糖尿病・代謝・内分泌科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:27

1型DM、週1回insulin icodec vs.1日1回インスリン デグルデク/Lancet

 1型糖尿病の成人患者において、週1回投与のinsulin icodec(icodec)は26週時の糖化ヘモグロビン値(HbA1c)低下に関して、1日1回投与のインスリン デグルデクに対し非劣性であることが認められたが、臨床的に重大な低血糖または重症低血糖の合併が有意に高率であった。英国・Royal Surrey Foundation TrustのDavid Russell-Jones氏らが、12ヵ国の99施設で実施された52週間の無作為化非盲検第IIIa相試験「ONWARDS 6試験」の結果を報告した。著者は、「1型糖尿病の特性を考慮すると、基礎インスリン注射を毎日から週1回に変更することは困難な可能性があるが、持続血糖モニタリングのデータとリアルワールド研究のさらなる解析により、icodec週1回投与の低血糖リスク軽減のための投与量調節に関する洞察が得られる可能性はある」とまとめている。Lancet誌2023年10月17日号掲載の報告。

医療費に大きな影響を与える患者背景は?/慶應大ほか

 多疾患併存(マルチモビディティ)による経済的負担は、世界的な課題となっている。高額医療費患者における多疾患併存の寄与については不明な点が多いことから慶應義塾大学スポーツ医学研究センターの西田 優紀氏らの研究グループは、東京医科歯科大学、川崎医科大学、全国健康保険協会と共同して全国健康保険協会が提供する健康保険請求データを用いて横断研究を行い、日本人の医療費に大きな影響を与える多疾患併存パターンを解析した。その結果、上位10%の患者集団の95.6%で多疾患併存がみられたほか、高血圧症、糖尿病、脂質異常症を同時併発した患者が全集団の31.8%を占めることが判明した。PLoS One誌2023年9月28日の報告。

1型DMへのteplizumab、β細胞機能を有意に維持/NEJM

 新規診断の1型糖尿病の小児・青少年患者において、抗CD3モノクローナル抗体のteplizumab(12日間投与の2コース)は、β細胞機能の維持(主要エンドポイント)に関してベネフィットがあることが示された。ただし、インスリン用量、糖化ヘモグロビン値などの副次エンドポイントに関しては、ベネフィットが観察されなかった。英国・カーディフ大学のEleanor L. Ramos氏らが、第III相の無作為化プラセボ対照試験の結果を報告した。teplizumabは、8歳以上のステージ2の1型糖尿病患者に対し、ステージ3への進行を遅らせるための投与が米国FDAに承認されている。新規診断の1型糖尿病患者におけるteplizumabの静脈内投与が疾患進行を抑制するかについては不明であった。NEJM誌オンライン版2023年10月18日号掲載の報告。

死亡リスクを低下させる睡眠のとり方、睡眠時間よりも〇〇!?

 睡眠は健康と密接な関係があることが知られているが、研究の多くは睡眠時間に焦点が当てられており、睡眠の規則性と死亡リスクの関係は明らかになっていない。そこで、オーストラリア・Monash UniversityのDaniel P. Windred氏らの研究グループは、英国のUKバイオバンクの6万人超のデータを用いて、睡眠時間および睡眠の規則性と死亡リスクとの関連を検討した。その結果、睡眠時間と睡眠の規則性はいずれも全死亡リスクの予測因子であることが示されたが、睡眠の規則性のほうがより強い予測因子であった。Sleep誌オンライン版2023年9月21日号に掲載の報告。

糖尿病はCVDイベント発生を12年早める/JACC

 新たに診断された2型糖尿病患者における心血管疾患(CVD)の10年間のリスクを一般集団と比較した結果、2型糖尿病患者では年齢や性別にかかわらずCVDリスクが有意に高く、CVDイベントの発生が12年早まっていたことを、デンマーク・オーフス大学病院のChristine Gyldenkerne氏らが明らかにした。Journal of the American College of Cardiology誌2023年10月17日号掲載の報告。  糖尿病とCVDリスクとの関連についてはすでに豊富なエビデンスがあるが、研究グループは新たに2型糖尿病と診断された患者のCVDリスクに関する最新データは適切な予防管理に必要と考え、性別および年齢別の10年CVDリスクを一般集団と比較したコホート研究を実施した。

2型DM基礎インスリンへの追加、チルゼパチドvs.インスリン リスプロ/JAMA

 基礎インスリン療法で血糖コントロールが不十分な2型糖尿病患者において、インスリン グラルギンへの追加治療として週1回のチルゼパチドは、食前追加インスリンと比べてHbA1c値の低下および体重減をもたらし、低血糖症の発現もより少なかったことが、米国・Velocity Clinical ResearchのJulio Rosenstock氏らによる第IIIb相国際多施設共同非盲検無作為化試験「SURPASS-6試験」で示された。チルゼパチドは、グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチドおよびグルカゴン様ペプチド-1(GIP/GLP-1)受容体作動薬であり、2型糖尿病の治療に用いられているが、これまで上記患者の追加インスリン療法として食前追加のインスリンと比較した有効性と安全性については明らかにされていなかった。JAMA誌オンライン版2023年10月3日号掲載の報告。

1型DM妊婦の血糖コントロール、クローズドループ療法vs.標準療法/NEJM

 1型糖尿病の妊婦において、ハイブリッドクローズドループ(HCL)療法は標準インスリン療法と比較し妊娠中の血糖コントロールを有意に改善することが示された。英国・Norfolk and Norwich University Hospitals NHS Foundation TrustのTara T. M. Lee氏らが、同国9施設で実施した無作為化非盲検比較試験「Automated insulin Delivery Amongst Pregnant women with Type 1 diabetes trial:AiDAPT試験」の結果を報告した。HCL療法は、非妊娠成人および小児において血糖コントロールを改善することが報告されているが、妊娠中の1型糖尿病の管理における有効性は明らかになっていなかった。NEJM誌オンライン版2023年10月5日号掲載の報告。

妊娠糖尿病への早期メトホルミンvs.プラセボ/JAMA

 妊娠糖尿病に対する早期のメトホルミン投与は、プラセボ投与との比較において、インスリン投与開始または32/38週時空腹時血糖値5.1mmol/L以上の複合アウトカム発生について、優位性を示さなかった。アイルランド・ゴールウェイ大学のFidelma Dunne氏らが、プラセボ対照無作為化二重盲検試験の結果を報告した。ただし、副次アウトカムのデータ(母親のインスリン開始までの時間、自己報告の毛細血管血糖コントロール、妊娠中の体重増加の3点)は、大規模試験でさらなるメトホルミンの研究を支持するものであったという。妊娠糖尿病は、妊娠期に多い合併症の1つだが、至適な治療は明らかになっていない。JAMA誌オンライン版2023年10月3日号掲載の報告。

筋肉量の多寡にかかわらずタンパク質摂取量が高齢者の全死亡リスクに関連

 日本人高齢者を対象とする研究から、タンパク質の摂取量が多いほど全死亡(あらゆる原因による死亡)のリスクが低いという関連が示された。この関連は、筋肉量や血清アルブミンなどの影響を統計学的に調整してもなお有意であり、独立したものだという。東京都済生会中央病院糖尿病・内分泌内科の倉田英明氏(研究時点の所属は慶應義塾大学医学部腎臓内分泌代謝内科)らの研究によるもので、詳細は「BMC geriatrics」に8月9日掲載された。  タンパク質摂取量と健康リスクとの関連については、動脈硬化や腎機能、またはサルコペニア(筋肉量・筋力の低下)、フレイル(要介護予備群)などの観点から研究されてきている。しかし、食文化の違いによるタンパク源の相違などの影響のため、それらの研究結果は一貫性が見られない。また、国内発の知見はいまだ少なく、かつサルコペニアやフレイルリスクを有する高齢者の筋肉量とタンパク質摂取量との関連を検討した研究が主体であって、地域在住一般高齢者の死亡リスクとの関連は明らかになっていない。

糖尿病患者の下肢切断に関連する因子を特定

 糖尿病と新規診断された患者では、喫煙や身体活動量の少なさに加えて、高齢、男性、離婚などが下肢切断(lower-limb amputation;LLA)の潜在的リスク因子である可能性が明らかになった。オレブロ大学(スウェーデン)のStefan Jansson氏らが行った研究の結果であり、詳細は欧州糖尿病学会年次総会(EASD2023、10月2~6日、ドイツ・ハンブルク)で発表される予定。  糖尿病患者はLLAリスクが高いことが知られているが、そのリスク因子は十分に明らかになっているとは言えない。これには、LLAが糖尿病の主徴である高血糖だけでなく、合併症である血管障害、神経障害、易感染や、年齢、罹病期間、喫煙習慣、居住環境(同居者の有無)、医療環境など、さまざまな因子が関与して発症・進行することが一因として挙げられる。これを背景としてJansson氏らは、検討対象を糖尿病と新たに診断された集団に絞り込み、人口統計学的因子、社会経済的因子、生活習慣関連因子、および医療介入時の臨床評価指標を考慮して、LLAリスクを検討した。