循環器内科/心臓血管外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:308

PCI予定での抗凝固療法、ヘパリン vs ビバリルジン/Lancet

 経皮的冠動脈インターベンション(PCI)施行予定患者への抗凝固療法について、ヘパリンベースと比べてビバリルジン(国内未承認)ベースのレジメンは、心筋梗塞およびステント血栓症のリスクを増大するが、出血リスクは低下することが、メタ解析の結果、示された。米国・ブリガム&ウィメンズ病院のMatthew A Cavender氏らが報告した。ただし出血リスクの低下は、糖蛋白IIb/IIIa阻害薬(GPI)併用の有無によって大きく変化し、使用が想定される試験や予定されていた試験を解析対象に含んだ分析では、同リスクの低下についてレジメン間に有意差はみられなかったという。ビバリルジンは、PCI施行患者においてヘパリンに代わりうる選択肢とされている。Lancet誌2014年8月16日号掲載の報告より。

降圧薬の投与は治療前の心血管リスクで判断すべきか/Lancet

 降圧薬治療による心血管リスクの相対的な抑制効果は、ベースラインの絶対リスクの高低にかかわらずほぼ一定だが、絶対リスクの低下の程度は、ベースラインの絶対リスクが高いほど大きくなることが、スウェーデン・ウプサラ大学のJohan Sundstrom氏らBlood Pressure Lowering Treatment Trialists' Collaboration(BPLTTC)の検討で示された。この知見は、降圧薬治療は血圧の高い集団ではなく心血管リスクの高い集団をターゲットとすべきとの見解を支持するものだという。BPLTTCは本論文を、「リスクに基づくアプローチは、血圧に基づくアプローチよりも費用効果が優れるとともに、治療を要する患者数を減らし、薬剤費を抑制する一方で、脳卒中や心臓発作の回避数を増やす」と締めくくっている。Lancet誌2014年8月16日号掲載の報告。

塩分過剰による心血管死、世界で年間165万人/NEJM

 全世界の平均ナトリウム摂取量は、基準値のおよそ2倍で、ナトリウム過剰摂取に起因する心血管疾患死は、年間165万人に上ることが明らかになった。米国・ハーバード公衆衛生大学院のDariush Mozaffarian氏らが、世界の成人の約74%について行った調査で明らかにした。ナトリウム摂取が心血管死亡率に与える影響について、世界レベルの検討はこれまで行われていなかった。NEJM誌2014年8月14日号掲載の報告より。

塩分摂取と死亡リスクの関係はJカーブ/NEJM

 心血管の健康に最適なナトリウム摂取量は3~6g/日(食塩換算量:7.5~15.0g/日)であり、これより多くても少なくても、死亡や心血管イベントのリスクが高くなることが、カナダ・マックマスター大学のMartin O’Donnell氏らが行ったPURE試験で示された。世界の心血管疾患予防ガイドラインが推奨するナトリウム摂取量は1.5~2.4g/日だが、これを達成するには、ほとんどの人が食生活の根本的な変更を迫られると考えられる。ナトリウム摂取量の減少が心血管疾患リスクの低下をもたらすことを証明した大規模無作為化試験はなく、前向きコホート試験の結果からは一致した見解は得られていないという。NEJM誌2014年8月14日号掲載の報告。

血糖降下強化療法の評価―ACCORD試験続報/Lancet

 カナダ・マックマスター大学のHertzel C Gerstein氏らは、ACCORD試験データからの分析の結果、2型糖尿病やその他リスク因子を有する中高年において、血糖値上昇は、虚血性心疾患の修正可能なリスク因子であることが明らかにされたことを報告した。血糖降下強化療法vs. 標準療法を検討したACCORD試験は、死亡増により早期中止となったが、介入期間中の血糖降下療法の全ベネフィットは死亡リスクを上回ることが観察されていた。今回の検討は、試験中止後の追跡期間を含めた評価で、結果、同様の所見が得られたという。著者は、「血糖コントロール不良と虚血性心疾患の関連についてさらなる研究を行う必要性が強力に示された」とまとめている。Lancet誌オンライン版2014年8月1日号掲載の報告より。

消化管・頭蓋内出血リスクの新たな予測法/BMJ

 英国・ノッティンガム大学パーク大学キャンパスのJulia Hippisley-Cox氏らが開発した出血リスク予測のアルゴリズム「QBleed」は、抗凝固薬の使用・非使用患者の上部消化管出血および頭蓋内出血の絶対リスク予測に有用であることが報告された。著者は、「このアルゴリズムをプライマリ・ケアで用いるため、臨床アウトカムと費用対効果についてさらなる検討を行う必要がある」とまとめている。BMJ誌オンライン版2014年7月28日号掲載の報告より。

分娩前の低分子量ヘパリン、合併症を抑制せず/Lancet

 血栓性素因を有するため合併症のリスクが高い妊婦に対する低分子量ヘパリン・ダルテパリンの分娩前予防投与は、これらの合併症の発生を抑制しないことが、カナダ・オタワ大学のMarc A Rodger氏らが行ったTIPPS試験で示された。血栓性素因は妊婦によくみられる病態で、妊娠関連静脈血栓塞栓症(VTE)のリスクを増大させ、胎盤介在性妊娠合併症(重症妊娠高血圧腎症、在胎週数に比し小さい新生児、胎盤早期剥離)のリスクをも増加させる可能性がある。低分子量ヘパリンは胎盤を通過せず、大出血やヘパリン起因性の血小板減少、骨粗鬆症のリスクが低いとされるが、皮下注射の手間や費用などの問題がある。Lancet誌オンライン版2014年7月25日号掲載の報告。

スタチン時代にHDL上昇薬は必要か/BMJ

 スタチン治療中の患者に対し、HDL値の上昇効果があるナイアシン、フィブラート系薬、コレステリルエステル転送蛋白(CETP)阻害薬の併用はいずれも、全死因死亡、冠動脈疾患死、また心筋梗塞や脳卒中を減少しないことが示された。英国インペリアル・カレッジ・ロンドンのDaniel Keene氏らが患者11万7,411例のデータを含む無作為化試験をメタ解析し報告した。「観察研究では、HDL上昇と心血管アウトカム改善の相関性が示されているが、スタチンが広く使用されるようになった現在では、HDL値を上昇するこれら3つの薬剤の有益性を裏付ける試験はなかった」とまとめている。BMJ誌オンライン版2014年7月18日号掲載の報告より。