救急科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:93

「コード・ブルー」医療監修、松本 尚氏に聞くドラマの裏側

 テレビドラマでは、やればおおむね当たると言われている「職業モノ」が2つあり、その1つが医療ドラマである(ちなみにもう1つは刑事ドラマ)。この夏、『コード・ブルー~ドクターヘリ緊急救命~THE THIRD SEASON』(フジテレビ系列)が好評だ。本作は9年前のシーズン1、7年前のシーズン2に続く3作目。月曜9時枠としては硬派路線で、医療シーンが忠実に作り込まれているのが特徴だが、そのリアリティーを下支えしているのが医療監修である。今回、本作の医療監修を務め、自身も国内のフライトドクターの第一人者である松本 尚氏(日本医科大学千葉北総病院 救命救急センター長)に、医療者の視点からみたドラマの裏側についてお話を伺った。

血管拡張性ショックにアンジオテンシンIIは有用か/NEJM

 高用量の従来の昇圧薬に反応しない血管拡張性ショック患者に対し、合成ヒトアンジオテンシンII薬(LJPC-501)が血圧を効果的に上昇したことが、米国・クリーブランドクリニックのAshish Khanna氏らによる無作為化二重盲検プラセボ対照試験「ATHOS-3」の結果で示された。高用量の昇圧薬に反応しない血管拡張性ショックは、高い死亡率と関連しており、本検討の背景について著者は次のことを挙げている。現在利用可能な昇圧薬はカテコールアミン(交感神経刺激薬)とバソプレシンの2種のみで、いずれも高用量では毒性作用が強く治療領域が限られている。また、アンジオテンシンII薬は、低血圧発症時のホルモンのはたらきをヒントに開発が進められ、カテコールアミンとバソプレシンへの追加投与で有用性を検討したパイロット試験で、カテコールアミンの用量減少が可能なことが示唆されていた。NEJM誌2017年8月3日号(オンライン版2017年5月21日号)掲載の報告。

院外心停止後の低体温療法、24時間 vs.48時間/JAMA

 院外心停止患者に対する低体温療法の、至適施行時間を検討する国際多施設共同無作為化試験が、デンマーク・オーフス大学病院のHans Kirkegaard氏らにより行われた。国際的な蘇生ガイドラインで推奨される標準の24時間と、より長時間の48時間施行を比較した結果、長時間の施行としても6ヵ月後の神経学的アウトカムは、改善を示したが有意差は認められなかった。しかしながら結果について著者は、「本試験は、臨床的に意味のある差の検出能に限界があり、さらなる検討を行うことが是認される結果であったと思われる」と述べている。JAMA誌2017年7月25日号掲載の報告。

「働き方改革」は希望か、懸念か?勤務医1,000人に聞いた実態と本音

 来月召集される秋の臨時国会の焦点となっている「働き方改革」。昨年、電通社員の過労による自死事件でにわかに長時間労働の実態と弊害がクローズアップされ、見直しの機運が高まっている。そして、この動きは医療界にも少なからず影響を及ぼすことになるだろう。そこでケアネットでは、CareNet.comの医師会員を対象に働き方をめぐるアンケート調査を実施し、1,000人の労働事情について聞いた。

急性脳卒中後の頭位、仰臥位 vs.頭部挙上のアウトカムを検討(中川原 譲二 氏)-703

急性脳卒中後の頭位について、仰臥位は脳血流の改善に寄与するが、一方で誤嚥性肺炎のリスクを高めるため、臨床現場ではさまざまな頭位がとられている。オーストラリア・George Institute for Global HealthのCraig S. Anderson氏らは、急性虚血性脳卒中患者のアウトカムが、脳灌流を増加させる仰臥位(背部は水平で顔は上向き)にすることで改善するかどうかを検討したHead Positioning in Acute Stroke Trial(HeadPoST研究)の結果をNEJM誌2017年6月22日号で報告した。

敗血症に対する初期治療戦略完了までの時間と院内死亡率の関係(解説:小金丸 博 氏)-700

敗血症は迅速な診断、治療が求められる緊急度の高い感染症である。2013年に米国のニューヨーク州保健局は、敗血症の初期治療戦略として“3時間バンドル”プロトコールの実施を病院に義務付けた。“3時間バンドル”には、(1)1時間以内に広域抗菌薬を投与すること、(2)抗菌薬投与前に血液培養を採取すること、(3)3時間以内に血清乳酸値を測定すること、が含まれる。さらに収縮期血圧が90mmHg未満に低下していたり血清乳酸値が高値の場合は、“6時間バンドル”として急速輸液(30mL/kg)や昇圧剤の投与、血清乳酸値の再測定を求めている。これらの初期治療戦略が敗血症の予後を改善するかは、まだ議論のあるところだった。

急性脳卒中後の体位、仰臥位vs.頭部挙上/NEJM

 急性脳卒中後の治療24時間における患者の体位を、仰臥位とした場合と、30度以上の頭部挙上とした場合について、障害のアウトカムに差は認められなかった。中国・George Institute for Global HealthのCraig S. Anderson氏らが、急性虚血性脳卒中患者のアウトカムが、脳灌流を増加させる仰臥位にすることで改善するかどうかを検討したHead Positioning in Acute Stroke Trial(HeadPoST試験)の結果、報告した。急性脳卒中後の体位について、仰臥位は脳血流の改善に寄与するが、一方で誤嚥性肺炎のリスクがある。また、ガイドラインはあいまいで、臨床現場ではさまざまな体位がとられている。NEJM誌2017年6月22日号掲載の報告。

蜂窩織炎の初期治療にMRSAカバーは必要か?(解説:小金丸 博 氏)-691

蜂窩織炎の原因微生物を特定することは一般的に困難であるが、膿瘍形成のない蜂窩織炎の原因菌で最も多いのはA群溶連菌などのβ溶血性レンサ球菌と考えられている。そのため米国感染症学会(IDSA)のガイドラインでは、貫通性の外傷や注射薬物使用者などでない場合、レンサ球菌をターゲットに初期抗菌薬を選択することを推奨している。しかしながら、近年、市中感染型MRSAの増加が問題となっており、蜂窩織炎の初期治療でMRSAをカバーできる抗菌薬を使用すべきか議論になっていた。

敗血症の治療は早めるほどよい?/NEJM

 敗血症の治療において、3時間ケアバンドルの完了と抗菌薬投与をより早めることは、院内死亡率の低下と関連することが示された。なお、静脈内輸液の初回ボーラス投与完了を早めることは、関連していなかったという。2013年、米国ニューヨーク州は医療機関に対して、敗血症の迅速な同定と治療のためにプロトコルに従うことを義務づけたが、敗血症の治療を早めることが患者の転帰を改善するかについては議論されていた。米国・ピッツバーグ大学のChristopher W. Seymour氏らは、義務化後の状況を調査、検討した。NEJM誌2017年6月8日号(オンライン版2017年5月21日号)掲載の報告。

蜂窩織炎、ST合剤追加は必要か/JAMA

 単純性蜂窩織炎の抗菌薬治療では、セファレキシンにスルファメトキサゾール・トリメトプリム配合薬(ST合剤)を併用しても、臨床的治癒率は改善しないことが、米国・オリーブ・ビューUCLA医療センターのGregory J. Moran氏らの検討で示された。研究の成果は、JAMA誌2017年5月23日号に掲載された。米国では、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)の出現に伴い、皮膚感染症による救急診療部への受診が増加しているという。排膿がみられない蜂窩織炎は、β溶血性レンサ球菌が主な病原菌と推定されるが、in vitroでMRSA活性を有する抗菌薬レジメンが、MRSA活性のない治療に比べ転帰の改善をもたらすかは不明とされる。