循環器内科/心臓血管外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:181

CVDのない患者へのアスピリン投与は有効か/JAMA

 心血管疾患のない人へのアスピリン投与は、心血管リスクを低減する一方で、大出血リスクを増大することが、英国・インペリアル・カレッジ・ロンドンのSean L. Zheng氏らによる、システマティックレビューとメタ解析の結果、示された。著者は、「この情報を、心血管イベントと出血の1次予防におけるアスピリンの使用に関して患者と話し合う際に、伝えるのがよいだろう」と述べている。心血管系の1次予防におけるアスピリンの役割については、出血リスクが増大するという点でベネフィットが限定的であり、なお議論の的になっている。研究グループは、13の無作為化試験を対象にメタ解析を行った。JAMA誌2019年1月22日号掲載の報告。

便秘が、全死亡・心血管イベントリスクと関連

 便秘は日常診療で最も遭遇する症状の1つであり、アテローム性動脈硬化症の発症と関連している(腸内微生物叢の変化による可能性)が、心血管イベント発症との関連についてはほとんど知られていない。今回、米国退役軍人コホートにおける研究から、便秘であることと便秘薬の使用がそれぞれ独立して、全死因死亡、CHD発症、虚血性脳卒中発症のリスクと関連していたことを、米国テネシー大学/虎の門病院の住田 圭一氏らが報告した。Atherosclerosis誌オンライン版2018年12月23日号に掲載。

素材か道具か人間か-ベスト・プラクティスは何処に?(解説:今中和人氏)-1001

本論文は16の退役軍人病院における冠動脈バイパス1,150例をランダム化し、大伏在静脈(SVG)を576例は内視鏡的に、574例は切開して採取し、中央値2.78年までの臨床成績を検討している(造影検査は検討対象外)。特徴的な制約として、内視鏡的採取100例以上(切開へのコンバート5%以下)、臨床経験2年以上の熟練者のみがSVG採取を行った。結論は、死亡、非致死性心筋梗塞、再血行再建などの主要転帰はまったく同等で14~15%、SVG採取時間も1時間前後で有意差はなかったが、下肢合併症(感染、疼痛、滲出、抗菌薬投与)は、いずれも有意に内視鏡群で低率であった。過去には内視鏡的採取は成績が著しく劣るとする論文も多く、それを支持するメタ解析もあって、この論文はそれらに異を唱える形である。そんな本論文の著者が強調しているのはSVG採取を熟練者に限定したことで、結論が食い違った理由は、過去の論文には不慣れな採取者による質の良くないSVGが含まれているためではないかと推論している。

肺がんのニボルマブ治療、スタチン使用者で効果高い

 既治療進行非小細胞肺がん(NSCLC)におけるニボルマブの臨床的な効果予測因子の報告は多いが、ニボルマブの有効性を予測できる単一の因子を決定する十分なエビデンスはない。今回、がん・感染症センター都立駒込病院/日本医科大学の大森 美和子氏らによる前向き調査の結果、既治療進行NSCLCに対してニボルマブを受けた患者において、スタチン使用群で奏効割合が高く、治療成功期間(TTF)の延長も示された。なお、全生存期間(OS)の有意な延長は示されなかった。Molecular and Clinical Oncology誌2019年1月号に掲載。

食物繊維は健康関連アウトカムを改善、低GI食の効果は?/Lancet

 ニュージーランド・オタゴ大学のAndrew Reynolds氏らによるシステマティックレビューとメタ解析の結果、食物繊維の摂取量増加および全粒穀物摂取を推奨することは、人々の健康に有益と考えられることが示された。炭水化物の質と健康との関連性を検証したこれまでのシステマティックレビューとメタ解析では、1つのマーカーを検証したものが多く、臨床アウトカムの数は限定的であった。Lancet誌オンライン版2019年1月10日号掲載の報告。

治療の見直しに有効か、スタチン不耐治療指針公表

 2018年12月27日、日本動脈硬化学会は『スタチン不耐に関する診療指針2018』を同学会ホームページ上に公表した。これまで、スタチン不耐の定義が不統一であったことが症例集積の大きなハードルであったが、診療指針が作成されたことで、その頻度と臨床像を明らかにし、各個人に適切なLDL-C低下療法の実践が期待できるとのこと。なお、本指針を作成したスタチン不耐調査ワーキンググループには、日本動脈硬化学会をはじめ、日本肝臓学会、日本神経学会、日本薬物動態学会の専門家も含まれている。

ホルモン補充療法のVTEリスク、製剤で異なる/BMJ

 ホルモン補充療法(HRT)による静脈血栓塞栓症(VTE)のリスクは、製剤のタイプによって異なり、経口薬は全般にリスクが高く、経皮吸収薬はリスクと関連がないことが、英国・ノッティンガム大学のYana Vinogradova氏らの検討で示された。研究の成果は、BMJ誌2019年1月9日号に掲載された。更年期症状がみられる女性の無作為化対照比較試験では、HRTを受けている女性は受けていない女性に比べVTEリスクが高いと報告されているが、ほとんどの試験は結合型エストロゲン製剤または結合型エストロゲンと酢酸メドロキシプロゲステロン配合薬が使用されている。また、観察研究では、HRTは全般にリスクの上昇と関連するとされるが、異なるタイプの製剤の詳細な比較に関して、これらの研究には十分な検出力はなかったという。

薬代をフードスタンプみたいにしたら継続服用するようになるかな?(解説:後藤信哉氏)-999

米国は医薬分業が徹底していた。日本では皆保険制度の成立時には院内調剤のほうが多かった。米国の医療保険は「医療」コストを保証しても「薬剤」コストは別立てのことが多い。日本は院内調剤の伝統から薬剤費も健康保険の対象になっている。米国の保険は費用後払いなので、受診すれば最初に安くない受診コストを100%患者が負担する。その後、処方箋を持って薬局に行って、またまた安くない処方薬を購入する。日本では医師の処方どおり長期服薬している人が普通だが、病気のうえにクリニックに受診して、さらに薬局に行き、いずれも出費となると薬局受診を脱落する人が多い可能性がある。低所得の人にフードスタンプが配られたことがあった。公の寄与は汚職温床になるのは万国共通である。フードスタンプの対象となったウォルマートは大きく成長した。

心不全に対するヒス束ペーシング vs.両心室ペーシング【Dr.河田pick up】

 ヒス束ペーシングは心臓の再同期療法(CRT)の新しい手段として注目され、実臨床でも利用されている。本研究では、ヒス束ペーシングと従来行われてきた両心室ペーシングによるCRTを急性期のクロスオーバー試験で比較し、急性期の心室興奮と血行動態を計測した。Ahran D. Arnold氏らLondonのグループによるJournal of American College of Cardiology誌オンライン版12月18日号掲載の報告。