ニルマトレルビル/リトナビル、long COVIDに対する効果が認められず
抗ウイルス薬のパクスロビド(日本での商品名パキロビッド、一般名ニルマトレルビル/リトナビル)を長期間投与しても、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)急性期以降の罹患後症状(post-acute sequelae of SARS-CoV-2;PASC、以下、long COVID)は改善しないことが、新たな研究で明らかになった。米スタンフォード大学医学大学院感染症・地理医学分野教授のUpinder Singh氏らが、パクスロビドを製造するファイザー社の資金提供を受けて実施したこの研究の詳細は、「JAMA Internal Medicine」に6月7日掲載された。
Long COVIDは、COVID-19から回復後も他の疾患による症状としては説明のつかないさまざまな症状が3カ月以上続く状態を指し、罹患者の10〜20%が発症すると推定されている。Singh氏は、「いくつかの研究では、ウイルス粒子や分子の破片がlong COVIDの原因である可能性が示唆されている」と説明。その上で、「もしそうなら、long COVIDの症状は、ニルマトレルビル/リトナビルによる治療により緩和されるのではないかとわれわれは考えた」と話す。