循環器内科/心臓血管外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:199

死亡リスク予測、24時間血圧 vs.診察室血圧/NEJM

 24時間自由行動下収縮期血圧(ABP)は診察室血圧よりも、全死因死亡および心血管死について、より強い予測因子であることが示された。血圧値の1標準偏差(SD)上昇当たりの全死因死亡に関するハザード比は、24時間ABPが1.58だったのに対し、診察室血圧では1.02だったという。また、「仮面高血圧」(診察室血圧は正常値だが24時間ABPは高値)の全死因死亡に関するハザード比は2.83で、持続性高血圧の1.80よりも高かった。また、「白衣高血圧」(診察室血圧が高値で24時間ABPは正常)の同HRも1.79で良性とはいえないことが示されたという。スペイン・マドリード自治大学のJose R. Banegas氏らが、約6万4,000例を対象に行った大規模な前向きコホート試験の結果で、NEJM誌2018年4月19日号で発表した。24時間ABPが予後に与える影響について、これまでに発表されているエビデンスは、主に住民ベース試験や比較的規模の小さい臨床試験に基づくものだったという。

治療抵抗性高血圧に、薬剤師による個別カウンセリングが有効である(解説:石上友章氏)-843

世界の高血圧診療には、神話のような定説がある。その1つとして、『米国の黒人の高血圧は、食塩感受性で治療抵抗性である』という説がある。日本で診療している以上、この説を検証する機会は皆無だろうし、日常的にどうしても解決しなくてはならないClinical Questionとして取り上げられることもないだろう。したがって、日本人の研究者が、このCQを仮説化して臨床研究を行うこともない。しかしながら本論文のように、一流誌といわれる医学ジャーナルに、この仮説を事実として、何らかの介入によって検証する目的の、臨床研究が掲載されることは、決してまれではない。

タバコの50%値上げ、健康や経済に有益/BMJ

 タバコの値上げは、所得上位層20%よりも所得下位層20%に対して、健康や財政面の利益を提供しており、タバコ税増税は非感染性疾患および貧困に関する持続可能な開発目標(sustainable development goals:SDGs)を支持し、疾病に対する生活資金的な保障を提供する。カナダ・セント・マイケルズ病院のSujata Mishra氏らが、タバコの50%値上げによる影響を検証した研究結果を報告した。タバコ税増税は、2030年までに非感染性疾患の死亡率を3分の1まで低下させるというSDGs達成に重要であるが、タバコ税増税による健康や財政面への影響に関する研究はほとんどなかった。BMJ誌2018年4月11日号掲載の報告。

固形燃料での料理や暖房、心血管死リスク2~3割増/JAMA

 中国農村部では、料理や暖房に使用している石炭などの固形燃料が、心血管系疾患死や全死因死亡リスクを増大していることが明らかにされた。そうしたリスクは、クリーン燃料へ切り替えたり、換気付き料理用コンロを使用している人では低い可能性も示唆された。中国・華中科技大学同済医学院のKuai Yu氏らが、5つの農村部の住民約27万例を平均7.2年間追跡した前向きコホート試験の結果で、JAMA誌2018年4月3日号で発表した。屋内での固形燃料の燃焼は、大量の微細粒子状の汚染物質を生成することが知られている。

ニューキノロンの使用は、動脈瘤や動脈解離のリスクを高める(解説:佐田政隆氏)-839

スウェーデンでは、nationwideの国民の医療に関するビッグデータが登録されており、薬の副作用など各種のコホート研究を行うことができる。本研究では、2006年7月から2013年12月に、ニューキノロンを服用した36万88人と、傾向スコアでマッチングしたアモキシシリンを服用した36万88人で、服用60日以内の大動脈瘤、大動脈解離の発症を比較検討した。結果として、ニューキノロン群がアモキシシリン群に比較して、大動脈瘤、大動脈解離の発症が、ハザード比1.66と多かったという。

コーヒーと大動脈弁狭窄症リスク~7万人の前向き研究

 コーヒーには、心血管系に有害もしくは有益な作用を及ぼしうる生物学的活性物質が多く含まれているが、コーヒー摂取と大動脈弁狭窄症リスクの関連は不明である。今回、スウェーデン・カロリンスカ研究所のSusanna Larsson氏らの7万人超による前向き研究により、コーヒー摂取量と大動脈弁狭窄症リスクが正相関することが示された。Nutrition, metabolism, and cardiovascular diseases誌オンライン版2018年2月7日号に掲載。

ジェネリック希少の医薬品、米国で価格高騰/BMJ

 米国において特許期限切れだがジェネリック承認薬がない処方薬のうち、半数超は米国外で少なくとも1社が承認を受けており、半数弱は4社以上が承認製造していた。米国・ジョンズ・ホプキンス大学のRavi Gupta氏らが、1939~2017年に米国食品医薬品局(FDA)で承認を受け、その後特許期限が切れた薬剤などを対象に行った観察試験で明らかにしたもので、BMJ誌2018年3月19日号で発表した。米国では、特許期限の切れた処方薬の一部が、競合会社が少ないために急激に価格が高騰し、入手が困難になるといった問題が生じている。今回の結果を受けて著者は、「それらの処方薬について、米国外からの輸入販売規制などを緩和化することで、適正な市場競争が促され、価格低下や患者への安定的な供給につながるだろう」とまとめている。

早産児の動脈管開存症には高用量経口イブプロフェンが有効/JAMA

 動脈管開存症(PDA)の早産児への薬物療法による動脈管閉鎖の効果では、高用量の経口イブプロフェンが、標準用量の静脈内イブプロフェンや静脈内インドメタシンに比べて良好であることが、カナダ・ダルハウジー大学のSouvik Mitra氏らの検討で示された。研究の成果は、JAMA誌2018年3月27日号に掲載された。早産児のPDAでは保存的管理が重視されるようになっているが、血行動態的に重要なPDAを発症した患児への薬物療法による介入では、さまざまな治療法が行われているという。