消化器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:12

亜鉛の測定が推奨される症状・タイミングは?

 近年、健康維持に重要な栄養素として注目を浴びる亜鉛。小児の発育や味覚異常に影響することはよく知られているが、ここ数十年で国内外の研究報告からさまざまな生理作用に関与していることが明らかになっている。先般、国内レセプトデータを解析して日本人の亜鉛不足者の特徴を発表した横川 博英氏(順天堂大学医学部総合診療科学講座 先任准教授)が「一般集団・患者群の血清亜鉛濃度の実際と低亜鉛血症患者の頻度やその臨床像」と題し、日本人の亜鉛欠乏の現状や検査の必要性について、6月4日に開催されたノーベルファーマのプレスセミナーにおいて解説した。

手術部位感染予防、ポビドンヨードvs.クロルヘキシジン/JAMA

 心臓手術または腹部手術後の手術部位感染(SSI)の予防において、術前の皮膚消毒薬としてのポビドンヨードのアルコール溶液はクロルヘキシジングルコン酸塩のアルコール溶液に対し非劣性で、心臓と腹部の手術のいずれにおいてもSSI発生率に有意な差はないことが、スイス・バーゼル大学のAndreas F. Widmer氏らの検討で示された。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2024年6月17日号で報告された。  本研究は、スイスの3つの大学病院で実施したクラスター無作為化クロスオーバー非劣性試験であり、2018年9月~2020年3月の期間に患者を登録した(スイス国立科学財団[SNSF]の助成を受けた)。  心臓または腹部の待機的手術が予定されている成人患者を対象とした。各施設は、連続18ヵ月間にわたり、毎月、ポビドンヨードまたはクロルヘキシジングルコン酸塩のいずれかのアルコール溶液を使用する群(クラスター)に無作為化された。治療の割り付け情報は、アウトカムの評価者や各施設の責任医師、統計解析の担当者などにはマスクされたが、試験薬の固有の色の違いのため患者と外科医のマスクは不可能だった。

手術前でもGLP-1受容体作動薬の使用は安全?

 オゼンピックやウゴービなどのGLP-1受容体作動薬を使用している患者が、全身麻酔や鎮静を伴う手術の前に同薬を使用すると、胃の中の残存物を手術中に誤嚥し、窒息する危険性があるとして、手術前に同薬を使用することの安全性に対する懸念が高まりつつある。こうした中、そのような危険性はないことを明らかにしたシステマティックレビューとメタアナリシスの結果が報告された。この研究では、GLP-1受容体作動薬使用患者における胃排出の遅延は36分程度であり、手術中に危険をもたらすほどではないことが示されたという。米ブリガム・アンド・ウイメンズ病院のWalter Chan氏らによるこの研究結果は、「The American Journal of Gastroenterology」6月号に掲載された。

D型肝炎へのbulevirtide、PEG-IFN上乗せが有効/NEJM

 慢性D型肝炎に対して、bulevirtide+ペグインターフェロン アルファ-2a(PEG-IFNα-2a)の併用療法はbulevirtide単独療法と比べて、治療後24週時点のD型肝炎ウイルス(HDV)RNA陰性化率の評価において優れることが示された。フランス・パリ・シテ大学のTarik Asselah氏らが第IIb相非盲検無作為化試験の結果を報告した。bulevirtide単独療法は慢性D型肝炎患者におけるウイルス学的奏効をもたらすことが、第III相試験において示されている。また、PEG-IFNα-2aは本疾患へ適応外使用されているが、両薬の併用によりウイルス学的抑制が強化され、慢性D型肝炎患者の投与期間を限定した治療となりうるのかは明らかにされていなかった。NEJM誌オンライン版2024年6月6日号掲載の報告。

外科医不足をどう乗り越えるか~女性医師が超党派議員の勉強会で講演

 2024年6月、超党派の女性議員が主催するクオータ制(人種や性別、宗教などを基準に一定の比率で人数を割り当てる制度。狭義には女性に一定の議席を割り振る制度)勉強会に、大阪医科薬科大学一般・消化器外科の河野 恵美子氏が招かれ、「女性外科医を取り巻く問題」について講演を行った。講演後には自民党の野田 聖子氏、立憲民主党の辻元 清美氏、公明党の竹谷 とし子氏ら、出席した女性議員と意見交換を行った。  河野氏「医療機関に勤務する外科医は年々減少し、平均年齢は50歳を超えており、2024年度に外科領域の研修プログラムに登録した専攻医数は13の都道府県で5人以下だった。

局所進行食道がんの術前補助療法、3剤併用がOSを改善/Lancet

 局所進行食道扁平上皮がん(OSCC)の術前補助療法において、シスプラチン+フルオロウラシルによる2剤併用化学療法(NeoCF)と比較して、これにドセタキセルを追加した3剤併用化学療法(NeoCF+D)が全生存率を有意に改善し、日本における新たな標準治療となる可能性がある一方で、NeoCFに比べNeoCF+放射線(NeoCF+RT)では全生存率の有意な改善効果を認めないことが、国立がん研究センター中央病院の加藤 健氏らが実施した「JCOG1109試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2024年6月11日号に掲載された。  JCOG1109試験は、日本の44施設で実施した非盲検無作為化第III相試験であり、2012年12月~2018年7月に参加者を募集した(日本医療研究開発機構[AMED]などの助成を受けた)。

医師が年収アップのために行っていることは?/医師1,000人アンケート

 ケアネットでは、2月20日(火)に会員医師1,004人を対象に、「年収に関するアンケート」を実施した。その中で、自身のワークライフバランスの希望や、年収を増やすために行ったこと/行っていることについて尋ねた。  調査では、年収とワークライフバランスの希望について、(1)勤務時間は大きく増えてもよいので、年収を大きく増やしたい、(2)勤務時間は少し増えてもよいので、年収を少し増やしたい、(3)年収は少し減ってもよいので、勤務時間を少し減らしたい、(4)年収は大きく減ってもよいので、勤務時間を大きく減らしたい、の4つから最も近いものを選んでもらった(以下、それぞれ「勤務時間大きく増/年収大きく増」、「勤務時間やや増/年収やや増」、「勤務時間やや減/年収やや減」、「勤務時間大きく減/年収大きく減」)。年収を増やすために行ったこと/行っていることはフリーコメントで記載してもらった。

GCG/GLP-1作動薬survodutide、MASHの改善に有望/NEJM

 線維化の進行を伴わないmetabolic dysfunction-associated steatohepatitis(MASH)の改善に、グルカゴン(GCG)受容体+GLP-1受容体の二重作動薬であるsurvodutideはプラセボとの比較において優れることが、米国・バージニア・コモンウェルス大学のArun J. Sanyal氏らが行った第II相無作為化試験の結果で示された。著者は、「第III相試験でさらなる評価を行う必要がある」と述べている。GCG受容体+GLP-1受容体の二重作動薬はGLP-1受容体作動薬単独よりも、MASHの治療において有効であることが示されているが、肝線維化を伴うMASH患者におけるsurvodutideの有効性と安全性は明らかにされていなかった。NEJM誌オンライン版2024年6月7日号掲載の報告。

急性膵炎の管理にエビデンスに基づく推奨事項を提起、米ACG

 急性膵炎(AP)患者の管理について、エビデンスに基づく推奨が示された臨床ガイドラインが、米国消化器病学会(ACG)発行の「The American Journal of Gastroenterology」3月号に掲載された。  米ニューヨーク州立大学ブルックリン校のScott Tenner氏らは、膵臓の急性炎症と定義されるAPの管理について論じている。  著者らは、APは不均一な疾患であり、患者によって進行が異なることを指摘している。ほとんどの患者は数日間症状が続くが、約20%の患者は、膵壊死と臓器不全の一方または両方を含む合併症を経験する。AP患者には、胆道原性膵炎を評価するための経腹超音波検査が推奨され、特発性AP患者には、追加の診断的評価が推奨される。患者には、輸液蘇生を中等度の強度で実施することが推奨される。静脈路からの輸液蘇生には、生理食塩水よりも、乳酸リンゲル液が推奨される。胆管炎を伴わない急性胆道原性膵炎では、早期の内視鏡的逆行性胆管膵管造影よりも、薬剤治療が推奨される。重度のAP患者には、予防抗菌薬を使用しないことが推奨される。感染性膵壊死が疑われる患者には、穿刺吸引は推奨されない。軽度のAP患者には、従来の絶食の手法よりも、患者が許容できれば経口摂取の早期開始(24~48時間以内)が推奨される。軽度のAP患者には、流動食から固形食へと段階的に進める手法よりも、初回からの低脂肪固形食の経口摂取が推奨される。

女性では短時間睡眠がNAFLD発症と関連

 女性では、短時間睡眠が非アルコール性脂肪性肝疾患(non-alcoholic fatty liver disease;NAFLD)の危険因子であるとの研究結果が発表された。日本人を対象とする縦断研究として、福島県立医科大学医学部消化器内科学講座の高橋敦史氏らが行った研究であり、「Internal Medicine」に4月23日掲載された。  NAFLDの発症や進行には不健康な生活習慣が関連しており、食習慣や運動などの身体活動に関するエビデンスは確立されている。一方で、睡眠時間とNAFLDのリスクとの関連については研究結果が一致せず、明らかになっていない。