循環器内科/心臓血管外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:203

腎交感神経除神経降圧療法と降圧薬(解説:冨山博史氏)-885

研究対象は、カルシウム拮抗薬、利尿薬、レニン・アンジオテンシン系阻害薬、ベータ遮断薬のいずれか、または複数の降圧薬の最大容量の50%以上の服用でも血圧コントロールが十分でない症例80例である。高周波カテーテルによる腎交感神経除神経(RND)実施群(38例)および対照群(42例)の治療後6ヵ月の血圧変化を24時間血圧測定にて評価した。RND群では、対照群に比べて24時間収縮期血圧が7.4mmHg有意に低下し、RNDの有意な降圧効果を示した。

抗血小板療法を受けていない集団の大出血リスクは?/JAMA

 抗血小板療法を受けていない集団における、大出血および非致死的大出血の推定年間発生リスクを、ニュージーランド・オークランド大学のVanessa Selak氏らが算出した。同国のプライマリケア受診患者を対象とした前向きコホート研究の結果で、著者は「今回の結果を、心血管疾患(CVD)1次予防のための集団レベルのガイドラインに示すことができるだろう」と述べている。アスピリン治療開始の決定には、同治療によるベネフィットと有害性を考慮する必要がある。最も重大な有害性は大出血であるが、至適な地域集団における出血リスクのデータは不十分であった。JAMA誌2018年6月26日号掲載の報告。

ABPM要否を判定する新トリアージ法の有用性を検証/BMJ

 3回の診察室血圧値と患者背景(年齢、性別、BMI、高血圧の診断歴および治療歴、心血管疾患の有無)を組み合わせた新たなトリアージ法(Predicting Out-of-OFfice Blood Pressure[PROOF-BP]アルゴリズム)により、24時間自由行動下血圧測定(ABPM)の適用は通常の半分となり、高血圧か否かをほぼ正しく分類できることが示された。英国・オックスフォード大学のJames P. Sheppard氏らが、日常診療で高血圧が疑われる患者にABPMを適用するかをトリアージするためのPROOF-BPアルゴリズムの妥当性を検証した、前向き観察コホート試験の結果を報告した。著者は、「ABPMを考慮する場合、とくに資源が限られている場合には、この新しいトリアージ法は高血圧の診断や管理に推奨される」とまとめている。BMJ誌2018年6月28日号掲載の報告。

不撓不屈の(?)橈骨動脈(解説:今中和人氏)-882

橈骨動脈のCABGでの使用は長らく廃れていたが、1990年代になってオーストラリアのBuxton先生らを中心にリバイバルが起きた。その後、多くの外科医が著した雨後のたけのこのような論文の結論はひどく食い違い、内胸動脈に匹敵すると高く評価する論文もあれば、静脈と同等以下とする論文もある。グラフト開存への影響が大きい、冠動脈の狭窄度や灌流域の広さなどに関するバイアスを感じる論文も少なくないが、唱道者のBuxton先生らがRAは静脈と同等と結論した後もRA擁護論は根強く、RAが優れているのか大して違わないのか判断しかねる状態が続く中で発表されたメタ解析である。

ビタミンD値、妊娠高血圧や子癇前症に影響なし/BMJ

 妊娠高血圧や子癇前症に関して、ビタミンD値の影響を示唆する強力なエビデンスはないことが、英国・ブリストル大学のMaria C. Magnus氏らによるメンデル無作為化試験の結果、示された。これまでの観察研究において、25-ヒドロキシビタミンD値が低い女性で子癇前症のリスクが高いことが認められ、複数の試験で妊娠中のビタミンD補給は有益である可能性が示されていたが、有益性は小さく、投与のタイミングや用量は不均一でかなりのばらつきがあり、ビタミンDが子癇前症の起因となるのかは不明であった。BMJ誌2018年6月20日号掲載の報告。

腹部大動脈瘤スクリーニングは有益か/Lancet

 腹部大動脈瘤(AAA)スクリーニングは、AAA死亡の減少に寄与していないことが、スウェーデン・イエーテボリ大学のMinna Johansson氏らによる、スウェーデン人を対象としたレジストベースのコホート研究で明らかにされた。AAA発症およびAAA関連死亡にみられる大幅な減少を、スクリーニングに関する無作為化試験の結果で評価するのは時代遅れではないかとの指摘があったが、今回の検討で、減少した要因の大半は他の因子によるもので、おそらくは喫煙の減少によることが示唆されたという。著者は、「ベネフィットは小さく、有益性と有害性のバランスは非常に悪く、スクリーニングの正当性に対する疑念を深める結果であった」とまとめている。Lancet誌2018年6月16日号掲載の報告。

過去の“心房細動に対するリズムコントロールは予後を改善しない”という呪縛を解くことはできるのか?(解説:矢崎義直 氏)-880

心不全症例に心房細動の合併が多いことが知られているが、心不全の病態が心房細動を引き起こし、また心房細動自体が心不全の誘因となりうる。両者は密接に関係しており、心房細動のマネージメントは心不全治療のうえで重要となる。

ダビガトランが非心臓手術後心筋障害の合併症リスク抑制/Lancet

 非心臓手術後心筋障害(MINS:myocardial injury after non-cardiac surgery)を呈した患者に対し、ダビガトラン(商品名:プラザキサ)110mgの1日2回投与が、重大出血の有意な増大を認めることなく主要血管合併症(血管死、非致死的心筋梗塞など)のリスクを抑制することが、カナダ・マックマスター大学のP J Devereaux氏らによる国際無作為化プラセボ対照試験「MANAGE試験」の結果、明らかにされた。ダビガトランは周術期静脈血栓塞栓症を予防するが、MINS患者の血管合併症に有用であるかはこれまで検討されていなかった。MINS患者は世界で年間800万人に上ると推計され、術後2年間に心血管合併症や死亡リスクの増大が認められている。著者は今回の結果を受けて、「ダビガトラン110mgの1日2回投与により、それら患者の多くを助ける可能性が示された」とまとめている。Lancet誌2018年6月9日号掲載の報告。

気持ちはわかるがもったいない臨床試験!(解説:後藤信哉氏)-878

世の中の活動には、税金を使うpublic sectorと個人の投資によるprivate sectorがある。特許が切れていない新薬、医療デバイスなどを用いた試験は、試験の結果により大儲けするスポンサーがあるのでprivate sectorである(日本のAMEDにはpublicとprivateの混同があると筆者は思う)。スポンサーは投資であるから、儲けにつながる結果を得たい。その気持ちはすごくわかる。ランダム化比較試験による仮説検証は、巨大なビジネスであるとともに大切な臨床科学でもある。本試験の仮説は臨床的にきわめて重要である。スポンサーの気持ちもわかるし、試験のルールもわかるけれども、本研究は仮説が魅力的であるだけに最後まで施行してほしかった。