循環器内科/心臓血管外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:202

出生前生化学的検査、母親の心血管リスクを識別か/BMJ

 世界中で多くの女性が、トリソミーおよび先天異常に関して、出生前の生化学的スクリーニングを受けている。カナダ・トロント大学のJoel G. Ray氏らは、出生前の生化学的スクリーニングで異常な結果を認めた女性は、心血管疾患のリスクが高い可能性があることを示した。出生前の生化学的スクリーニングの異常値は、妊娠高血圧腎症の高リスクと関連し、妊娠高血圧腎症は心血管疾患と関連するが、出生前の生化学的スクリーニングと母親の心血管疾患やそのサブタイプのリスクについて検証した試験は、これまでなかったという。BMJ誌2018年7月11日号掲載の報告。

心房細動の遠隔モニタリング検診は有効か/JAMA

 心房細動(AF)検出のための自己装着型のウエアラブル心電図(ECG)パッチを用いた遠隔モニタリングの効果と、そのような任意型検診(opportunistic screening)に類する検出戦略(積極的モニタリング)と臨床的帰結との関連を調べる検討が、米国・Scripps Translational Science InstituteのSteven R. Steinhubl氏らにより行われた。その結果、AF高リスクの高齢者におけるAF診断率は、試験登録後即時に開始した即時モニタリング群が、4ヵ月遅れて実施したdelayedモニタリング群と比べて高率であった。また、1年時点の評価で両モニタリング群を統合した積極的モニタリング群のほうが、非モニタリング群と比べてAF診断率は高く、抗凝固薬治療を開始した割合も高かった。医療サービスの利用率も高かったという。JAMA誌2018年7月10日号掲載の報告。

エキストラヴァージンオリーブオイルまたはナッツ強化地中海食の順守は心血管病ハイリスクを有するも未発症のコホートにおけるイベント抑制に有用!(解説:島田俊夫氏)-889

地中海食はこれまで広く心血管病リスクを抑制する食事として受け止められてきた。本論文はスペイン国内多施設による心血管病ハイリスクで心血管病未発症、年齢55〜80歳、7,447名(女性57%)のコホートを対象にカロリー制限のない(1)エキストラヴァージンオリーブオイル強化地中海食群、(2)ミックスナッツ強化地中海食群、(3)低脂肪コントロール食群の3群にランダムに割り付け、約5年間追跡した。ところが無作為割り付け後、一部の世帯で割り付け逸脱が発生した。この事実の判明以前に、採択・掲載済み論文2)は解析に不備があると判断し、疑いを含めた1,558名を除外して新たに行った解析結果は以前の結果と一致を認めたけれども、掲載済み論文は自主的に掲載を撤回した。

心房細動患者の心筋梗塞リスク、DOAC vs. ビタミンK拮抗薬【Dr.河田pick up】

 長い間、心房細動患者の血栓塞栓症予防にはビタミンK拮抗薬が使用されてきた。直接経口抗凝固薬(DOAC)が、ビタミンK拮抗薬に有効性および安全性で劣らないことからDOACの使用が増えてきているが、DOACとビタミンK拮抗薬のどちらがより心筋梗塞の予防に有効かについてのエビデンスは一致しておらず、結論が出ていない。この研究はアピキサバン、ダビガトラン、リバーロキサバンそしてビタミンK拮抗薬を服用中の心房細動患者における、心筋梗塞リスクを調べることを目的に実施された。Journal of American College of Cardiology誌2018年7月3日号掲載の、デンマークのグループが発表した後ろ向き観察研究の結果より。

2017ACC/AHA高血圧GL導入で、米中の患者が激増/BMJ

 2017米国心臓病学会(ACC)/米国心臓協会(AHA)高血圧ガイドラインが、米国と中国で採択された場合の影響を調べた結果、両国ともに高血圧症とされる人の数および治療対象者の数は激増し、米中45~75歳の半数超が高血圧症患者と呼ばれることになるとの見込みが、米国・テキサス大学サウスウェスタン医療センターのRohan Khera氏らにより示された。高血圧症患者は米国で26.8%増、中国では45.1%増、新規の治療推奨対象者は米国750万人、中国5,530万人、また、新規の治療強化対象者は米国1,390万人、中国3,000万人と試算されるという。2017ACC/AHA高血圧ガイドラインでは、高血圧症定義の血圧値が、現行の140/90mmHgから130/80mmHgに改訂された。BMJ誌2018年7月11日号掲載の報告。

内科も外科も、今、左心耳がアツイ(解説:今中和人氏)-888

本論文は、開心術のついでに左心耳を閉鎖すれば、後日の心原性塞栓が予防できて予後が改善する、という仮説を検証している。2009年からの約8年間に、全米のprivateないしMedicare被保険者7万5,782人が冠動脈バイパスか弁膜症手術を受け、その際5.8%(4,374人)が左心耳閉鎖術(LAAO)も受けた。このうち4,295人と、LAAOしなかった同数の患者とをマッチさせて、平均フォロー2.1年で比較した。LAAO群の患者分布に合わせているため、両群とも3/4にAFの既往があり、年齢68歳、単独バイパスが1,200例(オフポンプ900例)、弁手術が2,300例、バイパス+弁手術が750例程度であった。

簡潔で読みやすい「脂質異常症診療ガイド2018年版」

 動脈硬化性疾患は、がんに次ぐ死亡原因であり、脂質異常症はその重要な危険因子である。昨年のガイドライン改訂に伴い、2018年7月5日、日本動脈硬化学会が「動脈硬化性疾患予防のための脂質異常症診療ガイド2018年版について」のプレスセミナーを開催した。今回、診療ガイド編集委員会委員長・日本動脈硬化学会副理事長の荒井 秀典氏(国立長寿医療研究センター病院長)が登壇し、診療ガイドの活用方法について語った。

急性心筋梗塞後の心原性ショックに対するエピネフリン vs.ノルエピネフリン【Dr.河田pick up】

 心筋梗塞後の心原性ショックに対して、昇圧薬はある特異的な効果をもたらす可能性があり、それが予後に影響をあたえうる。ノルエピネフリンとエピネフリンは最もよく使われる薬剤ではあるが、無作為化試験でその効果が調べられたことはなく、十分なデータが得られていない。フランス・CHRU NancyのBruno Levy氏らは、心筋梗塞後の心原性ショックにおいて、エピネフリンとノルエピネフリンの効果を比較することを目的に、多施設共同の前向き二重盲検無作為化試験を実施した。Journal of American College of Cardiology誌7月10日号に掲載。

実臨床で安全性が高いDOACは?/BMJ

 英国・ノッティンガム大学のYana Vinogradova氏らは、プライマリケアにおいて、直接経口抗凝固薬(DOAC)と出血・虚血性脳卒中・静脈血栓塞栓症・全死因死亡リスクの関連を、ワルファリンと比較検証する前向きコホート研究を行い、概してアピキサバンが最も安全で大出血・頭蓋内出血・消化管出血のリスクが減少したのに対して、リバーロキサバンと低用量アピキサバンは全死因死亡リスクの上昇と関連していたことを明らかにした。これまで、無作為化比較試験でワルファリンに対するDOACの非劣性が示されていたが、実臨床での観察試験はほとんどが心房細動患者を対象としていた。BMJ誌2018年7月4日号掲載の報告。

CVリスク患者の術前運動耐容能評価にご用心/Lancet

 心臓以外の大手術前に行う運動耐容能の評価には、主観的評価は用いるべきではないことが、カナダ・Li Ka Shing Knowledge InstituteのDuminda N. Wijeysundera氏らによる国際共同前向きコホート試験の結果、示された。運動耐容能は大手術リスクアセスメントの重要な項目の1つであるが、それに対する医師の臨床上の主観的評価は必ずしも正確ではない。研究グループは、術前の主観的評価と、死亡や合併症を予測する代替フィットネスマーカー(心肺運動負荷試験[CPET:cardiopulmonary exercise testing]、DASI:Duke Activity Status Index、NT pro-BNP)を比較する検討を行った。Lancet誌オンライン版2018年6月30日号掲載の報告。