アドレナリン投与早いほど転帰良好/JAMA

 小児院内心停止に対するエピネフリン(アドレナリン)の早期投与は、生存退院率や自己心拍再開率など、アウトカムを有意に改善することが示された。米国のベス・イスラエル・ディーコネス医療センターのLars W. Andersen氏らが、約1,600例の小児患者について行った試験の結果、明らかにした。これまでの検討では、成人患者について、院内心停止患者に対するエピネフリン投与の遅延が生存率低下に関与していることは知られていたが、小児患者については不明であった。JAMA誌2015年8月25日号掲載の報告より。

心肺停止に遠慮は無用(解説:香坂 俊 氏)-410

以前「心臓マッサージは深度5cmで毎分100回:その自動化への課題」で書かせていただいたが、院外心肺停止症例の蘇生率はまだ低い域に留まっている(生存退院率2~4%程度)。その蘇生率向上のため、(1)プロトコルの簡便化や(2)AEDの設置などが行われているが、何よりも大切なのは「適切な」心肺蘇生(CPR)を「速やか」に開始することである。

バルサルバ法の上室頻拍への効果、体位修正で改善/Lancet

 上室頻拍の緊急治療法として推奨されるバルサルバ法について、施行時体位の修正により効果が改善することが示された。標準法では息こらえ時の体位は半臥位だが、修正法は息こらえ時に仰向け下肢挙上の姿勢に体位を変換するというもの。英国・王立デヴォンエクセター病院NHS財団トラストのAndrew Appelboam氏らが無作為化試験を行い報告した。バルサルバ法は、上室頻拍時の国際的に推奨される緊急治療法だが、臨床における効果は乏しく(5~20%)、アデノシンなど他の治療を必要とし、患者が不快感を感じることも多いとされる。Lancet誌オンライン版2015年8月24日号掲載の報告より。