消化器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:122

肥満と関連の強い11のがん種/BMJ

 肥満は、消化器系や女性のホルモン関連悪性腫瘍など11のがん種の発生およびがん死と強い関連があることが、英国・インペリアル・カレッジ・ロンドンのMaria Kyrgiou氏らの包括的な検討で明らかとなった。研究の成果は、BMJ誌2017年2月28日号に掲載された。肥満といくつかのがん種の因果関係が、多くのメタ解析で示されているが、これらの関連を過大に評価する固有バイアスの影響が懸念されるという。このバイアスを回避するアプローチとして、近年、多くのメタ解析の全体に共通する主題のエビデンスを系統的に評価する包括的レビュー(umbrella review)が行われている。

活動性潰瘍性大腸炎への糞便移植療法―無作為化試験(解説:上村 直実 氏)-650

 わが国で患者数16万人と推定されている潰瘍性大腸炎(UC)の治療に関しては、活動性UCの寛解導入および寛解維持を目的として、5-アミノサリチル酸(5-ASA)、ステロイド製剤、免疫調節薬、抗TNF製剤、血球成分除去療法などが使用されているが、最近、「腸内フローラ」の調整を目的とした抗生物質療法や糞便移植療法に関する報告が散見されるようになっている。 糞便移植療法は、再発性のClostridium difficile感染症に対する有用性が確立されているが、今回、活動性UCに対する有効性と安全性を検証した臨床研究結果がLancet誌に掲載された。オーストラリアでの多施設共同二重盲検無作為化プラセボ対照試験(RCT)の結果、非血縁者複数の糞便移植を、最初は回腸末端から施行し、その後、週に5回、8週間の自己注入した糞便移植群の有効率(41例中11例:27%)がプラセボ群(40例中3例:8%)と比較して有意に高率であった。なお、“有効”とは内視鏡的活動性の低下および症状緩和に対するステロイドの依存率の低下であった。

1回の軟性S状結腸鏡検査で、大腸がん発症・死亡を抑制/Lancet

 1回の軟性S状結腸鏡検査で、大腸がんの発症や死亡が抑制され、その有効性は17年以上にわたり持続することが明らかとなった。英国・インペリアル・カレッジ・ロンドンのWendy Atkin氏らが、55~64歳を対象とした無作為化比較試験UK Flexible Sigmoidoscopy Screening Trial(UKFSS試験)の長期追跡結果を報告した。大腸がんは世界で3番目に多いがんで、その予防や早期発見は重要な課題となっている。UKFSS試験の追跡期間約11年時の解析では、軟性S状結腸鏡検査の1回施行で、大腸がんの発生が33%、死亡率が43%減少することが示されていた。Lancet誌オンライン版2017年2月21日号掲載の報告。

ペースメーカー・ICD装着患者も安全にMRI検査が可能/NEJM

 ペースメーカーや植込み型除細動器(ICD)を装着した患者へのMRI検査の実施は、長らく禁忌とされてきたが、検査前後の動作確認と、検査前の適切な再プログラミングを行うことで、磁場強度1.5テスラのMRIは安全に実施可能なことが判明した。MRI検査中の死亡や心室性不整脈や装着機器の故障は、いずれも認められなかった。米国・スクリプス研究所のRobert J Russo氏らが、ペースメーカーやICDを装着する1,500例を対象に行った前向き試験で明らかにしたもので、NEJM誌2017年2月23日号で発表した。

糞便移植は潰瘍性大腸炎の新たな治療となるか/Lancet

 活動期潰瘍性大腸炎における強化注入法にて行うマルチドナー糞便移植は、臨床的寛解および内視鏡的寛解をもたらすことが、無作為化試験の結果、示された。オーストラリア・ニューサウスウェールズ大学のSudarshan Paramsothy氏らによる検討で、「移植によって腸内細菌叢が多彩なものに変化し、そのことがアウトカムに関与していた。糞便移植は、潰瘍性大腸炎の新たな治療オプションとして有望であることが示された」とまとめている。これまで、潰瘍性大腸炎に対する糞便移植の効果は不明であった。Lancet誌オンライン版2017年2月14日号掲載の報告。

スタチンはがん死亡リスクを下げるか~日本のコホート研究

 スタチンのがん発症やがん死亡に対する予防効果については結論が出ていない。今回、山梨大学の横道洋司氏らがバイオバンク・ジャパン・プロジェクトのデータから脂質異常症患者4万1,930例を調査したところ、スタチン単独療法が全死亡およびがん死亡に対して影響し、とくに大腸がんによる死亡に予防効果を示す可能性が示唆された。Journal of Epidemiology誌オンライン版2017年2月11日号に掲載。

胆汁性胆管炎の皮膚そう痒、画期的新薬が有望/Lancet

 原発性胆汁性胆管炎では、患者の最大70%に皮膚そう痒が発現する。開発中の回腸型胆汁酸トランスポータ(IBAT)阻害薬GSK2330672は、皮膚そう痒の重症度を軽減し、重篤な有害事象の発現もなく耐用可能との研究結果が、Lancet誌オンライン版2017年2月7日号に掲載された。報告を行った英国・ニューカッスル大学のVinod S Hegade氏らの研究グループは、「本薬は原発性胆汁性胆管炎患者の皮膚そう痒の治療における画期的新薬(first-in-class)であり、新たな重要な進歩となる可能性があるが、下痢の頻度が高いため、長期投与には限界があるかもしれない」と指摘している。

アスピリン使用と膵がんリスク低下の関連性

 喫煙や肥満を避けること以外に、膵がんを予防するための方法はほとんど明らかになっていない。また、アスピリン使用と膵がんリスクとの関連性について、これまでの研究では一致した結果が得られていない。米国・イェール大学公衆衛生大学院のHarvey A. Risch氏らの研究で、アスピリンの定期的使用が膵がんリスクを低下させる可能性が示唆された。Cancer Epidemiology,Biomarkers&Prevention誌2017年1月号掲載の報告。