循環器内科/心臓血管外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:307

心拍数低下薬、心不全症状のない安定冠動脈疾患には?/NEJM

 心不全症状を認めない安定冠動脈疾患に対し、心拍数低下薬イバブラジン(国内未承認)を標準治療に追加して投与しても、アウトカムの改善には結びつかなかったことが報告された。英国・王立ブロンプトン病院のKim Fox氏らによる、無作為化二重盲検プラセボ対照試験の結果、示された。これまでの検討でイバブラジンは、左室機能不全、心拍数70回/分以上の安定冠動脈疾患患者について、アウトカムを改善することが示唆されていた。NEJM誌オンライン版2014年8月31日号掲載の報告より。

PCI前の血栓吸引、1年死亡率も改善せず/NEJM

 ST上昇型心筋梗塞(STEMI)患者に対する経皮的冠動脈インターベンション(PCI)前の冠動脈内血栓吸引療法は、PCI単独に比べ1年後の全死因死亡を改善しないことが、スウェーデン・ウプサラ大学のBo Lagerqvist氏らが行ったTASTE試験で示された。急性STEMIの多くは冠動脈内の血栓形成に起因し、血栓の重症度や血流量低下、心筋灌流障害は、不良な臨床アウトカム(心筋梗塞の再発、ステント血栓症、死亡など)の重要な予測因子とされる。プライマリPCI前の血栓吸引療法の有用性が示唆されているが、短期的な死亡率の改善効果は確立されていない。NEJM誌オンライン版2014年9月1日号掲載の報告。

降圧薬投与量の自己調整の有用性/JAMA

 心血管疾患高リスクの高血圧患者の血圧管理について、家庭血圧(自己モニタリング)と降圧薬の自己調整投与を組み合わせた管理は、外来受診時に血圧を測定し医師が投薬を調整する通常ケアによる管理と比較した結果、12ヵ月時点の収縮期血圧は前者のほうが低下したことが示された。英国・オックスフォード大学のRichard J. McManus氏らが行った無作為化試験TASMIN-SRの結果、報告された。これまでに同自己管理手法の有用性は報告されていたが、高リスク患者を対象としたデータは報告されていなかった。JAMA誌2014年8月27日号掲載の報告より。

高所得国は心血管リスク高いが発症少ない/NEJM

 心血管リスクは、低所得国が最も低く高所得国が最も高いにもかかわらず、実際の心血管イベント発生率や致死率は、高所得国が最低で低所得国が最高であることが明らかになった。背景として、高所得国では予防的薬物治療や血行再建術の実施率が高いことがあることも判明したという。カナダ・ハミルトン総合病院のSalim Yusuf氏らが行った17ヵ国、約16万人を対象とした検討の結果、判明した。NEJM誌2014年8月28日号掲載の報告より。

高血圧治療は個々のリスク因子合併を考慮した“トータルバスキュラーマネージメント”が重要(解説:桑島 巌 氏)-237

日本動脈硬化学会によるガイドラインでは、高脂血症の薬物治療開始基準を一律に決定するのではなく、性、年齢、血圧、糖尿病の有無など血管系リスク層別化を考慮した治療目標を設定すべきことが示されている。これは、これまでのメタ解析で、血管合併症のリスクの高い症例ほど薬物治療による絶対的リスク減少が大きいことが明らかになっているからである。

ACE阻害薬を超える心不全治療薬/NEJM

 新規開発中のLCZ696は、ACE阻害薬エナラプリル(商品名:レニベースほか)よりも、駆出率低下の心不全を有する患者の死亡および入院リスクの抑制に優れることが示された。英国・グラスゴー大学のJohn J.V. McMurray氏らPARADIGM-HF研究グループが二重盲検無作為化試験の結果、報告した。LCZ696は、新規クラスのアンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬(ARNI:ネプリライシン阻害薬sacubitril[AHU377]とARBバルサルタンからなる)で、高血圧症および駆出率保持の心不全を有する患者を対象とした小規模試験において、ARB単剤よりも血行動態および神経ホルモンに関する効果が大きかったことが示されていた。NEJM誌オンライン版2014年8月30日号掲載の報告より。

慢性心不全治療のパラダイムシフト:ACE阻害薬はもはや標準薬ではない!(解説:平山 篤志 氏)-236

慢性心不全患者では、代償機転としてレニン・アンジオテンシン(RA)系が活性化され血管収縮による後負荷や水分貯留による前負荷が増加している。一方で、Na利尿ペプチド、アドレノメジュリンなどのペプチドがネプリライシンにより分解され、その血管拡張作用が減弱し、後負荷増加となる。このような代償機転の持続が慢性心不全の悪化につながることから、RA系阻害に加え、ネプリライシン阻害が心不全の予後改善につながると期待された。