総合診療科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:24

BMIと全病因死亡率関係の正しい理解のために! (大規模システマティックレビューとメタ解析からのメッセージ)(解説:島田 俊夫 氏)-544

BMIと全病因死亡率(全死亡率)の関係は、世界的に大きな注目を集めている。また、メタボ症候群との絡みからも、BMIと全死亡率との関係の重要性は増加している。2016年5月5日にBMJ誌に掲載されたDagfinn Aune氏らの論文は、BMIと全死亡率の関係に関する大規模システマティックレビューとメタアナリシス(SR-MA)である。

BMIと死亡リスクの関係はJ字型:3,000万人以上のメタ解析/BMJ

 死亡リスクは肥満だけでなく過体重でも増大し、さらに痩せの場合も増加することが、ノルウェー・科学技術大学のDagfinn Aune氏らの検討で示された。痩せのリスク増加には、部分的に診断前疾患による交絡が影響している可能性があることもわかった。研究の成果は、BMJ誌オンライン版2016年5月4日号に掲載された。高BMIは死亡リスクを増大させるが、最近のメタ解析(Flegal KM, et al. JAMA 2013; 309: 71-82)は、過体重では死亡リスクが低下し、リスクが増大するのはGrade 2(BMI≧35)の肥満に限られるとしている。しかし、この結果は、交絡因子としての喫煙や有病率の高い疾患、診断前疾患の影響を受け、多くの大規模コホート試験を除外したことによるバイアスの可能性があるという。

eGFRが30未満は禁忌-メトホルミンの適正使用に関する Recommendation

 日本糖尿病学会「ビグアナイド薬の適正使用に関する委員会」は、5月12日に「メトホルミンの適正使用に関するRecommendation」の改訂版を公表した。  わが国では、諸外国と比較し、頻度は高くないもののメトホルミン使用時に乳酸アシドーシスが報告されていることから2012年2月にRecommendationを発表、2014年3月に改訂を行っている。とくに今回は、米国FDAから“Drug Safety Communication”が出されたことを受け、従来のクレアチニンによる腎機能評価から推定糸球体濾過量eGFRによる評価へ変更することを主にし、内容をアップデートしたものである。

診療所における高リスク処方を減らすための方策が立証された(解説:折笠 秀樹 氏)-503

このRCTでは特殊なデザイン、すなわちstepped wedge designというものを用いた。通常なら、介入を与えるか与えないかの2群間比較デザインだが、それでは与えない群のほうが不利となり、しかもオープン試験なので混乱しかねないため、どの診療所にも介入は与えられるが、その開始時期をずらすという変則的デザインを用いた。

スーグラほかSGLT2阻害薬は高齢者に安全か

 3月3日、アステラス製薬株式会社は、「本邦の高齢者におけるSGLT2阻害薬の安全性と有効性」と題し、演者に横手 幸太郎氏(千葉大学大学院医学研究院 細胞治療内科学講座 教授)を招き、プレスセミナーを開催した。講演では、65歳以上の高齢者7,170人を対象としたSGLT2阻害薬イプラグリフロジン(商品名:スーグラ)錠の大規模調査「STELLA-ELDER」の中間報告も行われた。  はじめに、2型糖尿病をメインにその概要や機序が説明された。わが国の糖尿病患者は、疫学推計で2,050万人(2012年)と予想され、この5年間で予備群といわれている層が減少した半面、糖尿病と確定診断された層は増加しているという。血糖コントロールについては、さまざまな治療薬の発売もあり、2002年と2013年を比較すると、2型糖尿病患者のHbA1cは7.42%から6.96%へと低下している。しかしながら、患者の平均BMIは24.10から25.00と肥満化傾向がみられる。