円形脱毛症とうつ病、相互にリスク因子

提供元:ケアネット

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公開日:2019/01/30

 

 円形脱毛症(AA)の罹病は、後にうつ病を発症するリスクがある一方で、大うつ病性障害(うつ病、MDD)の罹病も後のAA発症の有意なリスク因子であることが、カナダ・カルガリー大学のIsabelle A. Vallerand氏らによって明らかになった。MDDのAA発症リスクに関しては、抗うつ薬使用が交絡因子であること(予防効果を確認)も示されたという。AAは脱毛の自己免疫疾患であり、患者にMDDなどの大きな精神的負担を強いる。一方で、多くの患者はAAを発症する前にメンタルヘルス症状を訴えることから、MDDとAA双方の関連が示唆されている。JAMA Dermatology誌オンライン版2019年1月16日号掲載の報告。

 研究グループは、MDDとAA双方の関連性を評価する目的で、1986年1月1日~2012年5月16日に英国のThe Health Improvement Network(THIN)に登録された10~90歳の患者について、後ろ向きコホート研究を行い解析した。統計解析の実施期間は、2017年8月17日~2018年4月23日であった。

 AAのリスクを評価するために、MDDと診断された患者集団(曝露群)と対照群を、MDDのリスクを評価するために、AAと診断された患者集団(曝露群)と対照群を、それぞれコホートに割り付けた。また、Person-timeを曝露群の発症前と発症後に分けて評価した。

 主要評価項目は、AA、MDDそれぞれのリスク分析において、追跡期間中におけるMDDの発症もしくはAAの発症とした。

 主な結果は以下のとおり。

・AA、MDDにおいて、各分析の追跡期間は26年であった。
・AAのリスク分析によると、MDDを発症した患者は40万5,339例(女性:26万3,916例、男性:14万1,423例、年齢中央値:36.7歳[四分位範囲:26.6~50.5歳])、およびMDDを発症しなかった患者は573万8,596例(女性:291万2,201例、男性:282万6,395例、年齢中央値:35.8歳[四分位範囲:25.3~52.6歳])であった。
・共変量の調整後、MDDは後にAAの発症リスクを90%増加させた(ハザード比[HR]:1.90、95%信頼区間[CI]:1.67~2.15、p<0.001)。
・抗うつ薬は、AAリスクに対して予防効果を示した(HR:0.57、95%CI:0.53~0.62、p<0.001)。
・MDDのリスク分析によると、AAを発症した患者は6,861例(女性:3,846例、男性:3,015例、年齢中央値:31.5歳[四分位範囲:18.2歳])、AAを発症しなかった患者は613万7,342例(女性:317万2,371例、男性:296万4,971例、年齢中央値:35.9歳[四分位範囲:27.0歳])であった。
・共変量の調整後、AAは後にMDDの発症リスクを34%増加させた(HR:1.34、95%CI:1.23~1.46、p<0.001)。

(ケアネット)