既治療のヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染患者で、薬剤耐性変異の有無に関するデータがなく、ウイルス抑制下にある患者において、リトナビルブーストプロテアーゼ阻害薬(PI)ベースのレジメンからドルテグラビルへの切り替えは、リトナビルブーストPIを含むレジメンに対して非劣性であることが、ケニア・ナイロビ大学のLoice A. Ombajo氏らが同国4施設で実施した多施設共同無作為化非盲検試験の結果で示された。遺伝子型の情報がなく、リトナビルブーストPIを含む2次治療でウイルスが抑制されているHIV感染患者において、ドルテグラビルへの切り替えに関するデータは限られていた。NEJM誌2023年6月22日号掲載の報告。
NRTI 2剤+リトナビルブーストPIからNRTI 2剤+ドルテグラビル群への切り替え評価
研究グループは、遺伝子型の情報がなく、ヌクレオシド逆転写酵素阻害薬(NRTI)2剤と非ヌクレオシド逆転写酵素阻害薬(NNRTI)1剤による1次治療が無効で、NRTI 2剤とリトナビルブーストPIを含む2次治療を24週間以上行っており、ウイルスが抑制されている(登録前12週間および登録時のHIV-1 RNA<50コピー/mL)患者を、ドルテグラビルに切り替える(NRTI 2剤は継続)群(ドルテグラビル群)または現在の治療を継続する群(リトナビルブーストPI群)のいずれかに、1対1の割合で無作為に割り付けた。
主要エンドポイントは、米国食品医薬品局(FDA)のスナップショットアルゴリズムに基づいて評価した、48週時のウイルス学的失敗(2回の検査が連続して血漿中HIV-1 RNA≧50コピー/mLの患者の割合)であった。非劣性マージンは主要エンドポイントを満たした患者の割合の群間差が4ポイントとした。また、48週目までの安全性も評価した。
ドルテグラビルへの切り替えのリトナビルブーストPI継続に対する非劣性を確認
2020年2月~9月に計1,114例がスクリーニングされ、795例が無作為化された(ドルテグラビル群398例、リトナビルブーストPI群397例)。このうち、2例が同意を撤回し、2例がプロトコール違反のため、intention-to-treat解析集団は791例(ドルテグラビル群397例、リトナビルブーストPI群394例)であった。
48週時に主要エンドポイントを満たした患者は、ドルテグラビル群20例(5.0%)、リトナビルブーストPI群20例(5.1%)であった。群間差は-0.04ポイント(95%信頼区間[CI]:-3.1~3.0)であり、非劣性基準を満たした。
ウイルス学的失敗例において、ドルテグラビル耐性変異またはリトナビルブーストPI耐性変異は検出されなかった。
治療に関連したGrade3/4の有害事象の発現率は、ドルテグラビル群5.7%、リトナビルブーストPI群6.9%で、両群で同程度であった。
(ケアネット)