血液内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:16

アカラブルチニブ、慢性リンパ性白血病の初回治療に承認/AZ

 アストラゼネカは、2022年12月23日、アカラブルチニブ(製品名:カルケンス)が、「慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)」の適応症で厚生労働省より承認されたと発表した。  今回の承認は、国内第I相試験および、未治療の慢性リンパ性白血病(CLL)を対象とした国際共同第III相試験(ELEVATE-TN試験)の結果に基づくもの。  ELEVATE-TN試験では、アカラブルチニブの単剤投与またはアカラブルチニブとオビヌツズマブの併用投与が、標準化学免疫療法であるクロラムブシルとオビヌツズマブの併用投与と比較して、無増悪生存期間(PFS)を有意に改善することが示された。本試験の中間解析データは、2020年にThe Lancet誌で発表されている。

再発難治CLL/SLL、zanubrutinib vs.イブルチニブ/NEJM

 再発または難治性の慢性リンパ性白血病(CLL)または小リンパ球性リンパ腫(SLL)の治療において、第2世代のブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害薬であるzanubrutinibは第1世代BTK阻害薬イブルチニブと比較して、無増悪生存期間が有意に優れ、心臓の有害事象が少ないことが、米国・ダナ・ファーバーがん研究所のJennifer R. Brown氏らが実施した「ALPINE試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2022年12月13日号で報告された。  ALPINE試験は、北米、欧州、アジア太平洋地域の15ヵ国113施設が参加した非盲検無作為化第III相試験であり、2018年11月~2020年12月の期間に患者の登録が行われた(BeiGeneの助成を受けた)。  対象は、年齢18歳以上、International Workshop on CLLの基準を満たすCLLまたはSLLと確定診断され、再発または1ライン以上の治療を受けた難治性の病変を有する患者であった。

二重抗体薬talquetamab、再発難治多発性骨髄腫に有望/NEJM

 再発/難治性多発性骨髄腫患者において、Gタンパク質共役受容体クラスCグループ5メンバーD(GPRC5D)とCD3に対する二重特異性T細胞誘導抗体であるtalquetamabの405μg/kg週1回ならびに800μg/kg隔週の皮下投与は、いずれも同様の安全性プロファイルと有効性を示すことが、米国・マウントサイナイ医科大学のAjai Chari氏らによる第I相の「MonumenTAL-1試験」で明らかとなった。GPRC5Dは、正常なヒトの組織にはほとんど発現しておらず、悪性形質細胞に過剰発現しているオーファン受容体である。talquetamabは、GPRC5DとCD3の両方に結合してT細胞を動員および活性化し、GPRC5D発現骨髄腫細胞の殺傷を誘導する。著者は、「CAR-T細胞療法だけでなく二重特異性抗体によるアプローチでの抗骨髄腫活性は、GPRC5Dが骨髄腫の治療標的であることを立証している」とまとめている。NEJM誌2022年12月15日号掲載の報告。

薬価4億8300万円超の血友病Bの遺伝子治療薬をFDAが承認

 米食品医薬品局(FDA)は11月22日、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを用いた血友病Bの遺伝子治療薬Hemgenix(一般名etranacogene dezaparvovec)を承認した。同薬剤による治療は1回の投与で完了するが、価格は1回当たり350万ドル(1ドル138円換算で約4億8300万円)に上るという。投与の対象は、現在、第IX因子製剤による補充療法を受けている成人患者、現在または過去に命に関わる出血を経験したか、重症の自然出血エピソードが繰り返し生じている成人患者である。

CAR-T liso-cel、再発・難治性大細胞型B細胞リンパ腫の2次治療に承認/BMS

ブリストル・マイヤーズ スクイブは、2022年12月20日、CD19を標的とするCAR-T細胞療法リソカブタゲン マラルユーセル(liso-cel、製品名:ブレヤンジ)について、自家造血幹細胞移植への適応の有無にかかわらず、再発・難治性の大細胞型B細胞リンパ腫(LBCL)の2次治療として、再生医療等製品製造販売承認事項一部変更承認を取得した。  今回の承認は、自家造血幹細胞移植適応患者を対象とした国際共同第III相試験(JCAR017-BCM-003試験)、自家造血幹細胞移植非適応患者を対象とした海外第II相試験(017006試験)および国際共同第II相試験(JCAR017-BCM-001試験)コホート2を含む、1次治療後の再発・難治性のアグレッシブB細胞非ホジキンリンパ腫患者を対象とした臨床試験の成績に基づいている。

二重抗体薬glofitamab、再発難治DLBCLの39%が完全寛解/NEJM

 CD20/CD3二重特異性モノクローナル抗体のglofitamabは、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)に有効性を示したものの、患者の半数以上にGrade3以上の有害事象が発現したことが、オーストラリア・メルボルン大学のMichael J. Dickinson氏らによる第II相試験で示された。DLBCLの標準的な1次治療はR-CHOP療法(リツキシマブ+シクロホスファミド+ドキソルビシン+ビンクリスチン+prednisone)であるが、同患者の35~40%は再発/難治性で、その予後は不良であった。NEJM誌2022年12月15日号掲載の報告。  研究グループは、2ライン以上の治療歴のある18歳以上の再発/難治性DLBCL患者を登録し、サイトカイン放出症候群軽減のためオビヌツズマブ(1,000mg)による前治療後、glofitamabを1サイクルの8日目に2.5mg、15日目に10mg、2~12サイクルの1日目に30mgを投与した(1サイクル21日間)。

再発・難治ATLLにバレメトスタット発売/第一三共

 第一三共株は、バレメトスタット(製品名:エザルミア)について、2022年12月20日、国内で新発売したと発表。  同剤は、再発又は難治性の成人T細胞白血病リンパ腫(ATLL)患者を対象とした国内第II相臨床試験の結果に基づき、2021年11月に希少疾病用医薬品の指定を受け、2022年9月に「再発又は難治性の成人T細胞白血病リンパ腫」を適応として国内製造販売承認を取得した。

ペグフィルグラスチムの自動投与デバイス発売、患者の通院負担軽減に期待/協和キリン

 協和キリンは、持続型G-CSFペグフィルグラスチム(商品名:ジーラスタ)の自動投与デバイスであるジーラスタ皮下注3.6mgボディーポッド(以下、同剤)を12月6日より発売すると発表した。  ペグフィルグラスチムは、がん化学療法による発熱性好中球減少症の発症抑制を適応症として2014年から日本で販売している。通常、がん化学療法剤投与終了後の翌日以降に投与されるが、同剤は約27時間後に薬剤が自動投与される機能を搭載する。  がん化学療法と同日に使用することでペグフィルグラスチム投与のための通院が不要となる。この機能により、化学療法を実施する患者の通院負担の軽減に寄与するという。

週1回のrezafungin、侵襲性カンジダ症治療に有望/Lancet

 カンジダ血症または侵襲性カンジダ症の成人患者の治療において、週1回投与の次世代エキノカンジン系抗真菌薬rezafunginは、2つの有効性の主要評価項目について、毎日1回投与のカスポファンギンに対し非劣性であることが、米国・カリフォルニア大学デービス校医療センターのGeorge R. Thompson III氏らが実施した「ReSTORE試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2022年11月25日号で報告された。  ReSTORE試験は、15ヵ国66施設が参加した多施設共同二重盲検ダブルダミー無作為化非劣性第III相試験であり、2018年10月~2021年8月の期間に患者のスクリーニングが行われた(Cidara TherapeuticsとMundipharmaの助成を受けた)。

黄色ブ菌、大腸菌などの感染症関連死は依然多い/Lancet

 2019年の世界の感染症関連死は推定1,370万人で、うち黄色ブドウ球菌、大腸菌など33の細菌属・種が原因の死亡は770万人だった。また、同細菌による年齢標準化死亡率はサハラ以南アフリカのスーパーリージョンで最も高かった。米国・ワシントン大学のMohsen Naghavi氏ら、薬剤耐性の世界疾病負担(Global Burden of Antimicrobial Resistance)に関する研究グループ「GBD 2019 Antimicrobial Resistance Collaborators」が解析結果を報告した。先行研究により、薬剤耐性感染症と敗血症関連の死亡数が推定され、感染症が依然として世界の主要な死因を占めることが明らかになっている。公衆衛生上の最大の脅威を特定するためには、一般的な細菌(抗菌薬への耐性あり/なしの両者を含む)の世界的負荷を理解することが求められている中、本検討は、33の細菌属・種による11の重大感染症と関連する死亡について世界的な推算値を求めた初となる研究で、Lancet誌オンライン版2022年11月18日号で発表された。