循環器内科/心臓血管外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:6

診療ファシリテーターの介入、CKDや高血圧患者の入院は減少せず/NEJM

 腎機能障害をもたらす3疾患(慢性腎臓病[CKD]、2型糖尿病、高血圧)を有する患者のケアに対し、電子健康記録(electronic health record:EHR)に基づくアルゴリズムと、医療従事者を支援する診療ファシリテーターを導入する介入は、通常ケアと比較して、1年の時点での入院の減少に至らないことが、米国・テキサス大学サウスウェスタン医療センターのMiguel A. Vazquez氏らが実施した「ICD-Pieces試験」で示された。研究の詳細は、NEJM誌2024年4月4日号に掲載された。

「魚と酒」は「肉中心」より高血圧になりやすい!?~日本人男性

 食事パターンと高血圧発症の関連を検討した日本人男性における前向きコホート研究で、「魚介類とアルコール」より「肉類中心」や「乳製品/野菜中心」のほうが高血圧リスクが低かったことを、東北大学/中国・Heze UniversityのLongfei Li氏らが報告した。本研究では食事パターンの特定に、食物摂取頻度・食事行動・調理方法を考慮した「教師なし機械学習法」を用いている。European Journal of Nutrition誌オンライン版2024年2月25日号に掲載。

PREVENT計算式で心血管疾患リスクを推定可能に

 「心血管疾患(CVD)イベントのリスク予測(Predicting Risk of CVD EVENTs;PREVENT)」方程式は、心不全を含むCVDのリスクを正確に推定できることが、「Circulation」に11月10日掲載のmethods paperおよび付随する科学的声明により報告された。この結果は、米国心臓協会の年次学術集会(AHA 2023、11月11~13日、米フィラデルフィア)でも同時発表された。  CVDの絶対リスクを評価する多変量リスク予測方程式の使用は、複数の一次予防ガイドラインにおいて現在推奨されているが、課題も多く存在する。米ノースウェスタン大学ファインバーグ医学部のSadiya S. Khan氏らは、心血管・腎臓・代謝の3つの軸に関連する予測因子や、健康の社会的決定因子も考慮した新たな方程式が必要と考え、CVDの既往のない30~79歳の米国成人を対象としたPREVENT方程式を開発した。

肺静脈隔離術+左心耳結紮術、心房細動の予後を改善するか/JAMA

 初回カテーテルアブレーションを受ける非発作性心房細動患者では、肺静脈隔離術(PVI)単独と比較して左心耳(LAA)結紮術+PVIは、術後30日以内の重篤な有害事象の発現(安全性)を有意に改善するものの、12ヵ月後の時点で心房細動の発現がない状態(有効性)に有意な差はないことが、米国・Kansas City Heart Rhythm InstituteのDhanunjaya R. Lakkireddy氏らが実施した「aMAZE試験」で示された。研究の詳細は、JAMA誌2024年4月2日号で報告された。  aMAZE試験は、非発作性心房細動に対するカテーテルアブレーションにおけるLAA結紮デバイス(LARIAT、AtriCure製)の安全性と有効性の評価を目的とする非盲検無作為化試験。2015年10月~2019年12月に米国の53施設で患者を登録し行われた(AtriCureの助成を受けた)。

甘い飲み物の飲み過ぎで心房細動?

 加糖飲料や人工甘味料入りの飲料を飲み過ぎると、心房細動になりやすくなる可能性を示唆するデータが報告された。上海交通大学医学院附属第九人民医院(中国)のNingjian Wang氏らの研究によるもので、詳細は「Circulation: Arrhythmia and Electrophysiology」に3月5日掲載された。  甘味飲料の摂取量が一部の心血管代謝疾患のリスクと関連のあることは知られているが、心房細動との関連はこれまで明らかにされていない。心房細動は不整脈の一種で、自覚症状として動悸やめまいなどを生じることがある。ただしより重要なことは、心房細動では心臓の中に血液の塊(血栓)が形成されやすくなって、その血栓が脳の動脈に運ばれて脳梗塞が起きてしまうリスクが高い点にある。このタイプの脳梗塞は梗塞の範囲が広いことが多く、重症になりやすい。

身長低下と動脈硬化が相関~60歳以上の日本人

 動脈硬化と身長低下はそれぞれ心血管系疾患との関連が報告されているが、動脈硬化と身長低下の関連はこれまで明らかになっていない。今回、長崎大学の清水 悠路氏らによる後ろ向き研究で、高齢者において動脈硬化と身長低下が関連することが示された。Scientific Reports誌2024年4月2日号に掲載。  本研究は、年1回の健康診断を受けた60~89歳の2,435人を対象にした後ろ向き研究。動脈硬化は頸動脈内膜中膜厚(CIMT)が1.1mm以上とし、身長低下は年間の身長減少が最高五分位群にあることとした。

マルチキナーゼ阻害薬・スニチニブの水平展開-難治性褐色細胞腫への応用 PhaseII試験が、Lancet誌に掲載されました!?(解説:石上友章氏)

 この論文は、進行性の転移性褐色細胞腫とパラガングリオーマの患者を対象にした初の無作為化比較試験の結果を報告している。この分野では以前に無作為化比較試験が行われたことがなく、スニチニブの有用性に関する臨床前および初期臨床データが示され、スニチニブの安全性と有効性を評価することを目的としている。スニチニブは、いわゆるマルチキナーゼ阻害薬であり、本邦ではスーテントの商品名で、イマチニブ抵抗性の消化管間質腫瘍、根治切除不能または転移性の腎細胞がん、膵神経内分泌腫瘍の適応を取得している。

「心臓血管疾患における遺伝学的検査と遺伝カウンセリングに関するガイドライン」13年ぶりの改訂/日本循環器学会

 日本循環器学会、日本心臓病学会、日本小児循環器学会の合同ガイドライン『心臓血管疾患における遺伝学的検査と遺伝カウンセリングに関するガイドライン』が、2011年以来の13年ぶりの改訂となった。3月8~10日に開催された第88回日本循環器学会学術集会で、本ガイドラインの合同研究班班長である今井 靖氏(自治医科大学 臨床薬理学部門・循環器内科学部門 教授)が、ガイドライン改訂の要点を解説した。  本ガイドラインは2006年に初版が刊行され、2011年に改訂版が公表された。当時、遺伝子解析の大半は研究の範疇に属し、ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針に沿って実施されていた。その後、2021年の「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」により、他の医学系研究指針と統合され、ヒト遺伝子情報が他の医学・生命科学の情報と同列に扱われるようになった。さらに最近では、診療として実施される遺伝学的検査が大幅に増加しており、がんなどの他の診療分野での遺伝学的検査の普及と並行し循環器疾患においても今後さらに適応が増加することは必至と考えられる。今回の改訂はこれらの状況を踏まえて行われた。

心臓移植候補者、提供受諾の決定に人種や性別が影響か/JAMA

 心臓移植の待機リストに登録している移植候補者に関して、移植施設の医療チームが心臓の提供を受け入れる確率は、移植候補者が白人の場合と比較して黒人で低く、男性に比べ女性で高いことが、米国・インディアナ大学のKhadijah Breathett氏らの調査で明らかとなった。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2024年3月25日号に掲載された。  研究グループは、移植待機リストに登録されている心臓移植候補者の人種および性別が、移植施設の医療チームが心臓提供の申し出を受諾する確率と関連するかを評価する目的で、コホート研究を行った(米国国立心肺血液研究所[NHLBI]などの助成を受けた)。  全米臓器分配ネットワーク(UNOS)のデータセットを用いて、2018年10月18日~2023年3月31日に心臓移植の候補となった米国の非ヒスパニック系黒人と非ヒスパニック系白人の成人について、心臓提供の申し出を受諾したか否かを特定した。  主要アウトカムは、移植施設の医療チームによる、心臓提供の申し出の受諾とした。

亜鉛欠乏症、日本人の特徴が明らかに

 亜鉛欠乏症は、免疫機能の低下、味覚障害、嗅覚障害、肺炎、成長遅延、視覚障害、皮膚障害などに影響を及ぼすため、肝疾患や慢性腎臓病などをはじめとするさまざまな疾患を管理するうえで、血清亜鉛濃度の評価が重要となる。今回、横川 博英氏(順天堂大学医学部総合診療科学講座 先任准教授)らが日本人患者の特徴と亜鉛欠乏との相関関係を調査する大規模観察研究を行った。その結果、日本人の亜鉛欠乏患者の特徴は、男性、入院患者、高齢者で、関連する病態として呼吸器感染症や慢性腎臓病などが示唆された。Scientific reports誌2024年2月2日号掲載の報告。