循環器内科/心臓血管外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:180

TG低下とLDL-C低下、有益性はほぼ同等/JAMA

 アポリポ蛋白B(アポB)値の単位変化当たりのトリグリセライド(TG)値低下の臨床的有益性は、LDLコレステロール(LDL-C)値低下とほぼ同等であり、アポB含有リポ蛋白粒子の減少の絶対値と比例する可能性があることが、英国・ケンブリッジ大学のBrian A. Ference氏らの検討で示された。研究の詳細は、JAMA誌2019年1月29日号に掲載された。TGとコレステロールは、いずれもアポB含有リポ蛋白粒子によって血漿中に運ばれる。血漿TG値の低下により、心血管イベントのリスクはLDL-C値の低下と同程度に低減するかとの疑問への確定的な回答は得られていないという。

発作性心房細動に対する第2世代クライオバルーンの長期成績【Dr.河田pick up】

 STOP AF PAS (Sustained Treatment of Paroxysmal Atrial Fibrillation Post-Approval Study)は、薬剤抵抗性の発作性心房細動に対するクライオバルーンの長期的な安全性と有効性を評価した、北米における最初の前向き、多施設共同の試験である。米国・ノースウェスタン大学のBradley P. Knight氏らのグループが、JACC.Clinical Electrophysiology誌2018年12月号オンライン版で発表した。

CABG:内胸動脈グラフトの10年転帰、両側vs.片側/NEJM

 多枝冠動脈病変があり冠動脈バイパス術(CABG)を施行予定の患者において、両側内胸動脈グラフトと片側内胸動脈+静脈グラフトの長期予後を検討した無作為化非盲検試験(Arterial Revascularization Trial:ART)の結果、10年後の全死因死亡率の有意差は認められなかった。英国・ジョン・ラドクリフ病院のDavid P. Taggart氏らが明らかにした。CABG後の生存期間は、動脈グラフトを1本使用するより複数使用することで改善する可能性が示唆されていたが、5年時の中間解析では両群の臨床転帰に有意差は確認されていなかった。NEJM誌2019年1月31日号掲載の報告。

急激な空腹時血糖の増加、心血管リスク高い~吹田研究

 心血管疾患(CVD)発生率との関連において、空腹時血糖(FPG)の変動を検討した研究はこれまでほとんどなかった。今回、国立循環器病研究センター/藤田医科大学の尾形 宗士郎氏らは、吹田研究でCVD発生とFPGの変動によるサブグループを評価した。本研究の結果から、著者らは「FPGが急激に増加した人は、CVD予防のために危険因子の管理が重要かもしれない」としている。Journal of the American Heart Association誌2019年2月5日号に掲載。

降圧目標120mmHg未満でも認知症リスクは低下せず/JAMA

 50歳以上の高血圧患者に対し、収縮期血圧の目標値を120mmHg未満として降圧治療を行っても、140mmHgを目標とする通常の降圧治療と比べて、認知症リスクの有意な低下は認められなかったことが示された。一方で、軽度認知障害のリスクは有意な低下が認められたという。米国・ウェイクフォレスト大学のJeff D. Williamson氏ら「SPRINT試験・SPRINT MIND」研究グループが、9,000例超を対象に行った無作為化比較試験で明らかにし、JAMA誌2019年1月28日号で発表した。ただし結果について、「試験が早期に中止となり、認知症例も予想より少なく、エンドポイントの検出力は不足している可能性がある」と指摘している。現状では、軽度認知障害や認知症のリスクを低減する実証された治療法は存在しておらず、今回研究グループは、血圧コントロールの強化が認知症リスクに与える影響を検討した。

乳がん患者の心房細動リスク

 乳がん患者においては、がんにより誘発される全身性炎症や治療の副作用により心房細動を罹患する恐れがある。デンマーク・コペンハーゲン大学病院のMaria D'Souza氏らが、乳がん患者の心房細動罹患率を検討した結果、診断後6ヵ月以上の長期罹患率が増加し、6ヵ月未満の短期罹患率は60歳未満の患者で増加したことを報告した。Heart Rhythm誌オンライン版2019年1月24日号に掲載。  本研究では、デンマークの全国患者登録を用いて1998~2015年に乳がんと診断された患者を同定し、年齢および性別でマッチさせたコントロール群と比較した。心房細動の長期罹患率は、累積罹患曲線および多変量Cox回帰モデルで推定した。

今ある知識で考える、新型タバコのリスクとは

 IQOS(アイコス)やPloomTECH(プルーム・テック)などの加熱式タバコのシェアが日本で急速に拡大している。禁煙をめざして、あるいは周囲への影響を考慮して紙巻タバコから移行する人も多い中、医療者はそのリスクをどのように捉えていけばよいのか。第29回日本疫学会学術総会(2019年1月30日~2月1日・東京)において、「タバコ対策の最近の話題」と題したシンポジウムが開催された。本稿では、田淵 貴大氏(大阪国際がんセンター)による講演の内容を紹介する。

若年者の運動時高血圧、高血圧発症を予測か【Dr.河田pick up】

 若年者での運動負荷試験を施行中、極度な高血圧が観察されることは珍しくない。また、アスリートは運動能力が高いため、ピーク時に血圧が上昇することが多い。この運動中の高血圧がどのような意味をもつのかはわかっておらず、どのようなフォローが必要なのかも疑問である。イタリア・ローマのStefano Caselli氏らヨーロッパのグループが、この問題についてEuropean Heart Journal誌オンライン版1月1日号に報告している。

アスピリンの1次予防は、メリットより出血リスクのほうが大きい(解説:桑島巖氏)-1002

被検者数1,000例以上のシステマティックレビューとメタ解析の結果、1次予防薬としてのアスピリンの出血リスクは心血管イベントの発症予防のメリットを上回るというのが本論文の主旨である。アスピリンは脳卒中や虚血性心疾患を有している症例に対する2次予防効果が確認されているが、1次予防効果に対する有効性に関してはいまだ定かではなかった。そもそもは、1989年にPhysicians Heart studyという米国の医師を被検者としてアスピリン325mg隔日服用群とプラセボ群にランダマイズして両群の心筋梗塞発症率を比較したRCTで、アスピリン群のほうが44%もAMIが少なかったという成績がNEJM誌に発表されたことから、一躍アスピリンの心血管イベント抑制効果が注目され始めた。

揚げ物の摂取頻度が死亡リスクに影響/BMJ

 揚げ物、とくにフライドチキンや魚介類のフライの頻回摂取は、全死因死亡および心血管死亡のリスクを高めることが、米国・アイオワ大学のYangbo Sun氏らによる、閉経後女性を対象とした大規模前向きコホート研究「Women's Health Initiative(WHI)研究」のデータ解析の結果、示された。北米成人の約25~36%が、毎日ファストフード店で揚げ物を食べているという。揚げ物の死亡への影響については、科学的エビデンスが乏しく議論の的になっていた。BMJ誌2019年1月23日号掲載の報告。