血液内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:13

FLT3-ITD変異陽性AML、キザルチニブは新たな治療選択肢/Lancet

 新規に診断されたFLT3-ITD変異陽性急性骨髄性白血病(AML)の患者(18~75歳)において、化学療法へのキザルチニブ追加による地固め療法後、最長3年間のキザルチニブ単独療法が、同種造血幹細胞移植(allo-HCT)の有無を問わず全生存期間(OS)の改善に結び付いたことを、米国・デュークがん研究所のHarry P. Erba氏らが「QuANTUM-First試験」の結果から報告した。FLT3-ITD変異陽性AML患者の予後は不良である。キザルチニブは非常に強力な選択的2型FLT3阻害薬(経口薬)で、化学療法との併用で、新規診断のFLT3-ITD変異陽性AML患者に対する抗腫瘍活性が、許容できる安全性プロファイルと共に示されていた。今回の結果を踏まえて著者は、「QuANTUM-First試験の結果に基づき、キザルチニブは新規診断のFLT3-ITD変異陽性AML成人患者における、新しい、効果的かつ、概して忍容性が良好な治療選択肢となりうることが示された」とまとめている。Lancet誌オンライン版2023年4月25日号掲載の報告。

進行期皮膚T細胞リンパ腫への同種HSCT、PFSを有意に延長/Lancet

 進行期皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)患者に対する同種造血幹細胞移植(HSCT)は、非HSCTとの比較において無増悪生存期間(PFS)中央値を有意に延長したことが、フランス・サン・ルイ病院のAdele de Masson氏らによる前向き適合対照試験「CUTALLO試験」で示された。進行期CTCLはまれだが、大抵は難治性で致死的な疾患であり、ケースシリーズにおいて同種HSCTによる改善の可能性が示されていた。著者は、「今回の結果は、高リスクで進行期の菌状息肉症またはセザリー症候群を有し、移植前に寛解期にある患者が、同種HSCT治療を利用できるようにすべきであることを示すものである」とまとめている。Lancet誌オンライン版2023年4月24日号掲載の報告。

KMT2A-r ALL乳児、化学療法+ブリナツモマブでDFS改善/NEJM

 新規に診断されたKMT2A再構成陽性急性リンパ芽球性白血病(KMT2A-r ALL)の乳児において、Interfant-06試験の化学療法へのブリナツモマブ追加投与は、Interfant-06試験のヒストリカルコントロールと比較し安全で有効性も高いことが確認された。オランダ・Princess Maxima Center for Pediatric OncologyのInge M. van der Sluis氏らが、多施設共同前向き単群第II相試験の結果を報告した。乳児のKMT2A-r ALLは、3年無イベント生存率が40%未満の進行性疾患で、多くが治療中に再発する。その再発率は、診断後1年以内で3分の2、2年以内では90%である。化学療法が強化されたにもかかわらず、この20数年、アウトカムは改善されていなかった。NEJM誌2023年4月27日号掲載の報告。

大量輸血の外傷患者、4F-PCCの有効性認められず/JAMA

 大量輸血のリスクがある外傷患者において、高比率輸血戦略に4因子含有プロトロンビン複合体濃縮製剤(4F-PCC)を追加しても24時間の血液製剤消費量の有意な減少は認められず、血栓塞栓イベントの発生が有意に増加した。フランス・グルノーブル・アルプ大学のPierre Bouzat氏らが「PROCOAG試験」の結果を報告した。外傷性出血における最適な輸血戦略は不明である。最近の観察研究では、4F-PCCの早期投与と新鮮凍結血漿(FFP)の併用により、血栓塞栓イベントが増加することなく血液製剤の消費量と死亡率が低下することが示されていた。今回の試験を受けて著者は、「大量輸血のリスクを有する患者における4F-PCCの使用は支持されない」とまとめている。JAMA誌2023年4月25日号掲載の報告。

CAR-T細胞療法はがん患者のQOLを向上させる

 CAR(キメラ抗原受容体)-T細胞療法と呼ばれる免疫系を強化する治療法は、特定のがん患者を長生きさせるだけでなく、QOL(生活の質)も高めることが、新たな研究で明らかにされた。米マサチューセッツ総合病院(MGH)の腫瘍学者Patrick Connor Johnson氏らが実施したこの研究の詳細は、「Blood Advances」に3月20日掲載された。  CAR-T細胞療法は、患者自身の血液から免疫細胞のT細胞を取り出し、がんを標的とするように遺伝子を改変した後に、再び患者に戻す治療法である。この治療法の対象となるのは、標準的な治療が奏効しない難治性の白血病やリンパ腫などの血液がんである。CAR-T細胞療法は、血液がん患者の治療に革命を起こした。進行した血液がん患者でも、この治療法によりがん細胞が一掃され、何年間もがんが再発することなく生存している人もいるくらいだ。その一方で、治療後の患者のQOLについての研究報告は限られている。

慢性的鉄欠乏児、介入による血清フェリチン値改善後も認知スコアは低い

 慢性的な鉄欠乏症の児は、介入により血清フェリチン値が改善しても、鉄が充足している児と比べて介入後12カ月時点でも認知スコアは低いままである、という研究結果が「Pediatrics」2022年12月号に発表された。  トロント大学(カナダ)Dalla Lana School of Public HealthのArgie Gingoyon氏らは、ヘモグロビンとフェリチンをスクリーニングに用い、最終的に生後12カ月から40カ月の乳幼児116人を対象に、慢性的な鉄欠乏と認知スコアとの関連を検討する前向き観察研究を実施した。対象とした児全員の保護者には食事に関する指示を与え、鉄の充足状態に応じて児に経口鉄剤を投与した。

AIを使い、初診診断書でがん患者の生存を予測

 自然言語処理(NLP)は、人工知能(AI)の一分野であり、コンピュータによって人間の言語を理解、生成、操作することを可能にする技術全般を指す。NLPを使って初診の診断書を解析し、がん患者の予後を予測することが可能であることを示唆する研究が、JAMA Network Open誌2023年2月27日号に掲載された。  ブリティッシュ コロンビア大学(カナダ)のJohn-Jose Nunez氏らによる本研究では、2011年4月1日~2016年12月31日に、ブリティッシュ・コロンビア州にある6つのがんセンターのいずれかでがん治療を開始した患者のデータを使用した。死亡率データは2022年4月6日まで更新され、更新から2022年9月30日までのデータを分析した。診断から180日以内に作成された腫瘍内科医または放射線医の診察書を持つすべての患者を対象とし、診断書は診断日に最も近い文書を選択した。複数のがんで受診した患者は除外した。

輸血ドナーの性別、レシピエントの死亡率には影響せず/NEJM

 血液ドナーの特性が輸血レシピエントのアウトカムに影響を及ぼす可能性を示唆する観察研究のエビデンスが増えているという。カナダ・モントリオール大学のMichael Chasse氏らは「iTADS試験」において、女性の赤血球ドナーからの輸血を受けた患者と男性の赤血球ドナーからの輸血を受けた患者で、生存率に有意差はないことを示した。研究の詳細は、NEJM誌2023年4月13日号で報告された。  iTADS試験は、カナダの3施設が参加した二重盲検無作為化試験であり、2018年9月~2020年12月の期間に患者の登録が行われた(カナダ保健研究機構の助成を受けた)。

米国で危険な薬剤耐性真菌感染症が増加

 ある真菌の感染が米国全土に広がりつつあるとして、米疾病対策センター(CDC)の研究グループが警鐘を鳴らしている。Candida auris(カンジダ・アウリス)と呼ばれるこの真菌はカンジダ属の新興菌種であり、感染すると生命が脅かされる可能性があるという。研究グループは、2013年にカンジダ・アウリスの初の感染者が報告されて以降、全米で急激に感染者が増加していることを、「Annals of Internal Medicine」3月21日号で報告した。

第5回AYAがんの医療と支援のあり方研究会学術集会の開催について【ご案内】

 一般社団法人AYAがんの医療と支援のあり方研究会は、5月13~14日に『第5回 AYAがんの医療と支援のあり方研究会学術集会』を開催する。今回は、「Co-Creation ―対話からはじめる共創―」とし、長期的健康管理や身体活動性の維持、新規就労など社会とのつながりにおける課題、AYA世代と家族、終末期医療などAYA世代のがん医療を取り巻く多様な課題について取り上げる。大会長の渡邊 知映氏(昭和大学 保健医療学部)は、「この学術集会を通して、当事者と家族・医療者・支援者それぞれが向き合いながら、ときには立場を超えた対話をすることに挑戦したい」としている。  本研究会は、思春期・若年成人(Adolescent and Young Adult,:AYA)のがん領域の学術活動、教育活動、社会啓発および人材育成などを行うことにより、わが国の思春期・若年成人がん領域における医療と支援の向上に寄与することを目的としている。