循環器内科/心臓血管外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:100

左後方心膜切開術、心臓手術後のAFを抑制/Lancet

 心臓手術時に左後方心膜切開術を加えると、これを行わない場合に比べ術後の心房細動の発生率がほぼ半減し、術後合併症リスクの増加はみられないことが、米国・Weill Cornell MedicineのMario Gaudino氏らが実施した「PALACS試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2021年11月12日号で報告された。  研究グループは、左後方心膜切開術は心臓手術後の心房細動の発生を抑制するとの仮説を立て、これを検証する目的で適応的単盲検無作為化対照比較試験を実施した(研究助成は受けていない)。

エンパグリフロジンの慢性心不全への承認取得/日本ベーリンガーインゲルハイム・日本イーライリリー

 日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社と日本イーライリリー株式会社は、11月25日付でSGLT2阻害薬エンパグリフロジン(商品名:ジャディアンス)錠10mgについて、日本ベーリンガーインゲルハイムが、慢性心不全に対する効能・効果および用法・用量に係る医薬品製造販売承認事項一部変更承認を、厚生労働省より取得したことを発表した。SGLT2阻害薬の慢性心不全への適応拡大では2剤目となる。  今回の製造販売承認(一部変更)は、エンパグリフロジンが心血管死または心不全による入院の複合リスクをプラセボと比較して有意に25%低下させることを示した“EMPEROR-Reduced試験”の結果に基づく。  本試験の主要評価項目に関する結果では、2型糖尿病合併の有無にかかわらず、サブグループ間で同様の結果を示した。また、試験の重要な副次評価項目の解析から、エンパグリフロジンは心不全による入院の初回および再発のリスクをプラセボと比較して30%低下させると共に、腎機能の低下を有意に遅らせることが明らかになった。安全性プロファイルは、これまでに確立されたエンパグリフロジンの安全性プロファイルと同様だった。

2型DMの新規発症リスクを低下・増加させる降圧薬は?/Lancet

 降圧治療は2型糖尿病の新規発症予防に効果的な戦略であるが、その効果は降圧薬のクラスにより異なっており、アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACEI)およびアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)で良好な結果が得られることが、英国・オックスフォード大学のMilad Nazarzadeh氏らBlood Pressure Lowering Treatment Trialists' Collaboration(BPLTTC)のメタ解析で示された。降圧治療は、糖尿病の細小血管および大血管合併症を予防する戦略として確立されているが、糖尿病そのものの予防に寄与するかは不明であった。著者は、「降圧薬のクラスによる差はおそらくオフターゲット作用の違いによるものと考えられる。今回のエビデンスは、糖尿病発症予防のために降圧薬のクラスを選択する必要があることを支持するものであり、個々の臨床的な糖尿病リスクに応じた薬剤選択の改善に結び付くだろう」と述べている。Lancet誌2021年11月13日号掲載の報告。

新規経口抗凝固薬milvexianが術後VTE予防に有効/NEJM

 新規経口第XIa因子阻害薬milvexianは、人工膝関節置換術後の静脈血栓塞栓症予防に有効であり、出血のリスクは低いことが示された。カナダ・マックマスター大学のJeffrey I. Weitz氏らが、エノキサパリンと比較するアダプティブデザインの第II相無作為化並行群間比較試験「AXIOMATIC-TKR試験」の結果を報告した。静脈および動脈血栓塞栓症の予防と治療において、第XIa因子阻害薬は従来の抗凝固薬より効果的で出血も少ない可能性が示されていた。著者は、「milvexianの有効性と安全性については、さらなる研究が必要である」とまとめている。NEJM誌オンライン版2021年11月15日号掲載の報告。

コロナ入院患者にアスピリン併用は有効か/Lancet

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)入院患者において、アスピリンによる治療は28日死亡率、侵襲的人工呼吸管理への移行または死亡のリスクを低下させなかったが、28日以内の生存退院率はわずかに改善した。無作為化非盲検対照プラットフォーム試験「RECOVERY試験」の結果で、英国・オックスフォード大学のPeter W. Horby氏らRECOVERY試験共同研究グループが報告した。これまで、その抗血栓性に基づきCOVID-19に対する治療薬としてアスピリンが提案されていたが、著者らは、「今回の結果は、COVID-19入院患者において、標準的な血栓予防や治療的抗凝固療法としてアスピリンを追加することを支持するものではない」とまとめている。Lancet誌オンライン版2021年11月17日号掲載の報告。

精神的ストレスによる心筋虚血で、CHDの心血管死/心筋梗塞リスクが増大/JAMA

 安定冠動脈疾患(CHD)では、精神的ストレス(人前でのスピーチで誘発し測定)による心筋虚血を有する患者は、このような虚血がない患者と比較して、心血管死/非致死的心筋梗塞のリスクが有意に高く、精神的ストレスによる虚血と運動などの従来型の負荷試験による虚血の双方を呈する患者は、従来型の負荷試験による虚血のみの患者に比べ、同リスクが増加していることが、米国・エモリー大学のViola Vaccarino氏らの検討で示された。研究の成果は、JAMA誌2021年11月9日号に掲載された。  研究グループは、CHD患者における有害な心血管イベントの発生に、精神的ストレスよる心筋虚血や従来型の負荷試験による心筋虚血が関連するかの評価を目的に、米国の2つの前向きコホート研究の統合解析を行った(米国国立心肺血液研究所[NHLBI]などの助成を受けた)。

ステージ4のCKD、クロルタリドンで血圧コントロール改善/NEJM

 進行した慢性腎臓病(CKD)を有し高血圧のコントロールが不良の患者において、クロルタリドン(国内販売中止)による降圧治療はプラセボと比較して12週時点で血圧コントロールを改善したことが、米国・インディアナ大学医学部のRajiv Agarwal氏らによる検討で示された。これまでに、進行したCKD患者の降圧治療においてサイアザイド系利尿薬の使用を支持するエビデンスは、ほとんど示されていなかった。NEJM誌オンライン版2021年11月5日号掲載の報告。 プラセボ対照で12週までの24時間ASBP値の変化を評価 研究グループは、ステージ4のCKDで、高血圧のコントロールが不良(24時間自由行動下血圧モニタリング[ABPM]で確認)の患者を無作為に1対1の割合で2群に割り付け、一方には、chlorthalidoneを投与(12.5mg/日で開始し4週ごとに増量、必要に応じて最大投与量は50mg/日とする)またはプラセボを投与し、有効性と安全性を評価した。無作為化では、ループ利尿薬の使用有無による層別化も行った。  主要アウトカムは、ベースラインから12週までの24時間自由行動下収縮期血圧(ASBP)値の変化。副次アウトカムは、尿中アルブミン/クレアチニン(A/C)比、NT-proBNP値、血漿レニン値とアルドステロン値、および身体容積(total body volume)のベースラインから12週までの変化であった。安全性も評価した。

DAPA-CKD試験の新たなサブ解析結果/AstraZeneca

 AstraZeneca(本社:英国ケンブリッジ)は、ナトリウム-グルコース共輸送体2(SGLT2)阻害薬であるダパグリフロジン(商品名:フォシーガ)を対象とした第III相DAPA-CKD試験の3つの新たなサブ解析の結果を発表した。  解析の結果、2型糖尿病の有無にかかわらず、慢性腎臓病(CKD)患者の治療で、ダパグリフロジンの心腎および死亡率に対するベネフィットが一貫して認められることをさらに裏付けた。また、リアルワールドエビデンス研究となるREVEAL-CKDでは、世界的にステージ3のCKD診断率が著しく低いことが明らとなった。

FFRガイド下PCI vs.CABG 、3枝冠動脈疾患/NEJM

 3枝冠動脈疾患患者において、冠血流予備量比(FFR)ガイド下での経皮的冠動脈インターベンション(PCI)は、1年時点の死亡・心筋梗塞・脳卒中・再血行再建術の複合イベントの発生について、冠動脈バイパス術(CABG)に対する非劣性は示されなかった。米国・Stanford Cardiovascular InstituteのWilliam F. Fearon氏らが、欧米などの48施設で実施した多施設共同非劣性試験「Fractional Flow Reserve versus Angiography for Multivessel Evaluation(FAME)3試験」の結果を報告した。3枝冠動脈疾患患者では、PCIと比較しCABGの転帰が良好であることが知られていたが、FFRガイド下PCIに関する研究はなかった。NEJM誌オンライン版2021年11月4日号掲載の報告。  主要評価項目は、1年以内の主要心脳血管有害事象(MACCE:全死亡、心筋梗塞、脳卒中、再血行再建術)の発生で、CABGに対するFFRガイド下PCIの非劣性マージンはハザード比(HR)の95%信頼区間(CI)の上限が1.65未満とした。副次評価項目は死亡、心筋梗塞、脳卒中の複合および各イベントなどで、安全性についても評価した。

併用療法の有効性が示唆される結果となった(解説:高梨成彦氏)

 経皮的脳血栓回収術では、血栓吸引カテーテルとステントリトリーバーの2種類のデバイスが使用される。基本的にはそれぞれ単独で使用するが、効率的な回収を期待して両者を組み合わせた併用療法も行われている。  本研究は併用療法がステントリトリーバー単独療法よりも有効性が高いという作業仮説を証明するために組まれた、オープンラベルのランダム化比較試験である。  主要評価項目は手術終了時のTICI 2c/3の有効再開通率と設定され、最終的に408例の患者が参加した。年間100例以上の脳血栓回収術を行っている施設のみが参加しており、術者は血栓吸引法とステントリトリーバー法をそれぞれ10例以上経験していることが条件である。