糖尿病・代謝・内分泌科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:14

転倒リスクの高い2型糖尿病治療薬は?/筑波大

 骨格筋量の低下によって転倒リスクが増大することが知られており、一部の2型糖尿病治療薬は体重減少作用が強く、骨格筋量の減少を引き起こすことで転倒リスクを増大させる可能性が示唆されている。この課題について筑波大学システム情報系知能機能工学域の鈴木 康裕氏らの研究グループは、筑波大学附属病院に入院中の2型糖尿病患者を対象に転倒調査を5年間行った。その結果、SGLT2阻害薬は転倒の危険因子であることが示唆された。この結果はScientific Reports誌2025年3月17日号に掲載された。

カピバセルチブ使用時の高血糖・糖尿病ケトアシドーシス発現についての注意喚起/日本糖尿病学会

 「内分泌療法後に増悪したPIK3CA、AKT1またはPTEN遺伝子変異を有するホルモン受容体陽性かつHER2陰性の手術不能または再発乳がん」を適応症として2024年5月に発売された経口AKT阻害薬カピバセルチブについて、日本糖尿病学会では2025年4月15日、高血糖・糖尿病ケトアシドーシス(DKA)発現についての注意喚起を発出した。以下に抜粋するとともに、これを受けて同日発表された日本乳癌学会からの見解についても紹介する。  インスリンシグナル伝達のマスターレギュレーターであるAKTを阻害するカピバセルチブにより、インスリン抵抗性が誘導され高血糖を発現するリスクが想定される。実際に臨床試験(CAPItello-291試験)では有害事象として16.9%に高血糖を認めており、わが国における市販直後調査(2024月5月22日~2024年11月21日)でも高血糖関連事象が33例報告され、そのうち1例がDKAにより死亡している(推定使用患者数約350例)。

lepodisiran、400mg投与で半年後のLp(a)値を93.9%低下/NEJM

 開発中の長期持続型低分子干渉RNA(siRNA)薬lepodisiranについて、投与後60~180日に血清リポ蛋白(a)(Lp(a))値を低下したことが示された。米国・Cleveland Clinic Coordinating Center for Clinical ResearchのSteven E. Nissen氏らALPACA Trial Investigatorsが、第II相試験である国際多施設共同無作為化プラセボ対照試験の結果を報告した。Lp(a)値の上昇は、アテローム性心血管疾患と関連する。lepodisiranは、肝臓でのLp(a)の産生を標的とし、第I相試験では、最高試験用量608mgの単回投与が337日間にわたりLp(a)値を90%以上低下したことが示された。今回報告された第II相試験は、Lp(a)高値の集団でのlepodisiranのさらなる安全性を評価するとともに、Lp(a)値低下の大きさと期間を明らかにし、現在進行中の心血管アウトカムを評価する長期の第III相試験の用量と投与間隔の設定を目的として実施された。NEJM誌オンライン版2025年3月30日号掲載の報告。

フィネレノン、CKD有するHFmrEF/HFpEFに有効~3RCT統合解析(FINE-HEART)/日本循環器学会

 心不全患者のほぼ半数が慢性腎臓病(CKD)を合併している。心不全とCKDは、高血圧、肥満、糖尿病といった共通のリスク因子を持ち、とくに左室駆出率が保持された心不全(HFpEF)患者ではその関連がより顕著である。レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系(RAAS)や交感神経系の活性化、炎症、内皮機能障害、線維化、酸化ストレスといった共通の病態生理学的経路を有する。したがって、心不全患者、とくにHFpEF患者において、腎保護が治療成功の鍵となっている。

高齢者の不眠症に最も効果的な運動は?

 高齢者の不眠症の改善に最も効果的な運動は、レジスタンストレーニング(筋トレ)であるとする論文が発表された。ただし、筋トレだけでなく、有酸素運動などの有効性も確認されたという。マヒドン大学ラマティボディ病院(タイ)のKittiphon Nagaviroj氏らによる研究の結果であり、詳細は「Family Medicine and Community Health」に3月4日掲載された。  加齢とともに睡眠の質が低下する。高齢者の12~20%が不眠症に悩まされているという報告もある。不眠症はうつ病や不安症、その他の精神疾患と関連のあることが明らかになっており、さらにメタボリックシンドロームや高血圧、心臓病などの身体疾患との関連も示されている。

ワインによる各脂質レベルへの影響~メタ解析

 ワイン摂取が脂質プロファイルに及ぼす影響について、これまで脂質をトリグリセライド、総コレステロール、LDLコレステロール、HDLコレステロール、フィブリノゲンに分けてメタ解析を行った研究はなかった。今回、スペイン・University of Castilla-La ManchaのMaribel Luceron-Lucas-Torres氏らが系統的レビューとメタ解析を実施した結果、赤ワインによるLDLコレステロール減少効果が示された。The Journal of Nutrition, Health and Aging誌2025年6月号に掲載。  本研究では、MEDLINE(PubMed)、Scopus、Cochrane、Web of Scienceのデータベースを調べ、系統的レビューとメタ解析を行った。

水中エアロビクスは減量とウエスト周囲径の減少に効果あり

 水中エアロビクス(有酸素運動)により、過体重や肥満の人の体重が2.7kg程度減り、ウエスト周囲径も2.75cm細くなったとする研究結果が報告された。論文の上席著者である国立釜慶大学校(韓国)のJongchul Park氏は、「10週間以上の水中エアロビクスによる介入により、試験参加者の体重とウエスト周囲径が大幅に減少した」と述べている。この研究の詳細は、「BMJ Open」に3月11日掲載された。  Park氏らは、論文データベースを用いて、過体重または肥満の人を対象に水中エアロビクスが人間の身体計測値(体重、ウエスト周囲径など)と体組成に与える影響を、他の介入や何もしない場合と比較したランダム化比較試験(RCT)のシステマティックレビューを実施し、10件を選出(対象者の総計286人)。これらのRCTのデータを抽出した後、メタアナリシスを行い、過体重や肥満の人における水中エアロビクスの効果を評価した。

バターを植物油に置き換えると死亡リスク17%減

 バターがあれば何でもおいしくなる、というのは料理人の格言だが、バターは健康には良くないことが新たな研究で示された。バターの摂取量が多い人は少ない人に比べて早期死亡リスクが高いが、オリーブ油のような植物性の油を主に使っている人は早期死亡リスクが低いことが明らかになったという。米ブリガム・アンド・ウイメンズ病院のYu Zhang氏らによるこの研究結果は、「JAMA Internal Medicine」に3月6日掲載されると同時に、米国心臓協会(AHA)の生活習慣科学セッション(EPI/Lifestyle Scientific Sessions 2025、3月6~9日、米ニューオーリンズ)でも発表された。

子供も食事の早食いは肥満に関係する/大阪大

 「早食い」は太る原因といわれている。この食べる早さと肥満の相関は、子供にも当てはまるのだろうか。この課題に対し、大阪大学有床義歯補綴学・高齢者歯科学講座の高阪 貴之氏らの研究グループは、わが国の小学生1,403人の咀嚼能力および咀嚼習慣と肥満との関連を検討した。その結果、早食いや咀嚼能力の低下は、男子で肥満と関連していた。この結果は、Journal of Dentistry誌2025年3月8日号のオンライン版に掲載された。  研究グループは、大阪市の9~10歳の児童1,403人を対象に、咀嚼習慣を質問紙で評価し、咀嚼能力は色変化するチューインガムを用いて測定した。肥満は、身長と体重に基づく過体重の割合で判定し、多変量ロジスティック回帰分析を行い、咀嚼習慣と咀嚼能力を説明変数とし、性別、DMFT指数、ヘルマン歯発育段階を調整した肥満のオッズ比を算出した。

PADを有する2型DM、セマグルチドは歩行距離を改善/Lancet

 症候性末梢動脈疾患(PAD)を有する2型糖尿病(DM)患者において、セマグルチドはプラセボと比較して歩行距離の改善が大きかったことが示された。米国・コロラド大学のMarc P. Bonaca氏らSTRIDE Trial Investigatorsが、第IIIb相二重盲検無作為化プラセボ対照試験「STRIDE試験」の結果を報告した。PADは世界中で2億3,000万人超が罹患しており、有病率は高齢化により上昇していて、2型DMを含む心代謝性疾患の負担を増している。PAD患者に最も早期に発現し、最も多くみられ、最も支障を来す症状は機能低下と身体的障害であるが、機能や健康関連QOLを改善する治療法はほとんどなかった。Lancet誌オンライン版2025年3月29日号掲載の報告。