糖尿病・代謝・内分泌科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:25

セマグルチド製剤の最適使用推進ガイドラインを公表/厚労省

 社会的に痩身目的での糖尿病治療薬の使用が散見され、本来必要な患者に治療薬が届かないといった事態が起こっている。そのような中でセマグルチド製剤のウゴービ皮下注が肥満症治療薬として承認され、2023年11月22日に薬価収載された。これらの事態を懸念し、厚生労働省は医療機関および薬局に対する周知を目的として、本剤に関する「最適使用推進ガイドライン」を11月21日に公表した。  本ガイドラインには、ウゴービ皮下注を肥満症に対して使用する際の留意事項が記載されており、その使用に際し、ガイドライン内容に留意するよう促している。

30代で糖尿病と診断されると寿命が14年短くなる?

 人生のより早い時点で2型糖尿病と診断されるほど、寿命が短くなることを示唆するデータが報告された。30代で診断された場合、50歳時点の余命が14年短くなる可能性があるという。英ケンブリッジ大学のEmanuele Di Angelantonio氏らの研究によるもので、詳細は「The Lancet Diabetes & Endocrinology」10月号に掲載された。性別で比較した場合、女性でより大きな影響が認められるという。  この研究では、2件の大規模疫学研究を統合したデータが用いられた。そのうち1件は、心血管疾患に関連する潜在的なリスク因子探索のための国際共同研究(Emerging Risk Factors Collaboration)であり、別の1件は英国で行われている「UKバイオバンク」。高所得国を中心に19カ国、151万5,718人(平均年齢55.0±9.2歳、男性45.6%)のデータが解析された。

肥満は胆道がんの発症・死亡に関連~アジア人90万人のプール解析

 肥満と胆道がんの関連について、愛知県がんセンターの尾瀬 功氏らがアジア人集団のコホート研究における約90万人のデータをプール解析した結果、BMIと胆道がん死亡率の関連が確認された。さらに肥満は胆石症を介して胆道がんリスクに影響を与え、胆石症がなくても胆道がんリスクを高める可能性があることが示唆された。International Journal of Cancer誌オンライン版2023年11月15日号に掲載。

統合失調症患者における抗精神病薬誘発性糖尿病性ケトアシドーシスのリスク評価~医薬品副作用データベース解析

 糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)は、生命を脅かす重篤な状態であり、抗精神病薬により引き起こされる可能性がある。アジア人糖尿病患者は、白人と比較し、インスリン抵抗性が低いといわれている。これまでに報告されている抗精神病薬に関連したDKAの研究は、すべて欧米人を対象としているため、これらのデータが日本人でも同様なのかは、不明である。獨協医科大学の菅原 典夫氏らは、自発報告システムデータベースである日本の医薬品副作用データベースを用いて、抗精神病薬とDKAとの関連を分析した。その結果から、統合失調症患者のDKA発現にはオランザピン治療が関連していることが明らかとなった。とくに、男性患者において、DKAリスクが高いことも確認された。Journal of Psychosomatic Research誌オンライン版2023年10月19日号の報告。

ステロイド処方医は知っておきたい、グルココルチコイド誘発性骨粗鬆症のガイドライン改訂

 『グルココルチコイド誘発性骨粗鬆症の管理と治療のガイドライン2023』が8月に発刊。本書は、ステロイド薬処方医が服用患者の骨折前/骨密度低下前の管理を担う際に役立ててもらう目的で作成された。また、ステロイド性骨粗鬆症の表現にはエストロゲン由来の病態も含まれ、海外ではステロイド性骨粗鬆症と表現しなくなったこともあり、“合成グルココルチコイド(GC)服用による骨粗鬆症”を明確にするため、本改訂からグルココルチコイド誘発性骨粗鬆症(GIOP)と表記が変更されたのも重要なポイントだ。9年の時を経て治療薬に関する膨大なエビデンスが蓄積された今回、ガイドライン作成委員会の委員長を務めた田中 良哉氏(産業医科大学第一内科学講座 教授)に、GIOPにおける治療薬の処方タイミングや薬剤選択の方法などについて話を聞いた。

地中海食と運動の組み合わせは脂肪の燃焼と筋肉量の増加に有効

 色とりどりの野菜や果物、健康的な脂質、脂肪分の少ないタンパク質が豊富な地中海食と、定期的な運動およびカロリー制限の組み合わせは、高齢者の腹部の脂肪(内臓脂肪)の減少と筋肉量の増加に役立つことが、スペインで実施された研究で明らかにされた。バレアレス諸島保健研究所(スペイン)のDora Romaguera氏らによるこの研究結果は、「JAMA Network Open」に10月18日掲載された。  内臓脂肪は炎症の原因となることが知られており、心疾患や脳卒中、糖尿病、特定のがんと関連することも示されている。一方、筋肉量は加齢とともに減少することが知られており、筋肉量が減少すると、筋力低下や運動能力の低下、転倒の可能性が高くなる。

妊娠糖尿病に対する早期のメトホルミン投与の効果(解説:小川大輔氏)

日本においてメトホルミンは「妊婦または妊娠している可能性のある女性」への投与は禁忌となっている。一方、海外ではメトホルミンは妊娠糖尿病に使用可能である。今回、妊娠糖尿病患者を対象に、妊娠早期からメトホルミン治療を開始する試験の結果がJAMA誌に発表された。この試験はアイルランドの2ヵ所の医療機関で、妊娠28週以前に妊娠糖尿病と診断された被験者を登録して実施された二重盲検無作為化試験である。被験者510人(妊娠535件)を対象として、メトホルミンを投与する群(メトホルミン群)と、プラセボを投与する群(プラセボ群)に、1対1の割合で無作為に割り付けられた。

太ったシェフのイラストを食事に添えると、認知症の人の食事量が増える

 認知症の高齢者の食事摂取量を増やすユニークな方法が報告された。太ったシェフのイラストをトレイに添えておくと、完食をする人が増えるという。日本大学危機管理学部の木村敦氏、医療法人社団幹人会の玉木一弘氏らの研究結果であり、詳細は「Clinical Interventions in Aging」に9月1日掲載された。  認知症では食事摂取量が少なくなりがちで、そのためにフレイルやサルコペニアのリスクが高まり、転倒・骨折・寝たきりといった転帰の悪化が起こりやすい。認知症の人の食欲を高めて摂取量を増やすため、これまでに多くの試みが行われてきているが、有効性の高い方法は見つかっていない。

コーヒーの砂糖とミルク、肥満に関連するのは?

 コーヒー摂取と体重増減、疾患リスクとの関連を調査した研究は多いが、新たにカフェイン摂取量に加え、砂糖・ミルクの添加が体重増減と関連するかを調べた研究結果がThe American Journal of Clinical Nutrition誌オンライン版2023年10月1日号に掲載された。  研究者らは、米国の3つの大規模前向きコホートNurses' Health Study(1986~2010年)、Nurses' Health Study II(1991~2015年)、Health Professional Follow-up Study(1991~2014年)を用いた。砂糖、クリーム、非乳製品コーヒークリームの添加を考慮したうえで、コーヒー消費量、カフェイン摂取量と体重変化との関連を調べた。また、コーヒー以外の飲料や食品に砂糖を加えることと体重変化との関連、それがカフェインやコーヒー摂取量と関連しているかについても検討した。

アルコール摂取が心臓などの異所性脂肪と関連

 2杯目のアルコールに手を出す前に、新たに報告された研究結果について、少し考えてみた方が良いかもしれない。飲酒量が多い人ほど、心臓の周りの脂肪蓄積が多いという。米ウェイクフォレスト大学のRichard Kazibwe氏らによる研究の結果であり、詳細は「Journal of the American Heart Association(JAHA)」に9月8日掲載された。同氏は、「このような心臓への異所性脂肪は、成人の主な死亡原因である冠動脈性心疾患だけでなく、心不全や心房細動などの心臓病のリスク上昇と関連している」と話している。  エネルギーの貯蔵庫である脂肪は、通常であれば皮下脂肪を中心とする脂肪組織に蓄積される。しかし、食べ過ぎや運動不足が続いていると、内臓周囲や筋肉、肝臓など、本来は脂肪がたまりにくい所にも脂肪が蓄積されるようになる。そのような脂肪は「異所性脂肪」と呼ばれる。アルコールも異所性脂肪の蓄積を増やすリスク因子の一つである可能性があるが、これまでのところ飲酒量と異所性脂肪の関連は十分検討されていない。これを背景としてKazibwe氏らは、「アテローム性動脈硬化症の多民族研究(MESA)」のデータを用いた横断研究を行った。