進行した慢性腎臓病(CKD)を有し高血圧のコントロールが不良の患者において、クロルタリドン(国内販売中止)による降圧治療はプラセボと比較して12週時点で血圧コントロールを改善したことが、米国・インディアナ大学医学部のRajiv Agarwal氏らによる検討で示された。これまでに、進行したCKD患者の降圧治療においてサイアザイド系利尿薬の使用を支持するエビデンスは、ほとんど示されていなかった。NEJM誌オンライン版2021年11月5日号掲載の報告。
プラセボ対照で12週までの24時間ASBP値の変化を評価
研究グループは、ステージ4のCKDで、高血圧のコントロールが不良(24時間自由行動下血圧モニタリング[ABPM]で確認)の患者を無作為に1対1の割合で2群に割り付け、一方には、クロルタリドンを投与(12.5mg/日で開始し4週ごとに増量、必要に応じて最大投与量は50mg/日とする)またはプラセボを投与し、有効性と安全性を評価した。無作為化では、ループ利尿薬の使用有無による層別化も行った。
主要アウトカムは、ベースラインから12週までの24時間自由行動下収縮期血圧(ASBP)値の変化。副次アウトカムは、尿中アルブミン/クレアチニン(A/C)比、NT-proBNP値、血漿レニン値とアルドステロン値、および身体容積(total body volume)のベースラインから12週までの変化であった。安全性も評価した。
群間差は-10.5mmHgで有意差
無作為化を受けたのは160例(クロルタリドン群81例、プラセボ群79例)で、年齢は各群66.2±10.8歳と66.7±10.8歳、男性の割合は77%と78%であった。121例(76%)が糖尿病を有し、96例(60%)がループ利尿薬の投与を受けていた。ベースラインでの体表面積当たりの平均(±SD)推算GFR値は23.2±4.2mL/分/1.73m
2、降圧薬の平均処方数は3.4±1.4だった。また、無作為化時点における平均24時間ASBP値は、クロルタリドン群142.6±8.1mmHg、プラセボ群140.1±8.1mmHgであり、平均24時間自由行動下拡張期血圧(ADBP)値はそれぞれ74.6±10.1mmHg、72.8±9.3mmHgであった。
ベースラインから12週までの補正後平均24時間ASBP値の変化は、クロルタリドン群-11.0mmHg(95%信頼区間[CI]:-13.9~-8.1)、プラセボ群-0.5mmHg(-3.5~2.5)で、群間差は-10.5mmHg(-14.6~-6.4)で有意差が認められた(p<0.001)。
ベースラインから12週までの尿中A/C比の変化割合(%)は、クロルタリドン群がプラセボ群よりも50ポイント(95%CI:37~60)低かった。
安全性の評価では、プラセボ群よりもクロルタリドン群で、低カリウム血症、血清クレアチニン値の可逆的上昇、高血糖症、めまい、および高尿酸血症の発生頻度が高かった。
(ケアネット)