糖尿病・代謝・内分泌科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:28

高血圧治療補助アプリで8mmHgも降圧、治療効果のある患者とは

 CureApp HT高血圧治療補助アプリ(以下、治療アプリ)が保険収載、処方が開始してから1年が経過した。現在までの治療効果について、株式会社CureAppが「スマート降圧療法RWD発表記者会見」において、全国の医療機関で処方された治療アプリに入力された血圧データの解析結果を説明した。  本データ解析によると、全体集団における12週後の収縮期血圧の変化は起床時では8.8mmHg、就寝前では8.5mmHgの低下がみられた。これについて同社取締役の谷川 朋幸氏は「治験で検証されていなかった65歳以上の患者を含む、幅広い患者集団において薬事承認・保険適用を受けた治療アプリによるスマート降圧療法の効果が示された」とコメント。また、薬事承認・保険適用を受けた治療アプリによる実臨床での降圧データの公開は世界初である。

減量目的のGLP-1作動薬、消化器有害事象リスクが増加か/JAMA

 GLP-1受容体作動薬は糖尿病治療薬として用いられるが、体重減少の目的にも用いられている。糖尿病患者において消化器有害事象のリスクが増加していることが報告されており、2023年9月22日に米国食品医薬品局(FDA)よりセマグルチドについて、腸閉塞の注意喚起が追加された。しかし、GLP-1受容体作動薬の体重減少効果を検討した臨床試験はサンプル数が少なく、追跡期間が短いため、これらの有害事象を収集する試験デザインにはなっていない。

カロリー制限と断続的断食の腸内細菌叢への影響は同等?

 減量を試みる人の腸内細菌叢への影響を、カロリー制限と断続的断食とで比較した研究結果が報告された。3カ月の介入では、どちらも同程度に、腸内細菌叢の多様性を高めたという。米コロラド大学のMaggie Stanislawski氏らの研究によるもので、詳細は「Nutrients」に8月16日掲載された。  肥満は腸内細菌叢の組成と関連のあることが知られているが、肥満に対する治療介入によって腸内細菌叢がどのように変化するのかや、介入方法が異なると腸内細菌叢の変化のパターンも異なるのかといった点は明らかになっていない。Stanislawski氏らはこれらの点を検討するため、過体重または肥満の成人47人を対象とする介入試験を行った。

有病率の高い欧州で小児1型糖尿病発症とコロナ感染の関連を調査(解説:栗原宏氏)

本研究で対象となっている小児1型糖尿病は、発症率に人種差があり白人に非常に多い。欧州全般に発症者は多く、とくに多い北欧諸国、カナダ、イタリアのサルディニアでは年間約30/10万人と日本(1.4~2.2/10万人)に比して10倍以上の違いがある。1歳ごろに膵島細胞への自己抗体が発生するピークがあり、10年以内に臨床的な糖尿病を発症する。自己抗体の発生原因は不明ながら、呼吸器系ウイルス感染が関与している可能性があるとされている。

早期静脈栄養なしのICU患者、厳格な血糖コントロールは有用か?/NEJM

 集中治療室(ICU)に入室した早期静脈栄養を受けていない重症患者では、非制限的で寛容な血糖コントロールと比較して厳格な血糖コントロールは、ICUでの治療を要した期間や死亡率に影響を及ぼさないことが、ベルギー・ルーベン・カトリック大学病院のJan Gunst氏らが実施した「TGC-Fast試験」で示された。研究の詳細は、NEJM誌2023年9月28日号に掲載された。  TGC-Fast試験は、ベルギーの2つの大学病院と1つの地区病院の11のICUで実施された医師主導型の無作為化対照比較試験であり、2018年9月~2022年8月に参加者のスクリーニングを行った(Research Foundation-Flandersなどの助成を受けた)。

肥満を合併したEFの保たれた心不全に対するGLP-1受容体作動薬の効果―STEP-HFpEF試験(解説:加藤貴雄氏)

週1回、2.4mgのセマグルチド皮下注射(GLP-1受容体作動薬)は、長期体重管理薬として承認されており、過体重または肥満の患者において大幅な体重減少をもたらし、心代謝リスク因子に良好な影響を及ぼすことがこれまでに示されている(Wilding JPH, et al. N Engl J Med. 2021;384:989-1002., Kosiborod MN, et al. Diabetes Obes Metab. 2023;25:468-478.)。今回、ESC2023で発表され、NEJM誌に掲載されたSTEP-HFpEF試験は、BMI≧30.0kg/m2で心不全症状(NYHA class II-IV)があり、かつ、左室駆出率(LVEF)≧45%で、糖尿病の既往がない患者を対象に、週1回のセマグルチド(2.4mg)またはプラセボを52週間投与した二重盲検無作為割り付け試験である。

体重維持には朝に運動するのがベスト

 スリムな体型を保つには、タイミングこそが全てかもしれない。日常的に早朝に中等度から高強度の身体活動(moderate-to-vigorous physical activity;MVPA)を行う成人は、遅い時間帯にMVPAを行う成人に比べて太り過ぎや肥満になる可能性の低いことが、新たな研究で示された。米フランクリン・ピアス大学運動生理学分野のTongyu Ma氏らによるこの研究の詳細は、「Obesity」に9月4日掲載された。  Ma氏らはこの研究で、2003〜2004年と2005〜2006年の米国国民健康栄養調査(NHANES)参加者から抽出した5,285人のデータを用いて、MVPAを行う時間帯(早朝、昼間、夕方)と肥満(BMI、腹囲)との関連を検討した。参加者は7日連続で、起きている時間帯に腰部加速度計を装着するよう指示されており、週末を1日以上含む4日間(1日の装着時間が10時間以上)のデータがそろった場合を有効データとして用いた。このデータを基に参加者の身体活動(PA)のパターンを「朝」(642人)、「昼」(2,456人)、「夕方」(2,187人)の3群に分類した。

胸が大きい女性は運動意欲が低下しやすい?

 乳房サイズの大きい女性は、運動をあまり行っていないことを示すデータが報告された。フリンダース医療センター(オーストラリア)で乳房再建手術を行っているClaire Baxter氏らの研究結果であり、詳細は「JPRAS Open」9月号に掲載された。同氏らは、胸の大きい女性の運動不足が乳房縮小手術によって改善する可能性があるとしている。  この研究は、一般市民が自由参加可能なウォーキングやランニングなどの大会を世界各地で開催している団体「parkrun」を通じて募集された、乳がんの既往のない18歳以上の女性に対するアンケート調査として実施された。解析対象は1,987人で、居住地は英国が43.1%、オーストラリアが41.5%、南アフリカが14.3%を占めていた。平均年齢は46.5±12.2歳であり、BMIは26.0±5.5で、56人(2.8%)が乳房縮小手術を受け、26人(1.3%)が豊胸手術を受けていた。

死亡率と相関する肥満の指標、BMIではなく…

 BMIとは、ご存じのとおり肥満度を表す指標として国際的に用いられている体格指数1)である。しかし、同じBMIを持っていても体組成と脂肪分布によって個人間でばらつきがあるため、“死亡リスクが最も低いBMI”については議論の余地がある。そこで、カナダ・Vascular and Stroke Research InstituteのIrfan Khan氏らが死亡率に最も強く相関する肥満に関する指数を検証するため、全死因死亡および原因別(がん、心血管疾患[CVD]、呼吸器疾患、またはその他原因)の死亡率とBMI、FMI(脂肪量指数)、WHR(ウエスト/ヒップ比、体型を「洋なし型」「リンゴ型」と判断する際に用いられる)2)の関連性を調査した。その結果、WHRはBMIに関係なく、死亡率と最も一貫性を示した。ただし、研究者らは「臨床上の推奨としては、質量と比較した脂肪分布に焦点を当てることを考慮する必要がある」としている。JAMA Network Open誌2023年9月5日号掲載の報告。

肥満につながる炭水化物の種類は?/BMJ

 長期的な体重管理において、とくに過体重や肥満の人では、摂取する炭水化物の品質と供給源が潜在的に重要であることが、大規模前向きコホート試験で浮き彫りにされたという。米国・ハーバード公衆衛生大学院のYi Wan氏らが報告した。一方で、添加糖、砂糖入り飲料、精製穀物、果物、非でんぷん質の野菜は、体重コントロールへの取り組みを後押しする可能性も示唆された。体重の増加および肥満に果たす炭水化物の役割については議論の的になっている。これまで、炭水化物の摂取量の経時的変化と体重の長期的変化との関連を評価した研究は、ほとんど行われていなかった。BMJ誌2023年9月27日号掲載の報告。