循環器内科/心臓血管外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:160

遺伝子検査活用のプライマリPCI、出血を2割減/NEJM

 プライマリ経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を行う患者において、CYP2C19遺伝子検査に基づく経口P2Y12阻害薬の治療は、チカグレロルまたはプラスグレルを投与する標準治療に対して、12ヵ月時点の血栓イベントに関して非劣性であり、出血の発現頻度は有意に低減したこと(ハザード比:0.78)が示された。オランダ・St. Antonius HospitalのDaniel M. F. Claassens氏らが、2,488例を対象に行った無作為化非盲検評価者盲検化試験の結果で、NEJM誌オンライン版2019年9月3日号で発表した。

糖尿病の安定CADに、チカグレロル+アスピリンは有益か?/NEJM

 心筋梗塞または脳卒中の既往歴のない安定冠動脈疾患を有する50歳以上の2型糖尿病患者において、チカグレロル+アスピリンの併用はアスピリン単剤と比べて、虚血性心血管イベントの発生が有意に減少したことが示された。一方で、大出血の発生は併用群で有意に増大した。フランス・パリ大学Bichat病院のP. Gabriel Steg氏らが、患者1万9,220例を対象に行ったプラセボ対照無作為化二重盲検試験の結果で、NEJM誌オンライン版2019年9月1日号で発表した。これまでに同患者集団において、チカグレロル+アスピリンの併用が、アウトカムを改善するか否かは明らかになっていなかった。

後期早産・妊娠高血圧腎症妊婦、計画出産は有益か/Lancet

 後期早産・妊娠高血圧腎症の女性における計画出産は、待機的管理と比較して、母体の障害発生や重症高血圧の頻度は低い一方で、新生児治療室への入室が多いことが、英国・キングス・カレッジ・ロンドンのLucy C. Chappell氏らが行ったPHOENIX試験で示された。研究の詳細は、Lancet誌オンライン版2019年8月28日号に掲載された。後期早産・妊娠高血圧腎症の女性では、母体の疾患進行に関連する制約と、新生児の合併症とのバランスをとる必要があり、至適な分娩開始時期は不明だという。

ダパグリフロジン、HFrEF患者でCV死・心不全悪化リスク26%低下(DAPA-HF)/ESC2019

 2型糖尿病合併の有無を問わず、SGLT2阻害薬ダパグリフロジン(商品名:フォシーガ)が、左室駆出率が低下した心不全(HFrEF)患者における心血管死と心不全悪化の発現率を有意に低下させた。フランス・パリで開催された欧州心臓病学会(ESC2019)で、グラスゴー大学循環器リサーチセンターのJohn McMurray氏が、第III相DAPA-HF試験の結果を発表した。  DAPA-HF試験は、2型糖尿病合併および非合併の成人HFrEF患者を対象に、心不全の標準治療(アンジオテンシン変換酵素[ACE]阻害薬、アンジオテンシンII受容体拮抗薬[ARB]、β遮断薬、ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬[MRA]およびネプライシン阻害薬を含む薬剤)への追加療法としてのダパグリフロジンの有効性を検討した、国際多施設共同無作為化二重盲検並行群間比較試験。

アトピー性皮膚炎患者の長期心房細動リスク、絶対リスクは低いものの1.2倍に

 アトピー性皮膚炎(AD)患者と心血管リスクの関連を示唆する報告が相次いでいる。デンマーク・オーフス大学病院のSigrun A. J. Schmidt氏らは、ADと心房細動の関連について35年の長期フォローアップ研究を行い、AD(中等症~重症)患者において、心房細動リスクが20%高いことを見いだしたという。ただし、絶対リスクは低いままであった。その背景要因として、著者は「患者は早期にADを発症することが多く、担当医は心疾患リスク低減に向けた健康的なライフスタイルを推奨する機会があるためと考えられる」と述べている。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2019年8月20日号掲載の報告。

HFrEF患者、降圧薬の至適用量に性差/Lancet

 駆出率が低下した心不全(HFrEF)患者では、ACE阻害薬やARB、β遮断薬の至適用量に性差があり、女性患者は男性患者に比べ、これらの薬剤の用量を減量する必要があることが、オランダ・フローニンゲン大学医療センターのBernadet T. Santema氏らが実施したBIOSTAT-CHF試験の事後解析で明らかとなった。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2019年8月22日号に掲載された。ACE阻害薬、ARB、β遮断薬の薬物動態には性差があることが知られているが、ガイドラインで推奨されているこれらの薬剤の用量は、HFrEFの男女でほぼ同量だという。

4種配合剤、心血管イベントの予防に有効/Lancet

 4つの固定用量の薬剤を含む配合剤(ポリピル)は、主要心血管イベントの予防に有効であり、服薬順守が良好で有害事象も少ないことが、イラン・Tehran University of Medical SciencesのGholamreza Roshandel氏らが行ったPolyIran試験で示された。研究の成果は、Lancet誌2019年8月24日号に掲載された。固定用量配合剤による治療(ポリピル戦略)は、心血管疾患の負担軽減の取り組みとして、とくに低~中所得国(LMIC)で提唱されている。  本研究は、イラン北東部のゴレスタン州(若年死の33.9%が虚血性心疾患、14.0%が脳卒中の地域)で行われた大規模な前向きコホート研究内で実施されたクラスター無作為化試験である(Tehran University of Medical Sciencesなどの助成による)。  対象は、Golestan Cohort Study(GCS)に参加した40~75歳の集団であった。村落をクラスターとし、非薬物的な予防介入(最小ケア)に加えポリピルを1日1錠投与する群(ポリピル群)または最小ケアのみを行う群(最小ケア群)に、1対1の割合で無作為に割り付けた。無作為割り付けは、英国のバーミンガム大学の統計学者が、イランの現地の研究チームとは独立に行った。

高所得国の高血圧治療率やコントロール率に差、日本は?/Lancet

 高所得国における高血圧の認識・治療・コントロール率は、1980~90年代以降、大幅に改善されたものの、コントロール率は質の高い高血圧プログラム(たとえば、カイザーパーマネンテ北カリフォルニアの高血圧管理プログラム)の下での割合に比べると低い状態で、直近の10年は横ばいとなっていること、また、高血圧の認識・治療・コントロール率は国によって大きな違いがあるとの実態が明らかにされた。英国・インペリアル・カレッジ・ロンドンのBin Zhou氏らが、高所得国12ヵ国のデータを解析し報告した。高血圧治療は有害心血管イベントの低下に有効であるが、高所得国を対象にした高血圧の認識・治療・コントロール率に関する経時的な傾向を比較検討する研究はこれまでなかった。Lancet誌2019年8月24日号掲載の報告。

PM濃度と死亡率の関連性が明らかに/NEJM

 世界24ヵ国652都市における粒子状物質(PM)(粒径10μm以下のPM10および2.5μm以下のPM2.5)の短期曝露が、1日当たりの全死因、心血管疾患および呼吸器疾患死亡率と独立して関連していることが明らかにされた。中国・復旦大学のCong Liu氏らが、天候または気候の死亡への影響を世界的に評価するために設立したMulti-City Multi-Country(MCC)Collaborative Research Networkによる研究結果で、「今回の結果は、地域・地方の研究で認められた死亡率とPM濃度との関連性についてのエビデンスを強固にするものである」とまとめている。短期間のPM曝露と1日死亡率との関連性を検証した研究は多いが、ほとんどが1都市あるいは1地域から得られたもので、大気汚染の時系列研究の結果を系統的に評価することは解析モデルの違いや出版バイアスにより困難とされていた。NEJM誌2019年8月22日号掲載の報告。

75歳以上でスタチンを中止した場合の心血管リスク/EHJ

 入院や施設への入所、がんなど他疾患の発症をきっかけに、高齢者が一次予防のために服用していたスタチンを中止した場合、継続した場合と比較して心血管イベントによる入院リスクが増加した。フランス・ピティエ-サルペトリエール病院のPhilippe Giral 氏らは、75歳まで一次予防目的でスタチンを服用していた高齢者の心血管転帰に対するスタチン中止の影響を、大規模コホート研究により評価した。European Heart Journal誌オンライン版2019年7月30日号掲載の報告より。