糖尿病・代謝・内分泌科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:17

新薬muvalaplin、心血管リスク患者のリポ蛋白(a)を大幅減少/JAMA

 心血管イベントのリスクが高く、リポ蛋白(a)濃度が上昇した患者において、プラセボと比較して経口低分子リポ蛋白(a)阻害薬muvalaplinは、12週間の投与でリポ蛋白(a)を大幅に減少させ、忍容性も良好であることが、オーストラリア・モナシュ大学のStephen J. Nicholls氏らが実施した「KRAKEN試験」で示された。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2024年11月18日号で報告された。  KRAKEN試験は、リポ蛋白(a)濃度が上昇した患者におけるmuvalaplinのリポ蛋白(a)抑制効果の評価を目的とする二重盲検無作為化プラセボ対照第II相試験であり、2022年12月~2023年11月に日本を含む8ヵ国43施設で患者の無作為化を行った(Eli Lilly and Companyの助成を受けた)。

医師の「スーツ」事情、所持数や予算は?/医師1,000人アンケート

 ビジネスパーソンにとってユニフォーム的な存在である「スーツ」。一方、医師の仕事着といえば白衣のイメージがあるが、実際には勤務中に何を着ているのか?スーツを着る機会はいつなのか? ケアネット会員の男性医師を対象に、仕事中の服装やスーツの所有状況などについてアンケート形式で聞いた。

時間制限食でメタボ該当者のHbA1cが有意に低下

 メタボリックシンドローム(MetS)該当者の食事療法に時間制限食を用いることで、標準的な食事療法よりもHbA1cが有意に低下したとする研究結果が報告された。米ソーク生物学研究所のEmily N.C. Manoogian氏らの研究によるもので、詳細は「Annals of Internal Medicine」に10月1日掲載された。  時間制限食(time-restricted eating;TRE)は、1日の中でエネルギー量のある飲食物を摂取可能な時間帯を限定し、少なくとも14時間以上はエネルギーを摂取しないという食事療法。一方、摂取を禁止する時間帯以外はエネルギー量を考えず自由な飲食が可能で、総摂取量の増大が許容されることもある。この手軽さから人気が高まりつつあり、また減量や心代謝関連マーカーの改善につながるとする研究報告が増えているものの、まだ評価は確立されていない。

世界の糖尿病罹患率、日本の女性が低下し世界最低群に/Lancet

 英国・インペリアル・カレッジ・ロンドンのBin Zhou氏らNCD Risk Factor Collaboration(NCD-RisC)は、200の国と地域における1990~2022年の糖尿病の罹患率と治療動向を調べ、ほとんどの国、とくに低所得国と中所得国では、罹患率の上昇に比べて糖尿病治療率(糖尿病治療薬を使用している患者の割合)はまったく増えていないか、十分には増えていないことを示した。糖尿病はプライマリケアレベルでの検出が可能で、また効果的な治療により合併症リスクを低減できるが、糖尿病治療の実態と、それがどのように変化しているのかについて十分なデータはなかった。Lancet誌2024年11月23日号掲載の報告。

運動習慣のある人でも座りすぎは心臓に良くない

 座っている時間が長いと、たとえ推奨される最低限の運動を行っていたとしても、心臓に悪い影響が生じることを示唆するデータが報告された。ただし、より高強度の運動を加えることで、そのリスクをある程度抑制できる可能性があるという。米コロラド大学ボルダー校のChandra Reynolds氏らの研究によるもので、詳細は「PLOS ONE」に9月11日掲載された。同氏は、「仕事の後に少し歩く程度では、心臓の健康にとって十分ではないかもしれない」と述べている。  この研究は、米国コロラド州で行われている二つの疫学研究の参加者1,327人(平均年齢33.2±4.9歳〔範囲28~49〕、女性53%)を対象に行われた。研究参加者の年齢が比較的若いことに関連して、論文の筆頭著者である米カリフォルニア大学リバーサイド校のRyan Bruellman氏は、「若者は自分には加齢の影響が生じ始めていると全く考えていないことが多い。しかし後々の健康にとっては、人生のこの時期に何をするかが重要だ」と語っている。

CKDステージ3への尿酸降下薬、尿酸値6未満達成でCKD進展抑制か

 高尿酸血症は慢性腎臓病(CKD)患者で高頻度にみられる。高尿酸血症を有するCKD患者に対する尿酸低下療法については、『高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第3版』では、腎機能を抑制する目的に尿酸降下薬を用いることが条件付きで推奨されている。また、『エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2023』では、保存期CKD患者に対する尿酸低下療法について、「腎機能悪化を抑制する可能性があり、行うことを考慮してもよい」とされている。しかし、CKD患者における血清尿酸値の管理目標に関する無作為化比較試験は存在しない。

ビタミンDサプリで肥満高齢者の血圧低下

 高齢の肥満者がビタミンDサプリメントを摂取すると、血圧を下げられる可能性のあることが報告された。ただし、推奨される量よりも多く摂取したからといって、上乗せ効果は期待できないようだ。ベイルート・アメリカン大学医療センター(レバノン)のGhada El-Hajj Fuleihan氏らの研究の結果であり、詳細は「Journal of the Endocrine Society」に11月12日掲載された。  ビタミンDレベルが低いことが高血圧のリスクと関連のあることを示唆する研究報告があるが、その関連を否定する報告もあり、結論は得られていない。これを背景としてFuleihan氏らは、ビタミンDレベルが低下していて、血圧が高いことの多い肥満高齢者を対象とするランダム化比較試験を行った。

自覚症状に乏しい糖尿病性腎症に早く気付いて/バイエル

 バイエルは、11月14日に「糖尿病の日」に合わせ、糖尿病と合併症に関する啓発イベントを開催した。イベントでは、糖尿病専門医による糖尿病に関するプレスセミナーとお笑いコンビ「ガンバレルーヤ」をゲストに迎えての市民向けの疾患啓発が行われた。  「糖尿病と合併症ってどんな病気? 患者さん中心の医療について考える」をテーマに坊内 良太郎氏(国立国際医療研究センター 糖尿病研究センター/糖尿病内分泌代謝科)が、糖尿病の病態、診療、合併症を抑えるポイントを解説した。

前立腺肥大症治療薬のタダラフィルが2型糖尿病リスクを抑制

 前立腺肥大症(BPH)の治療に用いられているタダラフィルが、2型糖尿病(T2DM)発症リスクを低下させる可能性が報告された。京都大学大学院医学研究科薬剤疫学分野の髙山厚氏らによる研究の結果であり、論文が「Journal of Internal Medicine」に9月17日掲載された。  タダラフィルはホスホジエステラーゼ5阻害薬(PDE5i)と呼ばれるタイプの薬で、血管内皮細胞からの一酸化窒素の放出を増やして血管を拡張する作用があり、BPHのほかに勃起障害(ED)や肺高血圧症の治療に用いられている。近年、T2DMの発症に血管内皮機能の低下が関与していることが明らかになり、理論的にはPDE5iがT2DMリスクを抑制する可能性が想定される。ただし、そのエビデンスはまだ少ない。これを背景として髙山氏らは、リアルワールドデータを用いて実際の臨床試験をエミュレート(模倣)し、観察研究でありながら介入効果を予測し得る、ターゲットトライアルエミュレーションによる検証を行った。

GLP-1受容体アゴニストの減量に対する長期の効果と糖尿病予防効果の強固さ(解説:名郷 直樹氏)

GLP-1受容体アゴニストを72週投与し、体重減少を1次アウトカムとした二重盲検ランダム化比較試験SURMOUNT-1研究の対象者に対し、176週まで治療を継続し、さらに治療中止後に17週の追跡を追加した2次解析結果の報告である。  BMI 30以上、または糖尿病以外の肥満関連のリスクを持つBMI 27以上の肥満者を対象として、チルゼパチド5mg、10mg、15mgの週1回投与とプラセボを比較して、176週後、193週時点の体重変化と糖尿病の発症をアウトカムに設定している。