糖尿病・代謝・内分泌科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:16

2型DM、メトホルミンに追加するなら?/BMJ

 日常診療における2型糖尿病患者の2次治療として、メトホルミンに追加する3種の一般的な経口血糖降下薬(SU薬、DPP-4阻害薬、SGLT2阻害薬)の有効性を比較する検討が、英国・ロンドン大学衛生熱帯医学大学院のPatrick Bidulka氏らにより行われた。SGLT2阻害薬は、SU薬およびDPP-4阻害薬と比較してHbA1c、BMI、収縮期血圧を低下させ、心不全による入院(対DPP-4阻害薬)および腎臓病の進行による入院(対SU薬)のリスクを抑制した。なお、その他の臨床エンドポイントでは差があるとのエビデンスは示されなかった。BMJ誌2024年5月8日号掲載の報告。

2型DMへのGLP-1受容体作動薬とSGLT2阻害薬、併用vs.単剤/BMJ

 2型糖尿病患者では、GLP-1受容体作動薬とSGLT2阻害薬の併用は、これらの薬剤クラスの単剤投与と比較して、主要有害心血管イベント(MACE)および重篤な腎イベントのリスクを低減することが、英国・バーミンガム大学のNikita Simms-Williams氏らが実施したコホート研究で示された。研究の成果は、BMJ誌2024年4月25日号に掲載された。  本研究では、2013年1月~2020年12月に集積した英国の2型糖尿病患者の2つのコホートのデータを使用した(カナダ保健研究機構[CIHR]の助成を受けた)。

コーヒーが早食いによるメタボリックシンドロームを予防?

 早食いは肥満につながるとされ、健康のためにゆっくり食べることが推奨される。そんな中、新たに日本人を対象として行われた研究によると、1日1杯のコーヒーを飲むことで、早食いによるメタボリックシンドロームを予防できる可能性があるという。これは京都府立医科大学大学院医学研究科地域保健医療疫学の小山晃英氏らによる研究結果であり、「Healthcare」に3月7日掲載された。  メタボリックシンドロームは死亡やさまざまな疾患のリスクを上昇させる。食事のスピードとメタボリックシンドロームの関連が報告されているが、一度身に付いた習慣を変えるのは簡単なことではない。著者らは今回、カフェインやポリフェノール(クロロゲン酸)を含み、さまざまな健康効果が報告されているコーヒーに着目して、コーヒー摂取量、食事のスピード、メタボリックシンドロームの関連について調べた。

いくつかの腸内細菌はコレステロールを低下させる

 腸内細菌叢の組成が、肥満や2型糖尿病、炎症性腸疾患を含む、さまざまな疾患のリスクと関連していることが明らかになってきているが、新たにコレステロール値の低下に関連している可能性のある腸内細菌が見つかった。この細菌は、心血管疾患のリスク低減というメリットをもたらす可能性もあるという。米ブロード研究所のRamnik Xavier氏らの研究によるもので、詳細は「Cell」に4月2日掲載された。論文の上席著者である同氏は、「われわれの発見は、腸内細菌叢の組成をわずかに変えることによって、心血管の健康を改善させるというアプローチのスタートラインと言えるのではないか」と述べている。

スタチンで糖尿病発症リスクは本当に増加する?

 スタチン療法により、糖尿病の新規発症リスクが約10%増加すると報告されているが、そのタイミングやどのような患者でリスクが高いかは明らかでない。英国・Cholesterol Treatment Trialists'(CTT)Collaborationの研究者らは、大規模な無作為化比較試験の個々の参加者データを用いたメタ解析を実施し、結果をLancet Diabetes & Endocrinology誌2024年5月号に報告した。  対象となったのは、追跡期間2年以上で1,000人以上が参加するスタチン療法に関する二重盲検無作為化比較試験。メタ解析では、糖尿病の新規発症(糖尿病関連有害事象、新規血糖降下薬の使用、血糖値[空腹時血糖値≧7.0mmol/Lまたは随時血糖値≧11.1mmol/Lが2回以上]、HbA1c値[≧6.5%が1回以上]により定義)、糖尿病患者における血糖値悪化(ケトーシス関連の有害事象または血糖コントロールの悪化、ベースラインから≧0.5%のHbA1c値上昇、血糖降下薬の強化で定義)に対するスタチン療法の影響を評価した。

GLP-1受容体作動薬の使用で甲状腺がんリスクは増加する?

 ウゴービやオゼンピックなどのGLP-1受容体作動薬(GLP-1アナログ製剤)は、糖尿病治療薬や肥満症治療薬として多くの人に使用されるようになった一方で、長期間の使用が甲状腺がんのリスク増加と関連する可能性が危惧されている。しかし、43万5,000人以上を対象としたスウェーデンの研究で、そのような考えの裏付けとなるエビデンスは見つからなかったことが報告された。カロリンスカ研究所(スウェーデン)のBjorn Pasternak氏らによるこの研究結果は、「The BMJ」に4月10日掲載された。

2型糖尿病患者の消化器症状は不眠症と関連

 糖尿病患者には、上部消化器症状(胸やけ、胃痛、胃もたれなど)や下部消化器症状(便秘、下痢など)がしばしば見られる。日本人の2型糖尿病患者を対象とした研究で、これらの消化器症状が患者の不眠症と強く関連していることが判明した。これは京都府立医科大学大学院医学研究科内分泌・代謝内科学の南田慈氏、岡田博史氏、福井道明氏らによる研究結果であり、「Journal of Diabetes Investigation」に3月5日掲載された。  消化器症状は、糖尿病患者におけるQOL低下の一因である。一方、夜間頻尿により睡眠が中断されることや、糖尿病神経障害による痛み、夜間の血糖値の急激な変化、抑うつなどを伴うことで、糖尿病患者には不眠症が生じ得ることも報告されている。しかし、糖尿病患者における消化器症状と不眠症の関係についてはこれまでにほとんど検討されていない。

小児~成人期のnon-HDL-C高値、中年期の心血管イベントと関連/JAMA

 小児期から成人期まで、持続的な非HDLコレステロール(non-HDL-C)高値の脂質異常症を有する人は心血管イベントのリスクが高かったが、成人期までにnon-HDL-C値が改善した人は脂質異常症ではなかった人と心血管リスクは同程度であることが、オーストラリア・メルボルン大学のFeitong Wu氏らによる、International Childhood Cardiovascular Cohort(i3C)コンソーシアムの前向きコホート研究で示された。non-HDL-C上昇は小児によくみられ、成人期の心血管リスクを増大することが知られる。しかし、小児期のnon-HDL-C上昇が成人期までに改善することが臨床的な心血管リスクの低下と関連するかどうかは不明であった。著者は今回の結果から、「小児期のnon-HDL-C上昇を予防・軽減するための介入が、早発性心血管疾患の予防に役立つ可能性が示唆された」とまとめている。JAMA誌オンライン版2024年4月12日号掲載の報告。

olezarsen月1回投与、トリグリセライドを50%減/NEJM

 olezarsenは、開発中のアポリポ蛋白C-III(APOC3)mRNAを標的とするN-アセチルガラクトサミン結合型アンチセンス・オリゴヌクレオチド。米国・ハーバード大学医学大学院のBrian A. Bergmark氏らBridge-TIMI 73a Investigatorsは、「Bridge-TIMI 73a試験」において、主に中等度の高トリグリセライド(TG)血症を有し心血管リスクが高い患者集団では、本薬の月1回投与によりプラセボと比較して、TG値を有意に低下させ、安全性に関する重大な懸念は生じないことを示した。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2024年4月7日号に掲載された。

膵体積とOGTTで1型糖尿病への進行を予測可能

 糖尿病関連自己抗体陽性の状態から1型糖尿病への進行を、MRIで評価した膵体積と経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)による糖代謝関連指標とによって予測できることが分かった。米テキサス大学オースティン校のJohn Virostko氏らの研究によるもので、詳細は「Diabetes Care」に12月27日掲載された。  これまでの研究で、1型糖尿病患者は膵体積が小さいことが明らかになっている。しかし、1型糖尿病発症前段階において、膵体積が小さいことが病態進行の予測因子であるか否かは不明。これを背景としてVirostko氏らは、1型糖尿病進行予防に関する国際共同研究(TrialNet)参加者を対象とする検討を行った。この国際共同研究には、1型糖尿病患者の血縁者で、糖尿病関連自己抗体を有するハイリスク者が参加している。進行ステージは、自己抗体が出現した状態の「ステージ1」、血糖異常が生じ始めた状態の「ステージ2」、および臨床的に1型糖尿病と診断される「ステージ3」という3段階に分類される。