皮膚科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:41

全身性エリテマトーデスに新たな経口薬登場か/Lancet

 標準治療ではコントロール不十分な全身性エリテマトーデス(SLE)の患者において、経口選択的JAK1/JAK2阻害薬であるバリシチニブ4mg投与は、徴候や症状を有意に改善したことが示された。米国・カリフォルニア大学ロサンゼルス校のDaniel J. Wallace氏らによる第II相プラセボ対照二重盲検無作為化試験の結果で、Lancet誌2018年7月21日号で報告している。安全性は、従来のバリシチニブ試験でみられたものと一致していた。現状ではSLE患者の医療的ニーズを十分に満たす治療法はない。著者は、「今回の結果は、SLEの経口治療薬として、JAK1/JAK2阻害薬バリシチニブの可能性について第III相試験の実施を支持するものであった」とまとめている。

メトトレキサート、重症円形脱毛症に有効

 メトトレキサートは、明確なエビデンスやガイドラインが不足する中、円形脱毛症に対する副腎皮質ステロイド治療開始後の低リスク維持療法の補助として、また、いくつかの研究では単独療法として用いられてきた。オーストラリア・ニューサウスウェールズ大学のKevin Phan氏らは、システマティックレビューおよびメタ解析を行い、メトトレキサートは重症円形脱毛症の治療において、単独療法またはステロイドの補助療法として有効であることを報告した。ただし、著者は「評価した研究はさまざまな後ろ向きの観察研究であり、円形脱毛症の治療におけるメトトレキサートの用量やプロトコールは施設間で異なっていた。さらに、補助療法については1年を越えるデータが不足していたなどの限界があった」としている。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2018年7月9日号掲載の報告。

見過ごされている毒ヘビ咬傷、世界的な実態は?/Lancet

 毒ヘビ咬傷は、見過ごされている頻度の高い罹患率と死亡率の原因である。しかし、ヘビの生態やヘビ咬傷治療に関するデータは乏しく、正確な負荷評価をしようにも限りがある。英国・オックスフォード大学のJoshua Longbottom氏らは、「世界的な関心の低さが、新たな治療法や十分な医療資源、ヘルスケアの入手を阻んでいる」として、世界の最新のヘビ咬傷対策のための“ホットスポット”の描出を試みた。Lancet誌2018年7月12日号掲載の報告。

NP、PAによる皮膚科手術、件数も範囲も拡大傾向

 ナースプラクティショナー(NP)やフィジシャンアシスタント(PA)といった高度実践医療従事者(Advanced Practice Professional:APP)は、数多くの多様な皮膚科的処置や手術を独立して行っているが、その件数や範囲が年々どのように変化しているかは、ほとんど知られていない。米国・Summa Akron City HospitalのMyron Zhang氏らは、メディケアのデータを解析し、APPが実施した皮膚科的処置や手術の件数が2012年から2015年にかけて経時的に増加しており、範囲も拡大していることを明らかにした。著者は、「年々増加傾向のAPPによる皮膚科的処置および手術の件数や範囲が、患者の予後とどのように関連しているか、またより正式な訓練が必要かどうかを明らかにするために、さらなる研究が望まれる」とまとめている。JAMA Dermatology誌オンライン版2018年7月11日号掲載の報告。

乾癬に対するイキセキズマブ vs.ウステキヌマブ

 インターロイキン(IL)-17Aを標的とする生物学的製剤は、臨床で安全なプロファイルを有し、尋常性乾癬のプラークを迅速に除去できる。フランス・ポール・サバティエ大学のCarle Paul氏らは、抗IL-17A抗体イキセキズマブの尋常性乾癬に対する有効性および安全性をIL-12/23阻害薬ウステキヌマブと直接比較したIXORA-S試験において、52週時の有効性はイキセキズマブがウステキヌマブより優れており、安全性は類似していることを報告した。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2018年6月30日号掲載の報告。

乾癬患者に推奨される食事への介入とは

 乾癬は慢性炎症性皮膚疾患で、有病率やQOLに重大な影響を及ぼす。米国・南カリフォルニア大学のAdam R. Ford氏らは、乾癬患者における食事への介入が、重症化を抑制するのに役立つかどうかを明らかにすることは重要であるとして、システマティックレビューにて検討を行った。その結果、重症化を抑えるための食事の介入は、標準的な薬物療法を補うことができるとして、成人の乾癬/乾癬性関節炎患者に対する食事勧告をまとめた。このエビデンスに基づく食事勧告は、米国国立乾癬財団(NPF)の医療委員会(Medical Board)に採択され、著者は「成人の乾癬患者における食事介入の有用性について臨床医の一助となるだろう」と述べている。JAMA Dermatology誌オンライン版2018年6月20日号掲載の報告。

細胞接着分子CADM1は菌状息肉症の診断に有効

 菌状息肉症(MF)は、最も頻度の高い皮膚T細胞性リンパ腫(CTCL)であるが、早期MFの紅斑(Patch)と局面(Plaque)は、乾癬やアトピー性皮膚炎などの炎症性皮膚疾患(ISD)によく似ている。ヒトの非小細胞肺がんのがん抑制遺伝子として同定された細胞接着分子のCADM1は、成人T細胞白血病/リンパ腫(ATLL)の診断マーカーとして報告されており、今回、新潟大学大学院医歯学総合研究科の結城 明彦氏らは、「CADM1陽性細胞は浸潤が少ない早期症例で確認され、早期MFの診断マーカーとして有用かもしれない」とまとめている。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2018年6月18日号掲載の報告。

オゼノキサシン1%クリーム、膿痂疹に有効

 オゼノキサシンは、グラム陽性菌への強い殺菌的な抗菌作用を示す新規局所抗菌薬で、接触感染で広まる皮膚の細菌感染症である膿痂疹に対する治療薬として、1%クリーム剤が開発された。米国・ベイラー医科大学のTheodore Rosen氏らは、無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験において、オゼノキサシン1%クリームが生後2ヵ月以上の膿痂疹患者に有効で、安全性と忍容性も良好であることを報告した。著者は、「オゼノキサシンクリームによる治療は、膿痂疹の新しい治療の選択肢となる」とまとめている。JAMA Dermatology誌オンライン版2018年6月13日号掲載の報告。