青壮年の高血圧は後年の心血管イベントリスクに影響?/BMJ

提供元:ケアネット

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公開日:2020/09/28

 

 青壮年(18~45歳)の高血圧は、後年の心血管イベントリスクを、わずかだが増大する可能性があることが、中国・広東省人民医院のDongling Luo氏らによるシステマティックレビューとメタ解析の結果、示された。高血圧と心血管リスクの関連性は長期にわたり認識されている。しかし研究グループは、大半のアウトカム研究対象集団に包含されているのは中年以上の世代であり、また青壮年における高血圧症の有病率が上昇しているとして本検討を行った。結果を踏まえて著者は、「降圧のエビデンスは限定的であることから、積極的介入には注意が必要であり、さらなる検討が必要だ」とまとめている。BMJ誌2020年9月9日号掲載の報告。

17試験・450万人についてシステマティックレビューとメタ解析で検討

 高血圧症の青壮年における心血管イベントの将来リスクを評価し定量化する本検討は、発刊から2020年3月6日までのMedline、Embase、Web of Scienceを検索して行われた。

 ランダム効果モデルを用いて相対リスクをプールし、95%信頼区間(CI)とともに示し、絶対リスク差を算出した。血圧と個々人のアウトカム間の用量反応関係を、制限付き3次スプラインモデルにより評価した。

 試験選択の適格基準は、血圧が上昇した18~45歳成人の有害アウトカムを調査した試験とした。

 主要試験アウトカムは、総計の心血管イベントの複合。副次アウトカムは、冠動脈疾患、脳卒中および全死因死亡であった。

 解析には、17の観察コホート試験に参加した約450万人の青壮年が包含された。平均追跡期間は14.7年であった。

心血管イベントリスクは血圧高値ほど増大

 正常血圧群の青壮年は至適血圧群と比較して、心血管イベントリスクが増大した(相対リスク:1.19、95%CI:1.08~1.31、1,000人年当たりリスク差:0.37、95%CI:0.16~0.61)。

 血圧値の分類と心血管イベントリスク増加との間に、段階的かつ漸進性の関連がみられた。正常高値血圧群では相対リスク1.35(95%CI:1.22~1.49)、1,000人年当たりリスク差0.69(95%CI:0.43~0.97)、I度高血圧群では相対リスク1.92(1.68~2.19)、リスク差1.81(1.34~2.34)、II度高血圧群では相対リスク3.15(2.31~4.29)、リスク差4.24(2.58~6.48)であった。

 同様の結果は冠動脈疾患と脳卒中についても観察された。

 概して、血圧上昇に関連する心血管イベントの人口寄与割合は23.8%(95%CI:17.9~28.8)であった。心血管イベント1件を予防するために1年間に必要となる治療数は、正常血圧群では2,672(95%CI:1,639~6,250)、正常高値血圧群では1,450(1,031~2,326)、I度高血圧群では552(427~746)、II度高血圧群では236(154~388)と推算された。

(ケアネット)

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コメンテーター : 有馬 久富( ありま ひさとみ ) 氏

福岡大学医学部 衛生・公衆衛生学 教授

J-CLEAR会員

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