救急科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:94

中心静脈カテーテル挿入、鎖骨下静脈が低リスク/NEJM

 中心静脈カテーテル(CVC)の挿入3部位別のリスクについて検討した結果、鎖骨下静脈へのカテーテル挿入が、内頸静脈または大腿静脈と比べて、血流感染および症候性血栓症のリスクが低いことが明らかにされた。気胸のリスクは高かった。フランス・CHU de CaenのJean-Jacques Parienti氏らが多施設共同無作為化試験の結果、報告した。CVCでは鎖骨下静脈、内頸静脈、大腿静脈の3部位への挿入が一般的に行われているが、いずれも重大合併症の可能性が指摘されていた。NEJM誌2015年9月24日号掲載の報告。

プライマリケアでの肺塞栓症診断予測、Wells基準が有用/BMJ

 プライマリケアで容易に適用できる肺塞栓症の診断予測モデルは5つあり、的中率はいずれも類似しているが、偽陰性率が低いという点でWells基準のモデルパフォーマンスが最良であることが示された。オランダ・ユトレヒト大学医療センターのJanneke M T Hendriksen氏らが、システマティックレビューとプライマリケア設定での妥当性確認調査を行い明らかにした。プライマリケアでは、Wellsスコア4以下でDダイマー検査陰性であれば約10人に4人の割合で、安全に肺塞栓症を除外できる。ほかにも肺塞栓症の診断予測モデルは開発されているが、2次医療で検証されたもので、プライマリケアでの臨床能は不明であった。BMJ誌オンライン版2015年9月8日号掲載の報告より。

小児の院内心停止、アドレナリン投与早いほど転帰良好/JAMA

 小児院内心停止に対するエピネフリン(アドレナリン)の早期投与は、生存退院率や自己心拍再開率など、アウトカムを有意に改善することが示された。米国のベス・イスラエル・ディーコネス医療センターのLars W. Andersen氏らが、約1,600例の小児患者について行った試験の結果、明らかにした。これまでの検討では、成人患者について、院内心停止患者に対するエピネフリン投与の遅延が生存率低下に関与していることは知られていたが、小児患者については不明であった。JAMA誌2015年8月25日号掲載の報告より。

心肺停止に遠慮は無用(解説:香坂 俊 氏)-410

以前「心臓マッサージは深度5cmで毎分100回:その自動化への課題」で書かせていただいたが、院外心肺停止症例の蘇生率はまだ低い域に留まっている(生存退院率2~4%程度)。その蘇生率向上のため、(1)プロトコルの簡便化や(2)AEDの設置などが行われているが、何よりも大切なのは「適切な」心肺蘇生(CPR)を「速やか」に開始することである。

バルサルバ法の上室頻拍への効果、体位修正で改善/Lancet

 上室頻拍の緊急治療法として推奨されるバルサルバ法について、施行時体位の修正により効果が改善することが示された。標準法では息こらえ時の体位は半臥位だが、修正法は息こらえ時に仰向け下肢挙上の姿勢に体位を変換するというもの。英国・王立デヴォンエクセター病院NHS財団トラストのAndrew Appelboam氏らが無作為化試験を行い報告した。バルサルバ法は、上室頻拍時の国際的に推奨される緊急治療法だが、臨床における効果は乏しく(5~20%)、アデノシンなど他の治療を必要とし、患者が不快感を感じることも多いとされる。Lancet誌オンライン版2015年8月24日号掲載の報告より。

家庭内暴力・多量飲酒女性、救急での短期動機付け介入の効果は?/JAMA

 パートナーによる家庭内暴力(Intimate partner violence:IPV)や過度の飲酒経験のある女性に対して、緊急外来部門(ED)での短期動機付け介入は、評価対照群との比較でそれらの発生日数を有意に減らさなかったことが、米国・ペンシルベニア大学のKarin V. Rhodes氏らによる無作為化試験の結果、明らかにされた。著者は、「結果は、こうした設定での短期動機付け介入を、支持しないものであった」と結論している。これまで、ED訪問時に提供したIPVや過度の飲酒に対する短期動機付け介入の効果について統合した検証は行われていなかった。JAMA誌2015年8月4日号掲載の報告より。

心肺蘇生への市民介入で後遺症のない生存が増大/JAMA

 日本において2005~2012年に、居合わせた市民(バイスタンダー)による胸骨圧迫およびAEDを用いた除細動の実施率は上昇し、神経学的後遺症のない生存の増大と関連していることが、帝京大学救急医学講座の中原慎二氏らによる全国データの調査分析の結果、明らかにされた。日本の院外心停止(OHCA)後の神経学的後遺症のない生存については、増大が報告されていたが、入院前処置との関連(バイスタンダー介入と生存における増大など)についてはこれまで十分な検討はされていなかった。JAMA誌2015年7月21日号掲載の報告。

腹部大動脈瘤での生存率、血管内治療 vs.開腹術/NEJM

 腹部大動脈瘤への血管内治療は、開腹術に比べ、周術期死亡率は低いものの、長期生存率は同等であることが長期追跡試験で判明した。また血管内治療後の動脈瘤破裂率は、開腹術より高かった。さらに血管内治療後2年間の再介入率は、ここ8年で減少傾向にあるなど、同治療アウトカムの改善が認められたという。米国・ベスイスラエルディーコネス医療センターのMarc L. Schermerhorn氏らが、腹部大動脈瘤で血管内修復治療または開腹術を受けたメディケア受給者、約4万例のマッチング・ペアについて調べ明らかにした。NEJM誌2015年7月23日号掲載の報告より。

オンライン症状チェッカーは有用か/BMJ

 インターネットを介した自己診断およびトリアージアドバイスツールの利用が増大しているが、いずれも有用でないことが明らかにされた。これまで、それらツールの臨床的パフォーマンスを十分に評価した検討は行われていなかったが、米国ハーバード・メディカル・スクールのHannah L Semigran氏らが、一般公開されている23のツールについて監査試験(audit study)を行い報告した。トリアージアドバイスは、大体がリスクを回避するものであったという。BMJ誌オンライン版2015年7月8日号掲載の報告。