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コロナ感染から1年後も続く症状は1年半時点でもおよそ解消せずそのまま新型コロナウイルス感染症(COVID-19)罹患後症状、いわゆるコロナ後遺症(コロナ罹患後症状)はジャニーズ事務所のアイドルも自身のその病状を今や公言するなど1)、世間に広く知られるようになりました。COVID-19流行は2019年の後半から始まっておよそ3年が経ち、コロナ罹患後症状の長期追跡の結果も報告されるようになりました。英国でのそのような長期追跡の新たな報告によると、コロナ罹患後症状が感染から1年後もあるようならその半年後までの解消はおよそ期待できず1年半時点でもそのまま持ち越されるようです2-4)。試験では英国・スコットランドの新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染者3万3,281人とそうでない6万2,957人が18ヵ月間追跡されました。発症した感染者3万1,486人のうち1,856人(6%)は最後の観察時点(most recent follow-up)で症状がまったく回復しておらず(非回復)、半数近い1万3,350人(42%)はある程度ましになったものの完全回復には至っていませんでした(部分回復)。感染後6ヵ月と12ヵ月時点での記録がある3,744人に限った解析での非回復、部分回復、完全回復は6ヵ月時点ではそれぞれ295人(8%)、1,766人(47%)、1,683人(45%)、12ヵ月時点でもほぼ変化なしのそれぞれ303人(8%)、 1705(46%)、1736人(46%)でした。また、感染後12ヵ月(1年)時点と18ヵ月(1年半)時点での記録がある197人に限った解析での非回復、部分回復、完全回復は1年時点ではそれぞれ21人(11%)、100人(51%)、76人(39%)、1年半時点ではそれぞれ21人(11%)、101人(51%)、75人(38%)でした。今回の結果によると感染から1年後に不調の人のほとんどはその半年後の1年半時点でも回復しないままのようです。無症状の感染と罹患後症状やその他の有害転帰(生活の支障、入院、救急受診、死亡)の関連は認められず、罹患後症状は感染症が重度だった人により生じていました。感染前のワクチン接種で罹患後症状を予防しうるとの一文で報告は締めくくられています2)。オミクロン株ワクチンは無駄ではないModerna社の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)オミクロン株BA.1対応ワクチンmRNA-1273.529を追加接種した人の抗体を解析した試験報告5)によると、どうやらオミクロン株対応ワクチンは将来の新参株と戦う準備をも免疫系に備えさせる働きがあるようです6)。試験では26人のリンパ節検体と15人の骨髄検体が解析され、使いまわしのB細胞ではなく新品のB細胞をおそらく起源とするBA.1認識抗体が検出されました。その結果によると、BA.1のような変異株へのワクチン接種は先立つワクチン接種で備わったいわば使い古しのB細胞に免疫が固執(imprinting)してしまうのを乗り越え、新品のB細胞を手配して変異株に順応できるようにする働きがあるようです。また、元祖ワクチン接種を済ませたもののオミクロン株に感染した6人を調べた別の研究7)ではそういう順応が時を経るにつれて成熟していくことが示されています。オミクロン株感染から1ヵ月時点でのそれら6人の抗体はオミクロン株BA.1より元祖株にもっぱらより結合しましたが、感染から半年経つと6人のおよそ半数のB細胞は元祖株よりオミクロン株BA.1により結合する抗体を作るようになっていました6)。つまり感染後の免疫は時とともに成熟しました。新たな流行を引き起こす新参の次世代ウイルス株はその直前に流行った先代株やその先代株へのワクチンの抗原に元祖株より似通い、新参株に直面した免疫はその新参株に最も近い抗原に応じる既存のB細胞をまずは活性化します。よって、目下流行中のウイルス株へのワクチンを用意することは、その上手を行く新参株がやがて出現するにせよ価値があるでしょう6)。参考1)藤ヶ谷太輔、コロナ後遺症に悩むリスナーにメッセージ「僕も不安になりました」/マイナビニュース2)Hastie CE, et al. Nat Commun.2022;13:5663. 3)Long COVID at 12 months persists at 18 months, study shows / Reuters4)Long COVID Features Many Lasting Effects, Study Says / WebMed5)SARS-CoV-2 Omicron boosting induces de novo B cell response in humans. bioRxiv. September 22, 2022. 6)Omicron boosters could arm you against variants that don’t yet exist / Nature7)Evolution of antibody immunity following Omicron BA.1 breakthrough infection. bioRxiv. September 22, 2022.