「外来 case1」―18歳女性・・発熱・リンパ節腫脹―
「不明熱」とは読んで字のごとく原因が特定できない原因不明の熱のことで、実は臨床の現場では非常に多く見られる現象です。ところが、例えばハリソンのような名著ですら、膨大な鑑別疾患の他には、「感染症、膠原病、悪性疾患が多い」、「丁寧な病歴と診察が大事」という一般論を記すにとどまっています。コモンな現象にもかかわらず原因が多岐に渡るため、不明熱に「これだ!」という診断方法は未だ存在しないのが現状なのです。
本シリーズでは「熱」のプロ、岩田先生が臨床の現場で活躍中の先生との対談の中で不明熱にスポットをあてていきます。
外来シリーズでは、ベテランジェネラリストの西垂水和隆先生が数多く経験した不明熱の症例を検討しながら、診断への手がかりを探ります。失敗して教訓になったケースなど不明熱談義が盛り上がります。
「不明熱」は医師の技量次第で「不明熱」ではなくなるのです。
「外来 case2」―72歳男性・・CRPが下がらない―
「不明熱の診断は難しい!」… 確かにそれは事実なのですが、実は診断の手がかりが目の前にあるのに、それに気がついていないことがあります。一つの鑑別診断に目を奪われ正しい鑑別に結びつく大きな手がかりを見逃してしまったり、検査の結果ばかり気を取られ患者さんが訴える症状を軽視してしまったりするかもしれません。病歴を注意深くさかのぼってみると、既に診断の手がかりが示されていることもあるのです。
「まれ」な疾患が多い不明熱ですが、外来では「コモン」な疾患の非典型なプレゼンテーションである場合も多いことから、まずは丁寧な病歴徴収、診察、そしてコモンディジーズへの十分な理解が必要となります。
今回も岩田先生と西垂水先生から、明解な「外来での不明熱の考え方」について学んでいただきます。
「外来 case3」―90歳女性・・8年間繰り返す発熱―
外来での不明熱、今回の症例は「8年間繰り返す発熱」です。不明熱を得意とする西垂水先生にとっても記憶に残る症例です。
外来で見る不明熱の多くは、医師のちょっとした思い込み、あるいは病歴や身体診察の軽視により、単純な疾患が見逃されることで起こります。それは医師の技量や熱意にかかわらず、どんな医師にでも起こりうることなのです。
このような不明熱を診断するためにはどうしたらいいのでしょう。今回は西垂水先生や岩田先生の失敗談を検討することで、そのヒントを解き明かしていきます。是非その感覚を学び取ってください。
8年間繰り返す発熱…さあ、この患者さんにいったい何が起こったのでしょうか?!