糖尿病・代謝・内分泌科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:99

10~16歳の2型DMにリラグルチド追加は有効?/NEJM

 2型糖尿病の小児・思春期患者(10~17歳)において、メトホルミンへのリラグルチド(1.8mg/日)追加投与は、基礎インスリン投与の有無にかかわらず、52週間にわたり血糖コントロール改善の効果があることが示された。ただし、消化器系有害事象の発現頻度がかなり高かった。米国・イェール大学のWilliam V. Tamborlane氏らが、135例を対象に行ったプラセボ対照無作為化比較試験の結果で、NEJM誌2019年8月15日号で発表した。メトホルミンは、疾患初期の若い2型糖尿病患者の大半にとって選択肢として承認された血糖コントロール薬である。一方で、メトホルミン単独治療を受けていると血糖コントロールが早期に不能になることが観察されている。若い2型糖尿病患者においてリラグルチドの追加(基礎インスリンの有無を問わず)の安全性および有効性は明らかになっていなかった。

健康長寿の秘訣は「不飽和脂肪酸」―2型糖尿病患者でも明らかに(解説:小川大輔氏)-1104

多くの疫学研究により、赤身肉、ラード、バターなどに含まれる飽和脂肪酸は動脈硬化症や死亡のリスクを上昇させ、反対にオリーブ油、キャノーラ油、大豆油などの植物油や魚油に含まれる不飽和脂肪酸はこれらのリスクを低下させることが知られている。しかしこれまでの報告では一般人を対象としており、糖尿病患者を対象とした研究はなかった。今回米国の2つのコホートの解析により、2型糖尿病患者における食事中の脂肪酸と死亡率を調査した結果がBMJ誌に掲載された。2型糖尿病患者1万1,264例の解析により、多価不飽和脂肪酸の摂取は全炭水化物と比較し全死亡および心血管死のリスク低下と関連することが明らかになった。

非糖尿病者でHbA1cとがん発症にU字型の関連

 HbA1cとがん発症との関連を経時的に評価するため、聖路加国際病院の小林 大輝氏らがHbA1cを複数回測定する縦断研究を実施した。その結果、非糖尿病者においてHbA1cレベルとがんリスクとの間にU字型の関連がみられたが、前糖尿病レベルで追加リスクは認められなかった。また、HbA1c低値が乳がんおよび女性性器がんの発症と関連することが示唆された。Acta Diabetologica誌オンライン版2019年8月9日号に掲載。  本研究は、聖路加国際病院で実施された後ろ向き縦断研究で、2005~16年に同病院で自主的に健康診断を受けたすべての参加者を含む。アウトカムはがん発症で、HbA1cレベルのカテゴリー間で比較した。HbA1cの変動を考慮するために、HbA1cの経時的な測定を適用した混合効果モデルを使用し縦断的に分析した。

デュラグルチドは心血管イベント低リスク患者においても有用である(解説:住谷哲氏)-1103

GLP-1受容体作動薬を用いた心血管アウトカム試験CVOTは、経口セマグルチドによるPIONEER 6を除くと、これまでにELIXA、LEADER、EXSCEL、SUSTAIN-6、Harmony Outcomesの5試験が報告されている。これら5試験と比較して本試験REWINDの特徴は、(1)非劣性試験ではなく優越性試験である、(2)心血管イベントの既往のない1次予防患者が多く含まれている(2次予防患者は全体の31.5%)、(3)女性が多く含まれている(全体の46.3%)、(4)HbA1cが比較的低い(平均7.3%)、(5)観察期間が長い(中央値5.4年)が挙げられる。対象患者の糖尿病罹病期間は10.5年であり、80%以上がメトホルミン、45%以上がSU薬を投与されていることから初回治療患者ではないが、心血管イベントリスクの低い、われわれが日常診療で出会う患者像に比較的近いといって良い。CVOTはすべてランダム化比較試験であるため、介入の有効性efficacy、因果関係causalityを明らかにすることができるが、一般化可能性generalizabilityに問題があるとされている。これまでに発表されたGLP-1受容体作動薬のCVOTの結果が心血管イベントリスクのきわめて高い患者で得られたのに対して、REWINDはより低リスクである患者が多く含まれているため、その結果はわれわれの日常臨床で多くの患者に適用できる可能性がある。

認知症リスクに50歳での心血管健康度が関連/BMJ

 中年期に推奨される心血管健康スコア「ライフ シンプル7」の順守が、晩年における認知症リスク低下と関連していることが明らかにされた。「ライフ シンプル7」では、生活習慣や血糖値、血圧など7つの項目をスコア化し心血管リスクの指標としている。フランス・パリ大学のSeverine Sabia氏らが、約8,000例を約25年間追跡した、前向きコホート試験により明らかにし、BMJ誌2019年8月7日号で発表した。  研究グループは、ロンドンの公務員を対象に行われたWhitehall II試験(1985~88年に登録)の参加者で、50歳時点における心血管健康スコアのデータがあった7,899例を対象に前向き試験を行った。

2型糖尿病リスク、遺伝的負荷と食事脂肪の交互作用なし/BMJ

 遺伝的負荷と食事脂肪の質は、それぞれ2型糖尿病の新規発生と関連しており、2型糖尿病の発生に関して遺伝的負荷と食事脂肪の質に交互作用はないことが、米国・マサチューセッツ総合病院のJordi Merino氏らCHARGE Consortium Nutrition Working Groupの検討で示された。研究の詳細は、BMJ誌2019年7月25日号に掲載された。2型糖尿病は、遺伝因子や生活習慣因子の影響を強く受ける複雑な疾患であり、食事の質の改善を目指す推奨は、2型糖尿病の予防と治療における重要な要因とされる。

妊娠中の抗うつ薬継続使用と妊娠糖尿病リスク

 これまでの研究において、妊娠中の抗うつ薬使用に関連する妊娠糖尿病について中程度のリスクが観察されている。しかし、これは適応症による交絡の可能性も考えられる。米国・ワシントン大学のPaige D. Wartko氏らは、交絡を考慮したうえで、妊娠中の抗うつ薬継続使用と妊娠糖尿病との関連性および血糖値の評価を行った。Pharmacoepidemiology and Drug Safety誌オンライン版2019年7月12日号の報告。  電子健康データとリンクしたワシントン州の出生記録を用いて、Kaiser Permanente Washington(総合医療提供システム)に登録されている女性のうち妊娠前6ヵ月間で抗うつ薬を処方されていた女性を対象に、2001~14年の間に単胎児出生のレトロスペクティブコホート研究を実施した。妊娠中も抗うつ薬を使用していた女性を継続群(1,634例)、使用していなかった女性を中止群(1,211例)とした。妊娠糖尿病の相対リスク(RR)およびスクリーニング時の血糖値の平均差を算出するため、治療重み付け逆確率を用いた一般推定式を使用した。ベースライン特性にはメンタルヘルス状態および重症度の指標が含まれる。

糖尿病外来患者の検査、施設でばらつき

 「全国のレセプトデータを調査し、糖尿病診療の質指標を測定した研究」について、国立国際医療研究センターと東京大学大学院医学系研究科などで構成される研究グループが、7月30日に研究結果を発表し、“Diabetes Research and Clinical Practice”1)にも掲載された(発表者:杉山 雄大氏[国立国際医療研究センター 研究所 糖尿病情報センター 医療政策研究室長])。  本研究の目的は、糖尿病診療では、血糖・血圧などのコントロールの他に、合併症を早期診断するために合併症検査を定期的に行うことが重要だとされている、しかし、これまで一部の保険者や施設の実施割合の報告はあったものの、全国における状況を調べた研究はなかったことから今回行われたものある。

高血糖の脳梗塞患者、強化血糖コントロールは有効か/JAMA

 高血糖を有する急性期虚血性脳卒中患者の治療において、最長72時間の強化血糖コントロールは標準治療と比較して、90日時に機能アウトカムが良好な患者の割合に差はないことが、米国・バージニア大学のKaren C. Johnston氏らが行った「SHINE試験」で示された。研究の詳細は、JAMA誌2019年7月23日号に掲載された。急性期虚血性脳卒中患者では、高血糖は不良な転帰と関連するが、高血糖への強化治療の効果は知られていないという。  本研究は、米国の70施設が参加した無作為化臨床試験であり、2012年4月~2018年8月の期間に63施設から1例以上の患者が登録された(米国国立神経疾患・脳卒中研究所[NINDS]などの助成による)。

GLP-1受容体作動薬は注射薬から経口薬へシフトするのか?(解説:住谷哲氏)-1090

われわれが使用できるインクレチン関連薬には、DPP-4阻害薬とGLP-1受容体作動薬がある。これまでに報告された心血管アウトカム試験の結果から考えると、GLP-1受容体作動薬がDPP-4阻害薬に比べて、動脈硬化性心血管病の再発予防に関しては積極的に選択される薬剤であるのは異論がないだろう。しかし注射薬のハードルは高く、とくにわが国ではGLP-1受容体作動薬が十分に使用されていないのが現状である。経口セマグルチドは経口GLP-1受容体作動薬であり、この状況を大きく変化させる可能性がある。PIONEER programは経口セマグルチドの第III相臨床試験プログラムでありPIONEER 1から10までの10試験、組み込み総数9,543人から構成される。