循環器内科/心臓血管外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:306

生物学的年齢であるテロメア長は冠動脈疾患リスクと関係する(解説:原田 和昌 氏)-250

暦年齢は心血管疾患のリスクとなるが、内皮障害など生物学的年齢と関係するバイオマーカーが探索されてきた。その候補のひとつ、テロメア長が組織の種類により異なり加齢で短縮すること、組織により短縮速度が異なること、テロメア長に個人差が大きいことを2002年に田久保らは報告した。

急性冠症候群の新薬、第III相試験の結果/JAMA

 急性冠症候群に対する新たなLp-PLA2阻害薬ダラプラジブ(darapladib)について、プラセボと比較した長期有効性の結果が報告された。米国・ブリガム&ウィメンズ病院のMichelle L. O’Donoghue氏らによる第III相多施設共同の無作為化二重盲検プラセボ対照試験SOLID-TIMI 52の結果で、3年時の主要冠動脈イベントの発生リスクは、プラセボと有意な差は示されなかった。Lp-PLA2は、炎症を介したアテローム発生に関与する酵素で、ダラプラジブはLp-PLA2を選択的に阻害する経口薬として開発が進められてきた。JAMA誌2014年9月10日号掲載の報告より。

原因不明の脳梗塞患者に潜む心房細動(解説:高月 誠司 氏)-247

 脳梗塞症例のうち20~40%は、適切な診断評価を行っても原因が不明とされ、これをCryptogenic stroke(原因不明の脳梗塞)という。心房細動による心原性脳梗塞は再発の頻度が高く、しかも重篤な症状を残すことが多い。初回脳梗塞発作時に適切に心房細動と診断し適切な抗血栓療法を行えば、患者の予後を改善する可能性がある。しかし発作性心房細動症例では脳梗塞発症時に洞調律に戻っていると、その診断に苦慮することがある。

極薄タイプの新型溶出ステントの有用性/Lancet

 経皮的冠血行再建術に用いる薬剤溶出ステントについて、新型の極薄タイプの生分解性ポリマー・シロリムス溶出ステントの安全性、有効性の試験結果が報告された。スイス・ベルン大学病院のThomas Pilgrim氏らによる、耐久性ポリマー・エベロリムス溶出ステントとの比較で検討した無作為化単盲検非劣性試験BIOSCIENCEで、12ヵ月時点の安全性・有効性複合アウトカムは非劣性であることが示された。試験集団は、除外基準最小で、2剤併用抗血小板療法のアドヒアランスが高い(80%超)患者集団であった。また事前規定のサブグループ解析で、ST上昇型心筋梗塞患者における顕著な有益性がみられたが、著者はその点についてはさらなる検討が必要であるとしている。Lancet誌オンライン版2014年9月1日号掲載の報告より。

厳格な血糖コントロールのご利益と選択の是非(解説:景山 茂 氏)-246

ACCORD研究は、強化療法群における死亡が有意に多かったために早期終了し、平均追跡期間は3.7年であった。本論文は、この試験期間に加え、試験終了後は両群共に緩やかな血糖コントロールに変更して追跡した1.2年のデータを加えて報告している。平均年齢62歳、2型糖尿病の罹病期間10年の心血管疾患のハイリスクの患者においても、心筋梗塞は強化療法群において少ないことが示された。

ベストマッチの合成薬とベストな試験デザインがもたらした心不全治療のパラダイムシフト(解説:原田 和昌 氏)-245

ここ10年間にFDAより認可された新規の経口心不全治療薬はない(ivabradineも認可せず)。アンジオテンシン受容体・ネプリライシン阻害薬(ARNI)であるLCZ696は駆出率の低下した心不全(HFrEF)患者において、β遮断薬などの標準治療に上乗せして、ACE阻害薬エナラプリルよりも、死亡および入院リスクを20%有意に抑制した。

安定冠動脈疾患のPCI、冠血流予備量比で適応判断~2年後の結果/NEJM

 安定型冠動脈疾患の治療では、冠動脈造影時に冠血流予備量比(fractional flow reserve; FFR)を測定し、心筋虚血の可能性が高いと判定された患者のみに経皮的冠動脈インターベンション(PCI)と薬物療法を行うアプローチが、薬物療法単独よりも良好な予後をもたらすことが、ベルギー・アールスト心血管センターのBernard De Bruyne氏らが行ったFAME 2試験で示された。血行再建術の成果は心筋虚血の範囲や程度に依存する。FFRが0.80以下(狭窄による最大血流量の20%以上の減少)では、心筋虚血が誘発される可能性が示唆され、このような患者では冠動脈造影のみによる血行再建術よりもFFRガイド下血行再建術のほうが、臨床アウトカムは良好とのデータがあるという。NEJM誌オンライン版2014年9月1日号掲載の報告。

心房細動合併の心不全、β遮断薬で予後改善せず/Lancet

 心房細動合併の心不全患者に対し、β遮断薬は死亡率の低下に結び付かないことが、英国・バーミンガム大学のDipak Kotecha氏らが行ったメタ解析の結果、明らかにされた。著者は、「今回の所見は、β遮断薬をその他の心拍コントロール治療に優先して用いるべきではないことを示すものであり、同患者の予後を改善する標準療法として推奨されないことが示された」と述べている。Lancet誌オンライン版2014年9月2日号掲載の報告より。

結核性心膜炎でのステロイドや免疫療法を検証/NEJM

 結核性心膜炎患者に対し、補助的プレドニゾロン治療またはM. indicus pranii免疫療法のいずれも、有意な効果は認められなかったことが示された。南アフリカ共和国のケープタウン大学のBongani M Mayosi氏らが報告した。結核性心膜炎は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症を有している患者の頻度が高く、抗結核治療にもかかわらず有病率や死亡率が高いことが報告されている。また、補助的グルココルチコイド療法の効果については、死亡率の減少などが報告されていたが、HIV感染症患者についてはがんリスクを増大するといった報告が寄せられ、その使用について国際ガイドラインでは相反する勧告が示されている。研究グループは、補助的プレドニゾロンについてHIV感染症患者を含む結核性心膜炎に対し効果があるのではないかと仮定し検討を行った。NEJM誌オンライン版2014年9月1日号掲載の報告より。