産婦人科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:52

喫煙で子宮頸がんリスクが2倍~日本人女性

 喫煙による子宮頸がんのリスク上昇を示唆するエビデンスは多いが、日本人女性における関連の強さを調べた研究はない。今回、東北大学の菅原 由美氏らは「科学的根拠に基づく発がん性・がん予防効果の評価とがん予防ガイドライン提言に関する研究」において、日本人女性における喫煙と子宮頸がんリスクとの関連を系統的レビューにより評価した。その結果から、喫煙が日本人女性における子宮頸がんリスクを高めるエビデンスは確実であると結論している。Japanese Journal of Clinical Oncology誌2019年1月号に掲載。

子宮頸がん、hrHPV検査が高検出率/BMJ

 子宮頸がんの1次検査として、高リスク型ヒトパピローマウイルス(hrHPV)検査では液状化検体細胞診(LBC法)と比較し、子宮頸部上皮内病変(CIN)のグレード3以上(CIN3)の検出率が約40%、子宮頸がんの検出率は約30%上昇し、3年後のCIN3以上の発生率は非常に低値で、検診間隔の延長を支持する結果が示された。英国・ロンドン大学クイーン・メアリー校のMatejka Rebolj氏らが、イングランドのプライマリケアでのhrHPV検査による定期の子宮頸がん検診について検討した、観察研究の結果を報告した。15年以上にわたる無作為化比較試験で、現行の標準検査であるLBC法と比較し、CIN2以上の検出に関してhrHPV検査の優越性が示されたことから、他国では検診ガイドラインを改訂し、hrHPVトリアージ検査を併用したLBC法での1次検査から、LBC法のトリアージ検査を併用したhrHPV検査による1次検査に切り替えたところもある。イングランドでは、2019年末までの全国導入を目指しているという。BMJ誌2019年2月6日号掲載の報告。

申告や支払いなしの残業ゼロへ、労務管理の徹底求める~働き方改革

 医師の時間外労働規制の方向性について議論する、厚生労働省「医師の働き方改革に関する検討会(第18回)」が、2月6日開催された。上限規制がスタートする2024年4月までの5年間の具体的な流れ、現状案に基づく場合の勤務医の働き方の変化(イメージ)、健康確保措置案としての“代償休息”の設定などが事務局から示され、構成員らが議論を進めた。  まず前提として、これまでの議論で提示された、原則:月100時間未満・年960時間以下(A)、特例:月100時間未満・年1,900~2,000時間以下(B)という案は、あくまで「臨時的な必要がある場合」に36協定上で規定できる上限時間数であることを整理(一般労働者では[休日労働を含まない形で] 月100時間未満・年720時間以下)。

子宮内膜スクラッチ、出産率は向上せず/NEJM

 子宮内膜スクラッチは、体外受精の胚着床を促進して妊娠の確率を高める目的で開発された技術である。ニュージーランド・オークランド大学のSarah Lensen氏らPIP試験の研究グループは、pipelle生検を用いる子宮内膜スクラッチの有用性を検討し、この技術は体外受精を受ける女性の生児出産率を改善しなかったとの研究結果を、NEJM誌2019年1月24日号で報告した。  本研究は、5ヵ国13施設が参加したプラグマティックな非盲検無作為化対照比較試験で、2014年6月~2017年6月の期間に患者登録が行われた(オークランド大学などの助成による)。

冷え性の女性は約5倍「あの症状」

 冷え性の女性は、腰痛に4.91倍、難聴に4.84倍なりやすいことが、福島県立医科大学の坪井 聡氏らによる研究で明らかになった。冷え性の女性はさまざまな症状を抱え、健康リスクを伴う行動をとっていることがある。対症療法では改善が不十分な場合があり、総合的なケアが必要であるという。International journal of women's health誌2019年1月11日号の報告。  西洋医学においては、東アジアの伝統医学と異なり、冷え性に対する医療サービスの必要性は、まだ認識されていない。

出生児の有害アウトカム、不妊治療が原因か?/Lancet

 自然妊娠の子供に比べmedically assisted reproduction(MAR)で妊娠した子供は、有害な出生アウトカムのリスクが高いが、そのほとんどはMAR以外の要因によることが、英国・ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)のAlice Goisis氏らの検討で示された。すでにMARで出生した子供は500万人以上に上り、これらの子供のウェルビーイング(wellbeing)に及ぼすMARの影響の検討が活発化しているという。MARとは、生殖補助医療(assisted reproductive technology:ART)に加え、排卵誘発、調節卵巣刺激、配偶者/パートナーまたはドナーの精液を用いた子宮内・子宮頸管内・膣内受精などによる生殖を含めた概念である。ARTは、妊娠を促す目的で、卵母細胞と精子の双方あるいは胚を体外で操作する処置または治療であり、体外受精や胚移植のほか、配偶子卵管内移植、接合子卵管内移植、配偶子・胚の凍結保存、卵母細胞・胚の提供、代理母出産などが含まれる。Lancet誌オンライン版2019年1月14日号掲載の報告。

ホルモン補充療法のVTEリスク、製剤で異なる/BMJ

 ホルモン補充療法(HRT)による静脈血栓塞栓症(VTE)のリスクは、製剤のタイプによって異なり、経口薬は全般にリスクが高く、経皮吸収薬はリスクと関連がないことが、英国・ノッティンガム大学のYana Vinogradova氏らの検討で示された。研究の成果は、BMJ誌2019年1月9日号に掲載された。更年期症状がみられる女性の無作為化対照比較試験では、HRTを受けている女性は受けていない女性に比べVTEリスクが高いと報告されているが、ほとんどの試験は結合型エストロゲン製剤または結合型エストロゲンと酢酸メドロキシプロゲステロン配合薬が使用されている。また、観察研究では、HRTは全般にリスクの上昇と関連するとされるが、異なるタイプの製剤の詳細な比較に関して、これらの研究には十分な検出力はなかったという。

がんの静脈血栓予防は必要かな?(解説:後藤信哉氏)-982

日本では静脈血栓症が欧米に比較して圧倒的に少ない。遺伝子型として活性化プロテインC抵抗性を示す血液凝固因子のLeiden型変異がいないことが理由の1つと想定されるが、その他の生活習慣も寄与しているかもしれない。静脈血栓症の圧倒的多数には血栓性素因がある。日本の高齢者に初発の静脈血栓症を認めた場合には、悪性腫瘍が隠れている可能性が高い。静脈血栓症例に対する悪性腫瘍スクリーニングは重要である。

ペムブロリズマブのMSI-H固形がんが国内承認…臓器横断的がん治療が現実に/MSD

 MSD株式会社は、2018年2月12日、抗PD-1抗体ペムブロリズマブ(商品名:キイトルーダ)について、「がん化学療法後に増悪した進行・再発の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する固形癌(標準的な治療が困難な場合に限る)」の国内製造販売承認事項一部変更の承認を取得した。この適応拡大は医薬品の条件付き早期承認制度の適用を受けていた。  高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)とは、傷ついたDNAを修復する機能が低下していることを示すバイオマーカー。細胞は、DNA複製時に自然に起こる複製ミスを修復する機能をもっているが、この修復機能の低下によって、DNAの繰り返し配列(マイクロサテライト)が正常な細胞と異なる状態になっていることをマイクロサテライト不安定性(MSI)と呼び、このMSIが高頻度に起きている現象を高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)と呼ぶ。

がん患者の静脈血栓塞栓症予防、アピキサバンが有望/NEJM

 がん患者は静脈血栓塞栓症のリスクが高いとされる。カナダ・オタワ大学のMarc Carrier氏らAVERT試験の研究グループは、中等度~高度の静脈血栓塞栓症リスク(Khoranaスコア≧2)を有し、化学療法を開始した外来がん患者では、アピキサバンにより静脈血栓塞栓症の発生が抑制されることを示し、NEJM誌オンライン版2018年12月4日号で報告した。Khoranaスコアは静脈血栓塞栓症のリスクが高いがん患者を同定し、予防治療により便益を得ると考えられる患者の選定に役立つ可能性がある。また、直接経口抗凝固薬は、がん患者の血栓予防薬として、利便性や費用も含め、非経口薬よりも優れる可能性が示唆されている。