皮膚科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:53

接触皮膚炎治療に有望視される開発中のJAK阻害薬

 サイトカインのシグナルを伝達するヤヌスキナーゼ(JAK)の阻害が、接触皮膚炎のような炎症性皮膚疾患の治療手段となりうる可能性が報告された。京都大学の天野 渉氏らがマウスを用いた実験において、JAK阻害薬JTE-052は抗原特異的T細胞活性化とその後の接触過敏症のような皮膚の獲得免疫に対して抑制作用を示すことを明らかにした。Journal of Dermatological Science誌オンライン版2016年9月13日号掲載の報告。

StageIII悪性黒色腫の術後補助療法にイピリムマブは有用/NEJM

 切除後の高リスクStage III悪性黒色腫の術後補助療法として、イピリムマブは一定の有害事象の負担はあるものの無再発生存(RFS)期間を10ヵ月以上延長し、全生存(OS)の改善をもたらすことが、フランス・Gustave Roussy Cancer Campus Grand ParisのAlexander MM Eggermont氏らが進めるEORTC 18071試験で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2016年10月8日号に掲載された。イピリムマブは、T細胞上のCTLA-4に選択的なIgG-1の完全ヒト型モノクローナル抗体で、進行悪性黒色腫の治療薬(3mg/kg)として、2011年、欧米で承認を得ている。その後の第II相試験では、用量0.3および3mg/kgに比べ10mg/kgの効果が優れることが報告されている。

関節症性乾癬の診療で大切なのはコラボ

 10月29日の「世界乾癬デー」を前に、日本乾癬学会、日本乾癬患者連合会ならびに製薬企業7社は合同で、「皮膚症状と関節症状を併せ持つ疾患『関節症性乾癬』」と題するメディアセミナーを都内で開催した。セミナーでは、皮膚科専門医、リウマチ科専門医、患者の3つの視点から本症の診療概要や現在の課題などが講演された。

悪性黒色種、発見者による予後の違いが明らかに

 悪性黒色種(メラノーマ)は早期診断が重要であるが、患者は疾患が進行してから受診することが多い。悪性黒色種を最初に誰が発見するかによって予後にどのような影響があるかは明らかになっていなかったが、スペインのグレゴリオ・マラニョン大学総合病院 Jose Antonio Aviles-Izquierdo氏らの調査によって、皮膚科医が発見したほうが患者自ら発見した場合よりも、予後は良好であることが明らかとなった。ただし皮膚科医の発見は80%が偶発的であったことも判明した。また、本人自ら発見した患者においては、とくに70歳超で男性より女性のほうが予後良好であった。著者は「この集団が、悪性黒色種発見のための教育を行う論理的なターゲットになるだろう」とまとめている。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2016年9月16日号掲載の報告。

70歳以上高齢者に対する帯状疱疹サブユニットワクチンの有効性(解説:小金丸 博 氏)-596

帯状疱疹の罹患率や、その合併症である帯状疱疹後神経痛の発生率は、年齢とともに増加することが知られている。帯状疱疹を発症した場合、抗ウイルス薬の投与によって罹病期間を短縮することはできるが、帯状疱疹後神経痛の減少効果は示されておらず、ワクチンによる予防効果が期待されてきた。日本や米国では、50歳以上の成人に対して帯状疱疹の予防に生ワクチンが認可されているが、帯状疱疹の予防効果は50%程度とそれほど高くなく、さらに年齢とともに有効性が低下することが指摘されていた。

タバコとアトピー性皮膚炎、受動/能動喫煙いずれも関連

 タバコの煙は、アトピー性皮膚炎(AD)の危険因子かもしれない。米国・ノースウェスタン大学のRobert Kantor氏らのシステマティックレビューおよびメタ解析の結果、能動喫煙および受動喫煙によるタバコの煙への曝露は、AD有病率の増加と関連していることが明らかとなった。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2016年8月16日号掲載の報告。

帯状疱疹の新規ワクチンの有効性、70歳以上では9割/NEJM

 組換え水痘帯状疱疹ウイルス糖蛋白EとAS01Bアジュバントを組み合わせた帯状疱疹サブユニットワクチン(HZ/su)の70歳以上高齢者に対する予防効果について、帯状疱疹の有効性は約91%、帯状疱疹後神経痛に対する有効性は約89%であることが示された。オーストラリア・シドニー大学のA.L.Cunningham氏らが、約1万4,000例を対象に行った第III相のプラセボ対照無作為化比較試験「ZOE-70」の結果で、NEJM誌2016年9月15日号で発表した。すでに、50歳以上を対象にHZ/suの有効性について検証した「ZOE-50」試験では、帯状疱疹リスクがプラセボに比べ97.2%減少したことが示されていた。

歯科従事者の手湿疹有病率36.2%、そのリスク因子とは?

 歯科医療従事職は、手湿疹のリスクが高い職業の1つである。熊本大学大学院 公衆衛生学分野の皆本 景子氏らは、歯科医療従事者における職業性手湿疹の有病率とそのリスク因子を明らかにする目的でアンケート調査を行った。その結果、実際に歯科医療従事者の手湿疹有病率は高いことが明らかになり、著者は、「予防のための教育とより頻繁なパッチテストが必要」と述べている。Contact Dermatitis誌2016年10月号の掲載の報告。

滅菌手袋 vs.非滅菌手袋、外来での皮膚外科手術後の創部感染発症率は?

 外来での皮膚外科手術後の創部感染発症率に、使用した手袋が滅菌か非滅菌かにより影響を及ぼすかどうかは結論が得られていない。米国・メイヨークリニックのJerry D. Brewer氏らは、システマティックレビューおよびメタ解析を行い、滅菌手袋と非滅菌手袋とで術後創部感染の頻度に差はないことを報告した。JAMA Dermatology誌オンライン版2016年8月3日号掲載の報告。