産婦人科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:20

医学生に労働法の知識を!医師や弁護士がモデル講義/厚生労働省

 医師の過重労働の問題が指摘されて久しいが、2024年4月から医師に対する時間外労働の上限規制をはじめとした「医師の働き方改革」がスタートする。これを踏まえ、厚生労働省では、今後医師となる医学生に対し、労使関係の基本となる労働法や医師の働き方改革の基本を知ってもらうべく、医師や弁護士を講師としたモデル授業をスタートした。  2022年度からスタートしたこのモデル講義について、大学関係者に対して紹介する「医学部等における労働法教育を考えるシンポジウム」が開催され、モデル授業を担当した医師や弁護士が講義内容やその意義を報告した。

早期妊娠高血圧腎症予防のアスピリンを24~28週で中止、発生率は?/JAMA

 アスピリンは、早期妊娠高血圧腎症のリスクが高い妊婦においてその発生率を抑制するが、周産期出血のリスクを上昇させる可能性があるという。スペイン・バルセロナ自治大学のManel Mendoza氏らは、可溶性fms様チロシンキナーゼ1(sFlt-1)と胎盤増殖因子(PlGF)の比が正常な妊婦では、妊娠36週までアスピリンの投与を継続した場合と比較して、24~28週での投与中止は、早期妊娠高血圧腎症の発生に関して非劣性であり、出血性合併症は減少することを示した。研究の成果は、JAMA誌2023年2月21日号で報告された。

オキシトシンは本当に「愛情ホルモン」?

 「愛情ホルモン」と呼ばれるオキシトシンは、これまで考えられてきたほど社会的絆の形成に必要不可欠なものではない可能性のあることが、プレーリーハタネズミを用いた研究で示された。研究論文の上席著者である米カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)ワイル神経科学研究所のDevanand Manoli氏は、「この研究結果は、オキシトシンが複雑な遺伝的プログラムの一つに過ぎないことを示すものだ」と述べている。この知見は、「Neuron」に1月27日掲載された。

体外受精と自然妊娠、生まれた子供に違いや特徴は?

 体外受精(IVF)で授かった子供の学齢期の発達と教育の成果は、自然妊娠の子供と同等であることを、オーストラリア・メルボルン大学のAmber L. Kennedy氏らが明らかにした。著者らは、「この結果は、現在および将来の両親と臨床医に大きな安心感を与えるものである」とまとめている。PLOS Medicine誌2023年1月24日号の報告。  IVFは生体外での一般的な受胎の方法であるが、生まれた子供への長期的な影響を理解することは重要である。研究者らは、IVFによる妊娠が小学校在学中の児童期の発達および教育の成果に及ぼす影響を、自然妊娠と比較し明らかにする目的で本研究を行った。

妊婦の感染、オミクロン株でも重篤化や妊娠合併症増加と関連(解説:前田裕斗氏)

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は妊娠中に母体および胎児への有害事象を引き起こすことが示されており、妊娠前および妊娠中にはワクチン接種が強く推奨されている。一方、現在主流となっているオミクロン株について、妊娠経過や胎児への影響およびワクチンの有効性についての大規模かつ多施設からの報告はなかった。今回の研究(INTERCOVID-2022試験)は18ヵ国41病院を通じて行われ、世界保健機関(WHO)がオミクロン株に対する懸念を表明した2021年11月27日から、2022年6月30日までに4,618人の妊婦が被験者として登録された。

第20回日本臨床腫瘍学会の注目演題/JSMO2023

 2023年2月16日、日本臨床腫瘍学会はプレスセミナーを開催し、会長の馬場 英司氏(九州大学)らが、第20回学術集会(2023年3月16~18日)の注目演題などを発表した。  今回のテーマは「Cancer, Science and Life」で、科学に基づいた知見ががん医療の進歩を支え、患者さんが満足できる生活、実りある人生を送っていただく助けになることを目的とする。演題数は1,084であり、うち海外演題数は289と過去2番目の多さになる。  プレジデンシャルセッションでは発表者の他に、国内外の専門家がディスカッサントとして研究成果の意義を解説する。演題は学術企画委員会が厳正に審査を行い、全分野より合計19演題が選定された。

妊娠糖尿病女性の出産後の糖尿病リスクをコーヒーが抑制

 妊娠糖尿病女性の出産後の糖尿病発症リスクを、コーヒーが抑制する可能性を示唆するデータが報告された。シンガポール国立大学のCuilin Zhang氏らが、妊娠糖尿病と診断された女性を20年以上追跡した結果、出産後に1日4杯以上コーヒーを飲む習慣のあった女性は、全く飲まない人より糖尿病発症リスクが半減していたという。この研究の詳細は、「The American Journal of Clinical Nutrition」に11月14日掲載された。  妊娠糖尿病は、妊娠後に発症した糖尿病の診断基準には至らない程度の高血糖のことで、妊娠中の血糖コントロールが不十分だと巨大児出産や難産のリスクが高くなる。出産後には多くの場合、耐糖能は正常に戻るものの、加齢とともに2型糖尿病を発症するリスクが高くなり、妊娠糖尿病でなかった女性に比べると糖尿病リスクが10倍に上るとするデータもある。一方、コーヒーに糖尿病発症抑制効果のある可能性が、一般集団を対象とする疫学研究の結果として既に報告されている。しかし、妊娠糖尿病になった女性に焦点を絞った研究はこれまで行われていなかった。

妊娠中のコロナワクチン接種、出生児の感染/入院を予防/BMJ

 妊娠中の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチン2回接種は、出生児の生後6ヵ月間における新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)デルタ株への感染と入院に対し高い有効率を示し、オミクロン株の感染と入院に対しても中等度の予防効果が認められた。また、3回目のワクチン接種によりオミクロン株に対する有効率が上昇したこと、ワクチン2回接種の有効率は、母親の妊娠第3期での接種で最も高く、生後8週を過ぎると低下していた。カナダ・トロント大学のSarah C. J. Jorgensen氏らが、オンタリオ州の地域住民を対象とした検査陰性デザイン研究の結果を報告した。SARS-CoV-2中和抗体は、妊娠中の感染やワクチン接種により臍帯血、母乳、乳児血清に存在することが明らかになっており、妊娠中のCOVID-19ワクチン接種が、乳児のSARS-CoV-2感染および入院リスクを低下する可能性を示唆する新たなエビデンスが示されていた。BMJ誌2023年2月8日号掲載の報告。  研究グループは、ICES(旧名称:Institute for Clinical Evaluative Sciences)のデータベースを用い、カナダで最も人口の多いオンタリオ州において2021年5月7日~2022年3月31日の期間に生まれ、2021年5月7日~2022年9月5日の期間にSARS-CoV-2の検査を受けた生後6ヵ月未満児を特定し解析を行った。COVID-19ワクチン接種データベース(COVaxON)を用いて母親の妊娠中のワクチン接種状況を調べ、デルタ株またはオミクロン株の感染が検査で確認された乳児を症例群、検査が陰性であった乳児を対照群として、乳児のデルタ株またはオミクロン株の感染または入院に対するワクチン有効率を多変量ロジスティック回帰モデルにより解析した。

子育て世代の日本人女性のうつ症状スクリーニング尺度MDPS-M

 産後うつ病は、出産後の女性にとって重要な問題の1つである。産後うつ病の早期発見と適切な治療には、うつ病リスクの高い女性を迅速かつ簡便に特定することが必要である。大阪大学の竹内 麻里子氏らは、子育て世代の女性の身体症状からうつ症状をスクリーニングする尺度を開発し、検証の結果を報告した。今回、著者らが開発した子育て世代の女性のうつ症状スクリーニング尺度「MDPS-M」は、プライマリケアにおいてうつ病リスクが高い母親の早期の特定に有用かつ簡便な臨床尺度である可能性が示唆されたという。Frontiers in Psychiatry誌2022年12月1日号の報告。

有害な妊娠アウトカム、母親の虚血性心疾患リスクが長期的に上昇/BMJ

 5つの有害な妊娠アウトカム(早産、在胎不当過小、妊娠高血圧腎症、妊娠高血圧腎症以外の妊娠高血圧症候群、妊娠糖尿病)のいずれかを経験した女性は、出産後の虚血性心疾患のリスクが高く、このリスク上昇は最長で46年持続していることが、米国・マウントサイナイ・アイカーン医科大学のCasey Crump氏らの調査で示された。研究の成果は、BMJ誌2023年2月1日号で報告された。  研究グループは、5つの有害な妊娠アウトカムと母親の虚血性心疾患の長期的なリスクとの関連の評価を目的に、スウェーデンにおいて全国的なコホート研究を行った(米国国立心肺血液研究所[NHLBI]などの助成を受けた)。