血液内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:20

免疫抑制が強い患者ほど接種後の抗体価に差、モデルナ製vs.ファイザー製

 免疫抑制治療を受けている固形臓器移植患者やリウマチ性・筋骨格系疾患患者において、モデルナ製の新型コロナワクチンがファイザー製ワクチンより強い液性免疫原性を誘導しやすく、この効果は免疫抑制が強いほど顕著だったことが、米国・Johns Hopkins University School of MedicineのJonathan Mitchell氏らの研究で示された。JAMA Network Open誌2022年5月16日号に掲載。  臓器移植患者やリウマチ性・筋骨格系疾患患者などの免疫抑制患者は、新型コロナワクチンに対する免疫応答が低下している。したがって、ワクチンの免疫原性の差は、免疫正常者での差より臨床的に重要である。本コホート研究では、免疫抑制の強さの異なる患者群ごとにファイザー製およびモデルナ製ワクチン2回接種後の抗スパイク抗体価を比較した。

IDH1変異陽性AML、ivosidenib併用でEFS延長/NEJM

 イソクエン酸脱水素酵素1(IDH1)をコードする遺伝子に変異のある急性骨髄性白血病と新たに診断された患者の治療において、ivosidenibとアザシチジンの併用療法はプラセボとアザシチジン併用と比較して、無イベント生存期間(EFS)を有意に延長し、発熱性好中球減少症や感染症の発現頻度は低いものの好中球減少や出血は高いことが、スペイン・Hospital Universitari i Politecnic La FeのPau Montesinos氏らが実施した「AGILE試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌2022年4月21日号で報告された。

BTK阻害薬、治療歴ある免疫性血小板減少症に効果/NEJM

 治療歴のある免疫性血小板減少症に対し、経口ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害薬rilzabrutinibの有効性と安全性が、第I-II相の国際非盲検用量設定試験で確認された。評価した全用量で血小板反応性が認められ、毒性効果は報告されたがいずれも低グレードだった。米国・マサチューセッツ総合病院のDavid J. Kuter氏らによる検討で、NEJM誌2022年4月14日号で発表された。rilzabrutinibは、マクロファージ(Fcγ受容体)を介した血小板破壊の抑制と病原性自己抗体産生の抑制という2つの作用機序によって、免疫性血小板減少症の患者の血小板数を増加させる可能性が示唆されていた。

初のSTAMP阻害薬アシミニブ、忍容性に期待/ノバルティスファーマ

 ノバルティス ファーマは、前治療薬に抵抗性または不耐用の慢性骨髄性白血病(CML)患者に対するSTAMP阻害薬であるアシミニブ塩酸塩(商品名:セムブリックス、以下アシミニブ)が3月に国内承認を受けたことを受け、4月19日にプレスセミナーを行った。セミナーでは、国立がん研究センター東病院 血液腫瘍科の南 陽介氏がCMLの治療戦略とアシミニブへの期待について講演を行った。

血友病の遺伝子治療、EUでは発売間近だが日本は出遅れた(解説:長尾梓氏)

単一遺伝子欠損で発症する血友病は遺伝子治療の有望なターゲットで、唯一のcureを目指せる治療として有望視され、現時点で少なくとも血友病AとBを合わせて14社が開発に乗り出している。遺伝子のサイズが小さくアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターに搭載しやすい血友病Bが先行して開発され、8年間の耐久性を示した製品もある(scAAV2/8-LP1-hFIXco, sponsor; St. Jude Children’s research Hospital/UCL)。サイズの大きい血友病A遺伝子治療は少し出遅れたが、その中ではBioMarin社の遺伝子治療(roctavian[valoctocogene roxaparvovec])が最も先行している。ロイター通信によると、BioMarin社のroctavianは2019年に3年間の第I/II相データと第III相データの中間解析に基づいてFDAおよびEMAに承認申請したものの、第I/II相データでは2年目に治療効果が低下傾向にあり、第III相のデータをさらに2年分追加することが要求された。つまり、FDAもEMAもdurabilityに懸念を示したわけである。

重症血友病A、アデノ随伴ウイルス用いた遺伝子治療が有効/NEJM

 重症血友病A患者において、valoctocogene roxaparvovec治療により内因性第VIII因子の産生が増加し、第VIII因子製剤の予防投与時と比較して出血および第VIII因子製剤の使用が有意に減少した。ブラジル・カンピーナス大学のMargareth C. Ozelo氏らが、多施設共同単群非盲検第III相試験「GENEr8-1試験」の結果を報告した。Valoctocogene roxaparvovec(AAV5-hFVIII-SQ)は、肝特異的プロモーターにBドメインを除いた第VIII因子遺伝子を配したアデノ随伴ウイルス5(AAV5)ベクターを用いる遺伝子治療薬で、重症血友病A男性患者を対象とした第I/II相用量漸増試験において有効性と安全性が示されていた。NEJM誌2022年3月17日号掲載の報告。

がん患者でのブレークスルー感染リスクと転帰/JCO

 米国で最大のCOVID-19症例と対照の全国コホートを運営するNational COVID Cohort Collaborative Consortiumが、ワクチン接種を受けたがん患者のブレークスルー感染リスクと転帰について調査した結果が、Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2022年3月14日号で報告された。がん患者、とくに血液腫瘍患者はブレークスルー感染と重篤な転帰のリスクが高かったが、ワクチン接種患者ではブレークスルー感染リスクが著明に低下することが示唆された。

免疫不全者へのコロナワクチン、3回で抗体陽転率上昇か~メタ解析/BMJ

 免疫不全患者(血液がん、固形がん、免疫性炎症性疾患、臓器移植、HIV)は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンの接種による抗体陽転率が免疫正常者と比較して低いが、1回目に比べると2回目接種後に改善され、3回目の接種は有効である可能性があることが、シンガポール国立大学のAinsley Ryan Yan Bin Lee氏らの検討で示された。研究の成果は、BMJ誌2022年3月2日号で報告された。  研究グループは、免疫不全患者と免疫正常者においてCOVID-19ワクチンの有効性を比較する目的で、文献を系統的にレビューし、メタ解析を行った(特定の研究助成は受けていない)。  医学データベース(PubMed、Embase、Central Register of Controlled Trials、COVID-19 Open Research Dataset Challenge[CORD-19]、WHO COVID-19 databases)を用いて、2020年12月1日~2021年11月5日の期間に発表された試験が検索された。また、ClinicalTrials.govとWHO International Clinical Trials Registry Platformを検索して、2021年11月の時点で、これらのサイトに登録されているが未発表または進行中の試験が特定された。

がん患者でのブースター接種後のオミクロン株への中和抗体、固形・血液腫瘍別/Lancet

 英国のがん患者の前向きコホートにおいて、新型コロナワクチン3回目接種前後のオミクロン株への中和抗体価を調べたところ、多くの患者が接種前には検出不可能だったが、接種後に検出可能な患者が大幅に増加したことが示された。そのうち固形腫瘍患者では3回目接種で90%の患者が抗体価の検出が可能だったが、血液腫瘍患者では検出可能が56%でB細胞除去療法を受けた症例や進行例の多くは検出不可能だったという。英国・The Francis Crick InstituteのAnnika Fendler氏らが、Lancet誌オンライン版2022年1月25日号のCORRESPONDENCEに報告した。

死に至る薬剤耐性菌感染症、最も多い疾患と原因菌は/Lancet

 薬剤耐性(AMR)は、世界中で人々の健康を脅かす主要な原因となっている。これまでのAMR研究は、特定の地域における限られた病原体と薬剤の組み合わせについて、感染症の発生率や死亡数、入院期間、医療費に及ぼすAMRの影響の評価を行い、広範な地域や、病原体と薬剤の網羅的な組み合わせに関する包括的な検討は行われていないという。米国・ワシントン大学のMohsen Naghavi氏らAntimicrobial Resistance Collaboratorsは、今回、AMR負担に関して現時点で最も包括的な検討を行い、2019年に世界で495万人が細菌のAMRに関連する感染症で死亡し、このうち127万人は薬剤耐性菌感染症が直接の原因で死亡したことを明らかにした。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2022年1月18日号に掲載された。