近年、スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)が片頭痛のリスクを低減し、予防治療として有効である可能性が示唆されているが、そのエビデンスは確証されていない。エジプト・Minia大学のHamdy A. Makhlouf氏らの研究チームは、スタチンの片頭痛の予防効果について、システマティックレビューおよびメタ解析で評価した。その結果、スタチンは片頭痛予防に有効であり、片頭痛頻度を有意に減少させることなどが判明した。The Journal of Headache and Pain誌2025年2月3日号に掲載。
本研究では、2024年10月までに公表された、HMG-CoA還元酵素(HMGCR)遺伝子と片頭痛リスクとの関連性、および片頭痛患者におけるスタチンの有効性に関する論文を、PubMed、Scopus、Web of Science、Cochrane Libraryを含む複数のデータベースで検索し、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。
主な結果は以下のとおり。
・13件の研究(ランダム化比較試験[RCT]6件、観察研究:メンデルランダム化研究4件、コホート研究2件、クロスセクション研究1件)がシステマティックレビューに含まれた。
・メンデルランダム化研究では、HMGCRの発現が片頭痛のリスク増加と関連していることが認められた(オッズ比[OR]:1.38~1.55、p<0.001)。
・スタチンと片頭痛リスクの関連を調べた3件の観察研究では、スタチン使用が片頭痛リスクを低減した(OR:0.73~0.94、p<0.001)。
・RCTのメタ解析では、スタチン群はプラセボ群と比較して、月間片頭痛発作頻度(MMF)が有意に減少することが認められた(平均差:-3.16回[95%信頼区間[CI]:-5.79~-0.53]、p=0.02、I2=79%)。
・スタチンは、とくに前兆を伴う片頭痛とビタミンD値が高い患者で、片頭痛リスクを大幅に低減させることが認められた。
・コホート研究によると、スタチン使用者の56.7%がトリプタン使用量を30%減少した(OR:1.28、95%CI:1.19~1.38)。
・スタチンと他の薬剤との比較において、シンバスタチン(20mg)とプロプラノロール(60mg)の比較では、両方とも片頭痛を有意に減少させたが、シンバスタチンのほうがより効果が大きかった(月間片頭痛日数[MMD]の平均差:-20.65日vs.-14.85日、p<0.001)。
・アトルバスタチン(40mg)とバルプロ酸ナトリウム(500mg)の比較では、両方とも片頭痛の頻度・強度・持続時間を減少させた。有害事象はアトルバスタチンのほうが少なかった(32%vs.66%)。
本結果について著者らは「スタチンが片頭痛予防において、安全性プロファイルが良好で、標準治療に匹敵する有効性を示している。とくに心血管系と神経系の疾患が重複する患者にとって有望な選択肢となることを示唆している。ただし、研究デザインの異質性が大きいため、今後さらなる大規模研究が必要だ」とまとめている。
(ケアネット 古賀 公子)