救急科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:94

重症COPDへのアセタゾラミドの効果を検証/JAMA

 人工呼吸を要する重症の慢性閉塞性肺疾患(COPD)で代謝性アルカローシスが疑われる患者に対し、アセタゾラミドを用いても、侵襲的人工呼吸器管理期間の短縮効果は得られないことが示された。フランス・ジョルジュ・ポンピドゥー欧州病院のChristophe Faisy氏らが、382例を対象に行った無作為化プラセボ対照二重盲検試験の結果、報告した。人工呼吸器離脱時間やPaCO2経日変化についても、プラセボ群との有意差は認められなかったという。アセタゾラミドは数十年にわたり、COPDで代謝性アルカローシスを呈した患者に対し呼吸興奮薬として使用されている。しかし、これまでその効果を検証する大規模なプラセボ対照試験は行われていなかった。JAMA誌2016年2月2日号掲載の報告。

急性期病院における転倒予防プログラムの効果は?/BMJ

 多面的転倒予防プログラムの導入で、転倒アセスメントツールの活用や予防的介入の増加など好ましい変化は生じたものの、通常ケアと比較して転倒や転倒による外傷の発生頻度は減少せず、転倒予防効果は認められなかった。オーストラリア・モナシュ大学のAnna L Barker氏らが、同国6病院の急性期病棟で、多面的転倒予防プログラム「6-PACKプログラム」の効果を評価するクラスター無作為化比較試験を行い、報告した。結果を踏まえて著者は、6-PACKプログラムに含まれていない、せん妄予防に焦点を当てた介入の必要性を示唆するとともに、「急性期病棟での転倒予防プログラムの効果を示す質の高いエビデンスはなく、院内での転倒問題に関する新たな解決策を早急に確立する必要がある」とまとめている。BMJ誌オンライン版2016年1月26日号掲載の報告。

腹部大動脈瘤に対する血管内治療の長期成績は改善(解説:中澤 達 氏)-471

メディケア受給者3万9,966症例の腹部大動脈瘤の血管内治療と開腹手術を、プロペンシティスコアマッチングコホートで比較した。周術期死亡は、それぞれ血管内群1.6%、開腹群5.2%(p<0.001)であった。 観察期間の2001年から2008年で、周術期死亡率は血管内群で0.8%低下し(p=0.001)、開腹群で0.6%低下(p=0.01)、コンバージョン率は2.2%から0.3%に低下(p<0.001)した。 3年生存率は、血管内群が開腹群より高く、その後は同等となった。8年間での瘤破裂は、血管内群5.4%、開腹群1.4%(p<0.001)であった。血管内治療後2年間の再治療率は、低下(2001年10.4%から2007年9.1%)していた。

高齢者のSU薬とワルファリンの併用、低血糖リスク増大/BMJ

 高齢者のワルファリンとスルホニル尿素薬(SU薬)の同時服用は、SU薬単独服用時に比べ、低血糖による病院救急部門受診・入院リスクを約1.2倍に増大することが、また、転倒リスクも約1.5倍に増大することが明らかにされた。米国・南カリフォルニア大学のJohn A. Romley氏らが、65歳以上のメディケア出来高払いプラン加入者の保険請求データを基に後ろ向きコホート試験を行った結果、示されたという。著者は、「結果は、これら薬物間の重大な相互作用の可能性を示唆するものだ」と指摘している。BMJ誌オンライン版2015年12月7日号掲載の報告。

子供の眼底出血は予防接種とは無関係、虐待を見抜く重要な所見

 米国では、予防接種が小児における眼底出血の原因ではないかとの説が流布しているという。フィラデルフィア小児病院のGil Binenbaum氏らは、「予防接種が眼底出血を引き起こすならその頻度は高く、予防接種との時間的関連が認められるはず」として、眼科外来における乳幼児の眼底出血有病率と原因を調べた。その結果、2歳未満児の有病率は0.17%とまれであり、ワクチンの速効性および遅効性の両方の作用を考慮しても、予防接種と眼底出血との時間的関連は認められなかった。

緊急時の心臓マッサージ、持続的 vs.断続的で転帰は?/NEJM

 院外心肺停止の成人に対し救急医療スタッフが心肺蘇生(CPR)を行う際、持続的胸部圧迫を行っても、断続的胸部圧迫を行った場合に比べて退院時の生存率や神経学的機能が良好である確率は増大しないことが示された。米国・ワシントン大学のGraham Nichol氏らが、救急医療(EMS)事業者を対象に行った無作為化試験で明らかにした。院外CPR時の断続的に行う徒手的心臓マッサージは、血流量および生存を低減する可能性があることから、研究グループは、胸部圧迫と陽圧換気を連続的に行ったCPRと、胸部圧迫を30回行い換気を2回行う間欠的なCPRの場合とでアウトカムが異なるかを調べた。NEJM誌オンライン版2015年11月9日号掲載の報告。

急性腰痛症にはNSAID単独で/JAMA

 急性腰痛症(LBP)に対してナプロキセン単独と、ナプロキセンにcyclobenzaprineまたはオキシコドン/アセトアミノフェンを追加投与した場合について、1週間後の機能的アウトカムや痛みに有意差はみられなかったことが示された。米国・アルベルト・アインシュタイン医学校のBenjamin W. Friedman氏らが、救急部門(ED)受診患者を対象に行った無作為化試験の結果、報告した。米国では、LBPでEDを受診する患者が年間250万人超いるという。これらの患者に対しては通常、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)、アセトアミノフェン、オピオイド、筋弛緩薬を組み合わせた治療が行われる頻度が高い。今回の結果を踏まえて著者は、「所見は、同患者にはナプロキセンに追加投与は不要であることを支持するものであった」とまとめている。JAMA誌2015年10月20日号掲載の報告。

外傷性脳損傷後の頭蓋内圧亢進に対する低体温療法には有益性なし(解説:中川原 譲二 氏)-444

これまで、外傷性脳損傷後の頭蓋内圧亢進に対する低体温療法は有効と考えられてきたが、英国・ウェスタン総合病院のPeter J.D. Andrews氏らが、400例弱を対象に行った無作為化比較対照試験の結果によると、低体温療法は機能的アウトカムをむしろ悪化させる可能性があることが報告された(NEJM誌オンライン版2015年10月7日号掲載の報告)。

CLEAN試験:血管内カテーテル挿入時の皮膚消毒はクロルヘキシジン・アルコール(解説:小金丸 博 氏)-440

カテーテル関連血流感染症(CRBSI)はありふれた医療関連感染であり、死亡率も高いことが知られている。カテーテル挿入時の皮膚消毒は感染予防に重要であり、今までも適切な皮膚消毒薬について議論されてきた。米国疾病予防管理センター(CDC)は、カテーテル挿入時の皮膚消毒に、0.5%を超えるクロルヘキシジンを含むクロルヘキシジン・アルコールを推奨しているが、クロルヘキシジン・アルコールとポビドンヨード・アルコールをhead-to-headで比較した大規模試験は存在しなかった。

外傷性脳損傷への低体温療法、有益性なし/NEJM

 外傷性脳損傷で頭蓋内圧亢進の認められる成人患者に対する低体温療法は、臨床転帰を悪化させる可能性があることが報告された。英国・ウェスタン総合病院のPeter J.D. Andrews氏らが、400例弱を対象に行った無作為化比較対照試験の結果、明らかにした。これまで、外傷性脳損傷における低体温療法は、頭蓋内圧亢進を低下することは知られていたが、機能的アウトカムへの有益性は不明であった。NEJM誌オンライン版2015年10月7日号掲載の報告。