血液内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:3

テクリスタマブ、再発/難治多発性骨髄腫に承認/J&J

 Johnson & Johnson(法人名:ヤンセンファーマ)は、2024年12月27日、BCMA/CD3標的二重特異性抗体テクリスタマブ(商品名:テクベイリ)について、「再発又は難治性の多発性骨髄腫(標準的な治療が困難な場合に限る)」を効能又は効果として製造販売承認を取得したと発表した。  テクリスタマブはT 細胞表面に発現するCD3受容体と骨髄腫細胞表面に発現するBCMAの両方に結合し、免疫系を活性化させるT細胞リダイレクト二重特異性抗体で、投与前の希釈が不要な皮下注製剤である。

ザヌブルチニブ、再発/難治慢性リンパ性白血病など3つのB細胞性悪性腫瘍に承認/BeiGene

 BeiGene Japanは、2024年12月27日、新たなBTK阻害薬ザヌブルチニブ(商品名:ブルキンザ)が、慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫含む)、原発性マクログロブリン血症、リンパ形質細胞リンパ腫を適応症として厚生労働省より承認されたことを発表した。  今回の承認は、慢性リンパ性白血病/小リンパ球性リンパ腫(CLL/SLL)患者を対象にザヌブルチニブの有用性を評価したALPINE試験とSEQUOIA試験、原発性マクログロブリン血症/リンパ形質細胞リンパ腫(WM/LPL)患者を対象としたASPEN試験の3つの第III相臨床試験に基づいている。さらに、日本人患者を対象とした第I/II相臨床試験(BGB-3111-111)の結果は、ザヌブルチニブのプロファイルを裏付けるものであった。

抗CD20/CD3二重特異性抗体モスネツズマブ、再発/難治濾胞性リンパ腫に承認/中外

 中外製薬は、抗CD20/CD3二重特異性抗体モスネツズマブ(商品名:ルンスミオ)について、過去に少なくとも2つの標準治療を受けたことのある再発又は難治性の濾胞性リンパ腫を適応として、2024年12月27日、厚生労働省より製造販売承認を取得したことを発表した。  モスネツズマブはCD20/CD3に対するT細胞誘導性二重特性抗体で、高い奏効割合と持続的な寛解が期待できる。治療期間は患者の治療効果に応じ、約半年または1年間と設定されている。

高リスクくすぶり型多発性骨髄腫、ダラツムマブ単剤が有効/NEJM

 くすぶり型多発性骨髄腫は、活動性多発性骨髄腫の無症候性の前駆疾患であり、現在の標準治療は経過観察であるが、活動性多発性骨髄腫への進行リスクが高い患者では早期治療が有益な可能性があるとされる。ギリシャ・アテネ大学のMeletios A. DimopoulosらAQUILA Investigatorsは「AQUILA試験」において、高リスクくすぶり型多発性骨髄腫の治療では注意深い経過観察と比較して抗CD38モノクローナル抗体ダラツムマブ皮下注単剤療法が、活動性多発性骨髄腫への進行または死亡のリスクを有意に改善し、全生存率も良好で、予期せぬ安全性に関する懸念も認めないことを示した。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2024年12月9日号で報告された。

高リスクのくすぶり型多発性骨髄腫患者、ダラツムマブ vs.積極的経過観察(AQUILA)/ASH2024

 高リスクのくすぶり型骨髄腫(smoldering multiple myeloma:SMM)に対するダラツムマブ(DARA)導入治療の有用性が示された。  SMMでは治療介入せずに積極的経過観察が推奨されてきたが、症候性の多発性骨髄腫(MM)への進行リスクも懸念されることから、高リスクSMMに対する治療介入の可能性が示唆されている。  CD38標的モノクローナル抗体であるDARAは、再発/難治MM(R/R MM)への有用性が示されている。DARAが積極的経過観察と比較してSMMからMMへの進行を遅らせることができるかを検討した。第III相AQUILA試験の中間解析結果が第66回米国血液学会(ASH2024)で発表された。

「小児・AYA世代がん患者等の妊孕性温存に関する診療GL」第2版が発刊

 日本癌治療学会編『小児・AYA世代がん患者等の妊孕性温存に関する診療ガイドライン2024年12月改訂 第2版』が12月20日に発刊された。本書は、「小児、思春期・若年がん患者の妊孕性温存に関する診療ガイドライン 2017年版」をMinds診療ガイドライン作成マニュアル2020に準拠して、7年ぶりに全面改訂された。  2024年版は、女性生殖器、乳腺、泌尿器、小児、造血器、骨軟部、消化器、脳の8つの領域に、新たに肺、耳鼻咽喉・頭頸部、膠原病が加わり11領域をカバーしている。また、従来の性腺毒性分類は、2003年のASCOの分類表以降の国際的な報告を元に最新のJSCO分類として生まれ変わっている。

疾患の検出や発症予測、血液検査が一助に?

 定期健診で一般的に行われている血液検査の検体には、検査を受けた人の健康状態について現在医師が得ている情報よりも多くの情報が隠されているようだ。全血球計算(complete blood count;CBC)と呼ばれるルーチンで行われている血液検査が、心疾患や2型糖尿病、骨粗鬆症、腎疾患など数多くの疾患の検出や発症の予測に役立つ可能性のあることが新たな研究で示された。米マサチューセッツ総合病院の病理医であるJohn Higgins氏らによるこの研究は、「Nature」に12月11日掲載された。  CBCでは、全身を循環している血液中の赤血球、白血球、血小板数を測定する。Higgins氏は、「CBCは一般的な検査だ。われわれの研究では、CBCは完全に健康な人であっても個人差が大きく、より個別化されたプレシジョンメディシン(精密医療)のアプローチによって、その人の健康状態や疾患の実態をより詳細に把握できる可能性のあることが示された」と説明する。

英国の過去20年の新薬導入、公衆衛生への影響を評価/Lancet

 2000~20年における英国国民保健サービス(NHS)による新薬提供は、公衆衛生にもたらした利益より損失のほうが大きかった。英国・ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスのHuseyin Naci氏らが、後ろ向き研究の結果を報告した。英国では、国立医療技術評価機構(NICE)による新薬に関する推奨は、健康増進をもたらす可能性がある一方で、その資金を代替治療やサービスに利用できなくなるため、犠牲となる健康が生じる可能性がある。著者は、「今回の結果は、新薬から直接的な恩恵を受ける人々と、新薬への資源の再配分により健康を諦めることになる人々との間に、トレードオフが存在することを浮き彫りにしている」とまとめている。Lancet誌オンライン版2024年12月12日号掲載の報告。

おそらく後進国(資源の限られた国)における血友病治療の光となる新たな遺伝子治療(解説:長尾梓氏)

インドから新たな血友病に対する遺伝子治療の報告である。他の疾患では使われている(と聞いている)レンチウイルスを使った治療は血友病では初めての報告で、NEJM誌に掲載された当日に米国血液学会(ASHといって世界最大の血液学会です)での口頭発表・拍手喝采もあった。筆頭著者のAlok Srivastava氏は筆者の友人でもあり以前からこの活動を聞いていたが、とにかくすごいのはインドと米国の政府による研究資金支援で実施された臨床研究であって、製薬会社が関わっていない点である。彼はさまざまな血友病関連の学会などで役割を担っているのはもちろんのこと、AHAD-APというAPAC領域の血友病学会を数年前に立ち上げて、APACの患者のために尽力している(私もsteering committeeとして参加しています)。すごいバイタリティ!!

進行期低腫瘍量濾胞性リンパ腫の初回治療、watchful waiting対早期リツキシマブ(JCOG1411/FLORA)/ASH2024

 未治療の進行期低腫瘍量濾胞性リンパ腫(LTB-FL)では、診断後にすぐに治療を行わずに経過を診る、いわゆる無治療経過観察(watchful waiting、WW)が標準治療とされているが、高腫瘍量(HTB)への進行や組織学的形質転換といったリスクが懸念される。  一方、リツキシマブ単剤療法は、LTB-FLに対する初回治療の選択肢としてその有効性が示されているが、同剤を開始する最適な時期は明らかになっていない。そこで、未治療の進行期LTB-FL患者を対象に、WWに対する早期リツキシマブ導入の優越性を検証する無作為化第III相JCOG1411/FLORA試験が行われた。