産婦人科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:21

ホルモン注射で男女の性欲が高まる?

 性欲減退に悩む人に、新しいホルモン注射が役立つかもしれない。キスペプチンと呼ばれるホルモンの注射により男性と女性の性欲を高められる可能性が、英国の2件の研究で示唆された。キスペプチンは、脳の視床下部のニューロンから放出されるペプチドで、生殖機能の制御において中心的な役割を果たすと考えられている。これらの研究結果は、「JAMA Network Open」に2月3日掲載された。  1件目の研究は、英インペリアル・カレッジ・ヘルスケアNHSトラストのAlexander Comninos氏らが、性的関心興奮障害(HSDD)の女性40人を対象に実施したランダム化比較試験(RCT)である。対象者には、2回にわたってキスペプチンとプラセボを投与した。投与方法は、まず半数にキスペプチンを、残る半数にプラセボを投与し、その後、1カ月以上の間隔を空けた2回目の投与時には投与内容を入れ替えるというものだった。いずれも投与時に、性的な動画や魅力的な顔写真を対象者に見せ、脳活動を機能的MRI(fMRI)で測定した。また、複数の調査票を用いて性欲と性的興奮の心理・行動面での変化を調べ、さらに、血液検査によりキスペプチンや黄体形成ホルモン(LH)などのホルモンレベルを測定した。

9価HPVワクチン「シルガード9」、9歳以上15歳未満の女性への2回接種の追加承認取得/MSD

 MSDは2023年3月8日のプレスリリースで、同日、ヒトパピローマウイルス(HPV)の9つの型に対応した「シルガード9水性懸濁筋注シリンジ(組換え沈降9価ヒトパピローマウイルス様粒子ワクチン[酵母由来])」について、9歳以上15歳未満の女性に対する2回接種の用法および用量を追加する製造販売承認事項一部変更承認を取得したと発表した。今回の承認により、対象年齢の女性の来院および接種回数を1回減らすことができ、ワクチン接種者や医療関係者をはじめとする接種に関わる人々の負担軽減にもつながることが期待される。

卵巣がん予防目的の卵管切除術を低リスク者にも推奨

 卵巣がん研究アライアンス(Ovarian Cancer Research Alliance;OCRA)は1月30日、卵巣がんの低リスク者であっても、卵巣がんの予防を目的とした卵管の切除を、出産を終えた、より多くの女性に勧めるとの声明(コンセンサス・ステートメント)を発表した。  声明では、卵巣がんの発症に関わる遺伝子変異のない女性であっても、出産を終えており、別の婦人科系の手術を予定している場合には、卵管の切除を考慮することを勧めている。OCRAによると、ほとんどの卵巣がん、特に進行の速いタイプのものは、卵管に発生することがエビデンスで示されているという。

医学生に労働法の知識を!医師や弁護士がモデル講義/厚生労働省

 医師の過重労働の問題が指摘されて久しいが、2024年4月から医師に対する時間外労働の上限規制をはじめとした「医師の働き方改革」がスタートする。これを踏まえ、厚生労働省では、今後医師となる医学生に対し、労使関係の基本となる労働法や医師の働き方改革の基本を知ってもらうべく、医師や弁護士を講師としたモデル授業をスタートした。  2022年度からスタートしたこのモデル講義について、大学関係者に対して紹介する「医学部等における労働法教育を考えるシンポジウム」が開催され、モデル授業を担当した医師や弁護士が講義内容やその意義を報告した。

早期妊娠高血圧腎症予防のアスピリンを24~28週で中止、発生率は?/JAMA

 アスピリンは、早期妊娠高血圧腎症のリスクが高い妊婦においてその発生率を抑制するが、周産期出血のリスクを上昇させる可能性があるという。スペイン・バルセロナ自治大学のManel Mendoza氏らは、可溶性fms様チロシンキナーゼ1(sFlt-1)と胎盤増殖因子(PlGF)の比が正常な妊婦では、妊娠36週までアスピリンの投与を継続した場合と比較して、24~28週での投与中止は、早期妊娠高血圧腎症の発生に関して非劣性であり、出血性合併症は減少することを示した。研究の成果は、JAMA誌2023年2月21日号で報告された。

オキシトシンは本当に「愛情ホルモン」?

 「愛情ホルモン」と呼ばれるオキシトシンは、これまで考えられてきたほど社会的絆の形成に必要不可欠なものではない可能性のあることが、プレーリーハタネズミを用いた研究で示された。研究論文の上席著者である米カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)ワイル神経科学研究所のDevanand Manoli氏は、「この研究結果は、オキシトシンが複雑な遺伝的プログラムの一つに過ぎないことを示すものだ」と述べている。この知見は、「Neuron」に1月27日掲載された。

体外受精と自然妊娠、生まれた子供に違いや特徴は?

 体外受精(IVF)で授かった子供の学齢期の発達と教育の成果は、自然妊娠の子供と同等であることを、オーストラリア・メルボルン大学のAmber L. Kennedy氏らが明らかにした。著者らは、「この結果は、現在および将来の両親と臨床医に大きな安心感を与えるものである」とまとめている。PLOS Medicine誌2023年1月24日号の報告。  IVFは生体外での一般的な受胎の方法であるが、生まれた子供への長期的な影響を理解することは重要である。研究者らは、IVFによる妊娠が小学校在学中の児童期の発達および教育の成果に及ぼす影響を、自然妊娠と比較し明らかにする目的で本研究を行った。

妊婦の感染、オミクロン株でも重篤化や妊娠合併症増加と関連(解説:前田裕斗氏)

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は妊娠中に母体および胎児への有害事象を引き起こすことが示されており、妊娠前および妊娠中にはワクチン接種が強く推奨されている。一方、現在主流となっているオミクロン株について、妊娠経過や胎児への影響およびワクチンの有効性についての大規模かつ多施設からの報告はなかった。今回の研究(INTERCOVID-2022試験)は18ヵ国41病院を通じて行われ、世界保健機関(WHO)がオミクロン株に対する懸念を表明した2021年11月27日から、2022年6月30日までに4,618人の妊婦が被験者として登録された。

第20回日本臨床腫瘍学会の注目演題/JSMO2023

 2023年2月16日、日本臨床腫瘍学会はプレスセミナーを開催し、会長の馬場 英司氏(九州大学)らが、第20回学術集会(2023年3月16~18日)の注目演題などを発表した。  今回のテーマは「Cancer, Science and Life」で、科学に基づいた知見ががん医療の進歩を支え、患者さんが満足できる生活、実りある人生を送っていただく助けになることを目的とする。演題数は1,084であり、うち海外演題数は289と過去2番目の多さになる。  プレジデンシャルセッションでは発表者の他に、国内外の専門家がディスカッサントとして研究成果の意義を解説する。演題は学術企画委員会が厳正に審査を行い、全分野より合計19演題が選定された。

妊娠糖尿病女性の出産後の糖尿病リスクをコーヒーが抑制

 妊娠糖尿病女性の出産後の糖尿病発症リスクを、コーヒーが抑制する可能性を示唆するデータが報告された。シンガポール国立大学のCuilin Zhang氏らが、妊娠糖尿病と診断された女性を20年以上追跡した結果、出産後に1日4杯以上コーヒーを飲む習慣のあった女性は、全く飲まない人より糖尿病発症リスクが半減していたという。この研究の詳細は、「The American Journal of Clinical Nutrition」に11月14日掲載された。  妊娠糖尿病は、妊娠後に発症した糖尿病の診断基準には至らない程度の高血糖のことで、妊娠中の血糖コントロールが不十分だと巨大児出産や難産のリスクが高くなる。出産後には多くの場合、耐糖能は正常に戻るものの、加齢とともに2型糖尿病を発症するリスクが高くなり、妊娠糖尿病でなかった女性に比べると糖尿病リスクが10倍に上るとするデータもある。一方、コーヒーに糖尿病発症抑制効果のある可能性が、一般集団を対象とする疫学研究の結果として既に報告されている。しかし、妊娠糖尿病になった女性に焦点を絞った研究はこれまで行われていなかった。