骨盤臓器脱、マンチェスター手術vs.仙棘靭帯固定術/JAMA

提供元:ケアネット

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公開日:2023/09/01

 

 骨盤臓器脱に対する初回手術において、仙棘靭帯固定術はマンチェスター手術に比べ、術後2年間の手術成功の複合アウトカムが劣ることが、オランダ・ラドバウド大学医療センターのRosa A. Enklaar氏らが実施した多施設共同無作為化非劣性試験の結果、報告された。多くの国において、仙棘靭帯固定術は骨盤臓器脱の初回手術で最も一般的に行われる子宮温存術である。しかし、仙棘靭帯固定術と、より古い術式であるマンチェスター手術の結果を直接比較したものはなかった。JAMA誌2023年8月15日号掲載の報告。

術後2年間における手術成功の複合アウトカムを評価

 研究グループは、2018年7月3日~2020年2月18日に、オランダの26の病院において、膣口を越えて脱出していない子宮下垂を伴う骨盤臓器脱に対する初回外科治療を受ける18歳以上の患者434例を登録し、仙棘靭帯固定術群(217例)およびマンチェスター手術群(217例)に、1対1の割合に無作為に割り付け追跡評価した。最終追跡調査日は2022年9月19日。

 主要アウトカムは、成功の複合アウトカムで、追跡期間2年以内に、膣口を越える骨盤臓器脱がないこと、煩わしい膨隆症状がないこと(骨盤底困窮度質問票[PFDI-20]の骨盤臓器脱障害質問票[POPDI-6]サブドメインの質問3で、スコア0[症状なし])、再治療(ペッサリーまたは手術)がないことと定義した。事前に規定した非劣性マージンは9%。

 副次アウトカムは、解剖学的アウトカム、患者報告アウトカム、周術期のパラメーターおよび手術関連合併症とした。

マンチェスター手術に対する仙棘靭帯固定術の非劣性は認められず

 解析対象は、追跡期間2年時点で主要アウトカムに関するデータが完全であった393例である(平均年齢61.7歳[SD 9.1])。

 成功の複合アウトカムを達成した患者は、仙棘靭帯固定術群で196例中151例(77.0%)、マンチェスター手術群197例中172例(87.3%)で、群間リスク差は-10.3%(95%信頼区間[CI]:-17.8~-2.8、非劣性のp=0.63)と、仙棘靭帯固定術群は事前に規定した非劣性マージン(95%CIの下限が-9%)を満たさなかった。

 副次アウトカムについても、追跡期間2年時点で、周術期アウトカムおよび患者報告アウトカムに両群で有意差は認められなかった。

 なお、著者は本研究の限界として、盲検試験ではないこと、膣口を越えた骨盤臓器脱がない患者のみを対象にしていること、オランダの病院のみが参加したこと、仙棘靭帯固定術は後方アプローチに限定されていることなどを挙げている。

(医学ライター 吉尾 幸恵)