アスピリンが特定のがんの予防効果を有することが、多くの研究で報告されている。今回、米国・ワイルコーネル医科大学のMin-Hyung Kim氏らは、韓国の一般集団において、アスピリン使用と胃がんの用量反応関係を評価し、胃がん予防効果を得るためのアスピリン累積投与量の閾値を推定した。The American Journal of Gastroenterology誌オンライン版2018年6月1日号に掲載。
本研究では、韓国の国民健康保険サービス(NHIS)による集団ベース縦断コホートの46万1,489人について、2007~12年における胃がん発症を同定した。2002~06年のデータをレビューし、DDD(defined daily dose)システムを使用して累積投薬曝露を評価した。アスピリン使用の胃がんに対するハザード比(HR)を、多変量Cox比例ハザード回帰を用いて推定した。また、研究デザインによるばらつきを評価するために、傾向スコアマッチングおよびコホート内ケースコントロールデザインを含む感度分析を実施した。
主な結果は以下のとおり。
・296万5,500人年のフォローアップから5,674人に胃がんが確認され、胃がん全体の発症率は10万人年当たり191.00であった。
・3DDD-年以上のアスピリン使用は、非使用に比べて有意な胃がん予防効果を示した。調整後HR(95%信頼区間)は、3~4DDD-年で0.79(0.63~0.98)、4~5DDD-年で0.63(0.48~0.83)であった(傾向のp<0.001)。
・傾向スコアマッチングとコホート内ケースコントロールデザインを用いた感受性分析により、一貫したアスピリンの化学予防効果が示された。
(ケアネット 金沢 浩子)