尋常性白斑患者におけるがんの発症率に関する研究では、一貫性のない結果が報告されている。イスラエル・テルアビブ大学のYochai Schonmann氏らは、約2万5千例の尋常性白斑患者を含む大規模コホートでがん発症リスクの評価を行い、結果をJournal of the American Academy of Dermatology誌2025年4月号に報告した。
研究者らは、イスラエルのClalit Health Servicesデータベース(2000~23年)を利用した人口ベースコホート研究を実施し、多変量Cox回帰モデルを用いて調整ハザード比(HR)を算出した。
主な結果は以下のとおり。
・本研究には、尋常性白斑患者2万5,008例およびマッチさせた対照群24万5,550例が含まれた。尋常性白斑患者の平均年齢(SD)は35.96歳(22.39歳)、1万2,679例(50.70%)が男性であった。
・がんの発症率は、尋常性白斑患者で10万人年当たり499例(95%信頼区間[CI]:468~532)、対照群で10万人年当たり487例(95%CI:476~497)であった(調整ハザード比[HR]:1.00、95%CI:0.93~1.07、p=0.999)。
・尋常性白斑患者では、対照群と比較して悪性黒色腫(調整HR:0.70、95%CI:0.50~0.99、p=0.0337)、肺がん(調整HR:0.73、95%CI:0.57~0.93、p=0.007)、膀胱がん(調整HR:0.70、95%CI:0.52~0.94、p=0.0138)のリスクが低かった。
著者らは、尋常性白斑患者のがん発症率は上昇していないことが示されたとし、同患者に対するがん検診は、一般集団に推奨されている標準的なガイドラインに従って実施すべきとまとめている。
(ケアネット 遊佐 なつみ)