循環器内科/心臓血管外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:130

2型DMのCVリスク、SGLT2阻害薬 vs. DPP-4阻害薬/BMJ

 大規模なリアルワールド観察試験において、2型糖尿病患者への短期のSGLT2阻害薬投与はDPP-4阻害薬投与と比べて、重篤な心血管イベントリスクを低減することが示された。カナダ・Jewish General HospitalのKristian B. Filion氏らが複数のデータベースを基に行った後ろ向きコホート研究の結果で、著者は「多種のSGLT2阻害薬にわたる結果であり、SGLT2阻害薬のクラス効果としての心血管効果を示すものであった」と述べている。2型糖尿病へのSGLT2阻害薬投与は増えており、無作為化試験でプラセボ投与と比べて主要有害心血管イベント(MACE)や心不全のリスクを抑制することが示されていた。BMJ誌2020年9月23日号掲載の報告。

HIF-PH阻害薬適正使用に関するrecommendation公開/日本腎臓学会

 日本腎臓学会は透析患者・保存期腎不全患者用の経口腎性貧血治療薬について「HIF-PH阻害薬適正使用に関するrecommendation」を9月29日に学会ホームページ上に公開した。  HIF-PH阻害薬適正使用に関するrecommendationは3つに章立てられており、1.総論、2.推奨(どのような患者に使用することが望ましいか、鉄補充をどうすることが望ましいか)、3.注意点(悪性腫瘍、糖尿病網膜症・加齢黄斑変性症、肝機能異常、高血圧、高カリウム血症、血栓塞栓症、血管石灰化、肺高血圧症/心不全、嚢胞の増大、脂質代謝への影響)が記載されている。

SGLT2阻害薬ertugliflozinの心血管効果は?/NEJM

 2型糖尿病でアテローム動脈硬化性心血管疾患を有する患者において、標準治療に加えてのSGLT2阻害薬ertugliflozinの投与はプラセボ投与に対して、主要有害心血管イベント(心血管死・非致死的心筋梗塞・非致死的脳卒中の複合)の発生は非劣性であった。また、副次評価項目の心血管死または心不全による入院の複合アウトカムについて、プラセボに対する優越性は示されなかった。米国・ハーバード大学医学大学院のChristopher P. Cannon氏らが、8,246例超を対象に行った多施設共同無作為化二重盲検試験で明らかにした。ertugliflozinは、2型糖尿病の血糖コントロールを改善するとして米国その他の国で承認されている。同薬の心血管効果については、明らかになっていなかった。NEJM誌オンライン版2020年9月23日号掲載の報告。

非心臓手術後に生じる新規発症心房細動がその後の脳卒中・一過性脳虚血発症に関連(解説:今井靖氏)-1290

一般的に心房細動の存在は脳梗塞や一過性脳虚血発作のリスクとなることは周知のことであるが、非心臓手術の際に生じた新規心房細動が脳梗塞・一過性脳虚血発作のリスクとなるか否かについては必ずしも明らかではない。本研究は、米国ミネソタ州のオルムステッド郡において2000~13年の間に非心臓手術を施行した際に術後30日以内に新規に心房細動を発症した550例を対象に行われた。そのうち452例については年齢、性別および外科手術日、手術内容が一致したコントロール群を設定し、主要臨床転帰は脳梗塞または一過性脳虚血発作発症、副次的臨床転帰はそれに引き続く心房細動発作、死亡、心臓血管死としている。中央値75歳、男性が51.8%の904例間の比較において心房細動を生じた患者では有意にCHA2DS2-VAScスコアが高く(中央値4[IQR:2~5] vs.3[IQR:2~5]、p<0.001)、中央値5.4年の追跡期間において71例が脳梗塞または一過性脳虚血発作を認め(ハザード比2.69[1.35~5.37])、266例で心房細動のエピソードを認めた(ハザード比7.94)。571例が死亡(ハザード比1.66)したが、172例が心臓関連死であった。

遺伝子型ガイドのP2Y12阻害薬選択は本当に無効なのか?(解説:中川義久氏)-1288

血小板凝集では、周囲からの刺激に反応してADPが血小板から放出され、これが血小板のADP受容体P2Y12を介してさらなる血小板凝集の連鎖を引き起こす。この受容体へのADPの結合を阻害し、血小板の凝集と血栓の形成を抑制する代表的な薬剤がチエノピリジン系抗血小板薬である。BMSが導入された時期には、第1世代チエノピリジン系抗血小板薬のチクロピジンのみであった。現在では副作用の発生頻度がチクロピジンよりも少ない第2世代チエノピリジン系薬剤であるクロピドグレルが多く使用されている。クロピドグレルは肝臓のCYP2C19で代謝されて活性化するが、CYP2C19の遺伝子多型により薬効が異なる。代謝能の低い遺伝子型である機能喪失型(loss-of-function:LOF)を持つ患者では効きが弱い、すなわち血小板凝集が十分に抑制されない。プラスグレルは第3世代のチエノピリジン系薬剤である。チカグレロルはADP受容体阻害薬ではあるが、チエノピリジン系ではなく、シクロペンチルトリアゾロピリミジン系薬剤に分類される。この新規のADP受容体阻害薬である、プラスグレルとチカグレロルは、CYP2C19遺伝子多型による低反応性はない。

青壮年の高血圧は後年の心血管イベントリスクに影響?/BMJ

 青壮年(18~45歳)の高血圧は、後年の心血管イベントリスクを、わずかだが増大する可能性があることが、中国・広東省人民医院のDongling Luo氏らによるシステマティックレビューとメタ解析の結果、示された。高血圧と心血管リスクの関連性は長期にわたり認識されている。しかし研究グループは、大半のアウトカム研究対象集団に包含されているのは中年以上の世代であり、また青壮年における高血圧症の有病率が上昇しているとして本検討を行った。結果を踏まえて著者は、「降圧のエビデンスは限定的であることから、積極的介入には注意が必要であり、さらなる検討が必要だ」とまとめている。BMJ誌2020年9月9日号掲載の報告。

NSTEMIは、高齢者だからこそ積極的に治療を!(解説:中川義久氏)-1287

皆さんもご存じのように、急性冠症候群(acute coronary syndrome:ACS)は、不安定狭心症(unstable angina:UA)、非ST上昇型心筋梗塞(Non ST-segment elevation myocardial infarction:NSTEMI)、ST上昇型心筋梗塞(ST-segment elevation myocardial infarction:STEMI)の3つに分類される。可能な限り早急なprimary PCIが有効なSTEMIに対して、NSTEMIでは治療のタイミングについて判断が必要である。PCI施行を含む積極的な治療を施行するタイミングは2つに大別される。早期に造影検査およびインターベンションを行う侵襲的治療戦略と、保存的な治療を優先し侵襲的治療のルーチンとしての実施を回避する初期保存的治療戦略(非侵襲的治療戦略)である。TIMIリスクスコアやGRACE ACSリスクモデルなどの、リスク評価法に基づいて治療戦略を決定することが推奨されている。このように選択肢がある中でも、早期に侵襲的治療を施行する有用性が高いとの報告が増加していた。しかし、高齢者はこれらのエビデンスを構築するための臨床試験から除外されることが常であり、明確な方針は明らかではなかった。

米国成人、過去20年間の血圧コントロールの状況は?/JAMA

 米国成人集団を代表するよう補正された一連の横断的調査の結果、血圧コントロール良好者の割合は、1999/2000年~2007/08年にかけては増加していたが、2007/08年~2013/14年は有意な変化はみられず、2013/14年以降は減少傾向にあることが明らかにされた。血圧コントロールは心血管疾患を減少することから、米国・アラバマ大学のPaul Muntner氏らは、過去20年間(1999/2000年~2017/18年)の高血圧の米国成人におけるコントロール状況の変化を調べる検討を行った。JAMA誌オンライン版2020年9月9日号掲載の報告。

日本人超高齢の心房細動、エドキサバン15mgは有益/NEJM

 標準用量の経口抗凝固薬投与が適切ではない、非弁膜症性心房細動(AF)の日本人超高齢患者において、1日1回15mg量のエドキサバンは、脳卒中または全身性塞栓症の予防効果がプラセボより優れており、大出血の発生頻度はプラセボよりも高率ではあるが有意差はなかったことが示された。済生会熊本病院循環器内科最高技術顧問の奥村 謙氏らが、超高齢AF患者に対する低用量エドキサバンの投与について検討した第III相多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照イベントドリブン試験の結果で、NEJM誌オンライン版2020年8月30日号で発表された。超高齢AF患者の脳卒中予防のための経口抗凝固薬投与は、出血への懸念から困難と判断されることが少なくない。

高齢入院患者のせん妄予防に対する薬理学的介入~メタ解析

 入院中の高齢患者に対するせん妄予防への薬理学的介入の効果について、スペイン・Canarian Foundation Institute of Health Research of Canary IslandsのBeatriz Leon-Salas氏らがメタ解析を実施し、包括的な評価を行った。Archives of Gerontology and Geriatrics誌2020年9~10月号の報告。  2019年3月までに公表された、65歳以上の入院患者を対象としたランダム化比較試験を、MEDLINE、EMBASE、WOS、Cochrane Central Register of Controlled Trialsの電子データベースよりシステマティックに検索した。事前に定義した基準を用いて研究を抽出し、それらの方法論的な質を評価した。