心血管スクリーニングを受けた思春期サッカー選手約1万1千人中、心臓突然死と関連する心疾患が0.38%に確認された。心臓突然死の発生率は1万4,794人年当たり1例、すなわち選手10万人に6.8人で、大部分はスクリーニングで検出されなかった心筋症に起因していたという。英国・ロンドン大学のAneil Malhotra氏らが、思春期のサッカー選手における心臓突然死の発生率と原因に関する調査結果を報告した。若手スポーツ選手における心臓突然死の発生率や原因は、試験参加者や調査方法によって報告が異なっており、明確に定義された集団で心血管スクリーニングを受けたことのある若手選手のデータは不足していた。NEJM誌2018年8月9日号掲載の報告。
心臓スクリーニングプログラムを受けたサッカー選手約1万1千人について解析
研究グループが対象としたのは、1996年1月1日~2016年12月31日に、義務付けられている心臓スクリーニングプログラムを受けた、イングランドサッカー協会(FA)に所属するクラブのサッカー選手計1万1,168例(平均[±SD]年齢16.4±1.2歳、男性95%)であった。92のプロクラブ傘下のユースアカデミーの選手(15~17歳)も含まれた。
プログラムでは、健康に関する質問票、身体検査、心電図検査および心エコー検査が実施された。自主報告に基づき収集されたFA登録データを調査して、心臓突然死を同定し、剖検報告で確認した。
心臓突然死の発生は10万人に約7人
スクリーニングにおいて、42例(0.38%)に心臓突然死と関連する心疾患が確認された。さらに、225例(2%)に先天異常あるいは弁異常が確認された。
スクリーニング後に確認された全死因死亡は23例で、うち8例(35%)は心疾患に起因する突然死であり、この8例中7例(88%)は心筋症に起因した。心臓突然死をきたした選手6例(75%)は、心臓スクリーニング結果が正常であった。
スクリーニングから心臓突然死までの期間は平均6.8年であった。計11万8,351人年の追跡において、スクリーニングを受けたことがあるサッカー選手の心臓突然死発生率は、1万4,794人年当たり1例(10万人に6.8例)であった。
(医学ライター 吉尾 幸恵)