糖尿病・代謝・内分泌科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:101

重度の精神疾患患者における脂質異常症と抗精神病薬に関するメタ解析

 重度の精神疾患患者は、抗精神病薬の悪影響に関連している可能性のある代謝系の問題への罹患率やそれに伴う死亡率の上昇を来す。第2世代抗精神病薬(SGA)は、第1世代抗精神病薬(FGA)と比較し、脂質代謝異常とより関連が強いと考えられているが、このことに対するエビデンスは、システマティックレビューされていなかった。英国・East London NHS Foundation TrustのKurt Buhagiar氏らは、重度の精神疾患患者における脂質異常症リスクについて、SGAとFGAの評価を行った。Clinical Drug Investigation誌オンライン版2019年1月24日号の報告。

75歳超にもスタチン療法は有益か/Lancet

 スタチン療法は、年齢にかかわらず主要血管イベントを有意に抑制することが、28件の無作為化試験、被験者総数約19万例を対象にしたメタ解析の結果、明らかになった。閉塞性血管疾患の所見がすでにみられない75歳超の高齢者におけるベネフィットについては、直接的なエビデンスが不足していたが、その点に関して現在、さらなる試験が行われているという。オーストラリアの研究グループ「Cholesterol Treatment Trialists' Collaboration」が行った研究結果で、Lancet誌2019年2月2日号で発表された。スタチン療法は、さまざまな患者の主要血管イベントや血管死を抑制することが示されているが、高齢者における有効性および安全性は不確かである。研究グループは、年齢の違いによるスタチン療法の有効性を比較したすべての大規模スタチン試験からデータを集めてメタ解析を行った。

減量に朝食摂取は本当に有効か/BMJ

 朝食の摂取は、その習慣の有無にかかわらず、体重減少の戦略としては有効とはいえない可能性があるとの研究結果が、オーストラリア・モナシュ大学のKatherine Sievert氏らの検討で示された。研究の詳細は、BMJ誌2019年1月30日号に掲載された。規則的な朝食の摂取は、低BMIと関連し、体重増加に対する防御因子であることが、多くの観察研究で示唆されている。一方、これまでに得られた朝食摂取に関する無作為化対照比較試験のエビデンスは、一貫性がないという。

TG低下とLDL-C低下、有益性はほぼ同等/JAMA

 アポリポ蛋白B(アポB)値の単位変化当たりのトリグリセライド(TG)値低下の臨床的有益性は、LDLコレステロール(LDL-C)値低下とほぼ同等であり、アポB含有リポ蛋白粒子の減少の絶対値と比例する可能性があることが、英国・ケンブリッジ大学のBrian A. Ference氏らの検討で示された。研究の詳細は、JAMA誌2019年1月29日号に掲載された。TGとコレステロールは、いずれもアポB含有リポ蛋白粒子によって血漿中に運ばれる。血漿TG値の低下により、心血管イベントのリスクはLDL-C値の低下と同程度に低減するかとの疑問への確定的な回答は得られていないという。

安価なインスリンへの変更、血糖値への影響は/JAMA

 米国のメディケアに加入する2型糖尿病患者において、インスリンアナログ製剤からヒトインスリンへの変更を含む医療保険制度改革の実行は、集団レベルでHbA1c値のわずかな上昇と関連していたことが、米国・ハーバード大学医学大学院のJing Luo氏らによる後ろ向きコホート研究の結果、明らかにされた。新規のインスリンアナログ製剤の価格は上昇しており、ヒトインスリンよりも高額である。しかし、臨床アウトカムを大きく改善しない可能性が示唆されており、低価格のヒトインスリンが多くの2型糖尿病患者にとって、現実的な初回治療の選択肢ではないかと考えられていた。JAMA誌2019年1月29日号掲載の報告。

急激な空腹時血糖の増加、心血管リスク高い~吹田研究

 心血管疾患(CVD)発生率との関連において、空腹時血糖(FPG)の変動を検討した研究はこれまでほとんどなかった。今回、国立循環器病研究センター/藤田医科大学の尾形 宗士郎氏らは、吹田研究でCVD発生とFPGの変動によるサブグループを評価した。本研究の結果から、著者らは「FPGが急激に増加した人は、CVD予防のために危険因子の管理が重要かもしれない」としている。Journal of the American Heart Association誌2019年2月5日号に掲載。

アスピリンの1次予防は、メリットより出血リスクのほうが大きい(解説:桑島巖氏)-1002

被検者数1,000例以上のシステマティックレビューとメタ解析の結果、1次予防薬としてのアスピリンの出血リスクは心血管イベントの発症予防のメリットを上回るというのが本論文の主旨である。アスピリンは脳卒中や虚血性心疾患を有している症例に対する2次予防効果が確認されているが、1次予防効果に対する有効性に関してはいまだ定かではなかった。そもそもは、1989年にPhysicians Heart studyという米国の医師を被検者としてアスピリン325mg隔日服用群とプラセボ群にランダマイズして両群の心筋梗塞発症率を比較したRCTで、アスピリン群のほうが44%もAMIが少なかったという成績がNEJM誌に発表されたことから、一躍アスピリンの心血管イベント抑制効果が注目され始めた。

1型糖尿病患者に経口治療薬登場

 2019年1月17日、アステラス製薬株式会社は、寿製薬株式会社と共同開発したイプラグリフロジン(商品名:スーグラ)が、2018年12月に1型糖尿病への効能・効果および用法・用量追加の承認を受けたことを機に、都内でプレスセミナーを開催した。  セミナーでは、SGLT2阻害薬の1型糖尿病への期待と課題、適正使用のポイントなどが解説された。  セミナーでは、加来 浩平氏(川崎医科大学・川崎医療福祉大学 特任教授)を講師に迎え「1型糖尿病治療の新しい選択肢 ~SGLT2阻害薬スーグラ錠への期待と注意すべきポイント~」をテーマに講演が行われた。

非代償性肝硬変を伴うC型肝炎に初の承認

 平成元年(1989年)に発見されたC型肝炎ウイルス(HCV)。近年、経口の直接作用型抗ウイルス薬(direct acting antivirals:DAA)が次々と発売され、C型慢性肝炎や初期の肝硬変(代償性肝硬変)の患者では高い治療効果を得られるようになったが、非代償性肝硬変を伴うHCV感染症に対する薬剤はなかった。そのような中、平成最後の今年、1月8日にエプクルーサ配合錠(一般名:ソホスブビル/ベルパタスビル配合錠、以下エプクルーサ)が、「C型非代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善」に承認された。また、DAA治療失敗例に対する適応症(前治療歴を有するC型慢性肝炎又はC型代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善)も取得した。ここでは、1月25日に都内で開催されたギリアド・サイエンシズ主催のメディアセミナーで、竹原 徹郎氏(大阪大学大学院医学系研究科内科学講座消化器内科学 教授)が講演した内容をお届けする。

子供における肥満とうつ病に関するメタ解析

 14歳までに診断可能な精神疾患は全症例の半数に上るにもかかわらず、小児期の精神疾患は、医療従事者および両親にあまり認識されていない。世界的には、10~19歳において、うつ病は疾患負荷の主な原因となっている。うつ病を未治療のままにすると、学業不振、社会機能の低下、薬物乱用、成人期の再発性うつ病、自殺リスクの増加を引き起こす可能性が高まる。その結果として生じる治療費のために、国民健康保険が負担する費用は20億ポンドを超えると推定されており、うつ病の社会的および経済的影響は、かなり大きいと考えられる。