血液内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:3

未治療CLLへの固定期間のアカラブルチニブ併用療法、PFSを改善/NEJM

 未治療の慢性リンパ性白血病(CLL)患者において、BTK阻害薬アカラブルチニブとBCL-2阻害薬ベネトクラクスの併用療法は、抗CD20抗体オビヌツズマブの追加有無にかかわらず、化学免疫療法と比較し無増悪生存期間(PFS)を有意に延長したことが、米国・ダナ・ファーバーがん研究所のJennifer R. Brown氏らAMPLIFY investigatorsが27ヵ国133施設で実施した第III相無作為化非盲検試験「AMPLIFY試験」で示された。未治療CLL患者において、アカラブルチニブ+ベネトクラクスの固定期間併用投与が、化学免疫療法と比べてPFSが優れるかどうかは不明であった。NEJM誌オンライン版2025年2月5日号掲載の報告。

移植不適格/移植延期の新規診断多発性骨髄腫、D-VRdがVRdより深い持続的なMRD反応(CEPHEUS)

 移植不適格の新規診断多発性骨髄腫(NDMM)患者または初期治療として移植予定のない(移植延期)患者を対象に、ダラツムマブ皮下投与+ボルテゾミブ+レナリドミド+ デキサメタゾン(D-VRd)をボルテゾミブ+レナリドミド+デキサメタゾン(VRd)と比較した無作為化第III相CEPHEUS試験において、D-VRdがより深い持続的な微小残存病変(MRD)反応をもたらすことが示された。米国・メモリアルスローンケタリングがんセンターのSaad Z. Usmani氏らがNature Medicine誌オンライン版2025年2月5日号に報告した。

コロナワクチン、免疫抑制患者への接種継続は必要か?/Lancet

 英国・NHS Blood and TransplantのLisa Mumford氏らは、英国の全国疾病登録を用いた前向きコホート研究において、免疫抑制状態にあるすべての人は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の予防戦略を継続的に受ける必要があることを示した。英国では、免疫が脆弱と考えられる人々に対し、年2回のCOVID-19ワクチンブースター接種が推奨されている。著者らは、3回以上のワクチン接種を受けた免疫抑制状態にある患者において、抗SARS-CoV-2スパイク蛋白IgG抗体(抗S抗体)と感染リスクおよび感染の重症度との関連を集団レベルで調査した。結果を踏まえて著者は、「大規模に実施可能な抗S抗体の評価は、免疫抑制状態にある人々のうち最もリスクの高い人々を特定可能で、さらなる個別化予防戦略のメカニズムを提供するものである」とまとめている。Lancet誌2025年1月25日号掲載の報告。

ワクチン接種後の免疫抑制療法患者のリスクを抗体の有無で評価(解説:栗原宏氏)

本研究は、免疫抑制患者におけるSARS-CoV-2スパイク抗体の有無が、感染および入院率にどのような影響を与えるかを評価する約2万人規模のコホート研究である。免疫抑制療法では、ワクチン接種後の免疫応答が低下する可能性があり、COVID-19感染リスクが高いと考えられる。英国の全国疾病登録データを用い、以下の3つの免疫抑制患者群において抗体の影響を評価した。1)固形臓器移植(SOT)2)まれな自己免疫性リウマチ疾患(RAIRD)3)リンパ系悪性腫瘍(lymphoid malignancies)

AMLへのベネトクラクス、ex vivoの感受性が奏効と生存延長を予測/Blood

 急性骨髄性白血病(AML)、とくに再発/難治性AMLにおいて、ベネトクラクスが奏効する可能性が高い患者を特定することは難しい。今回、フィンランド・ヘルシンキ大学のSari Kytola氏らによる前向き多施設共同第II相試験(VenEx)において、ex vivoベネトクラクス感受性は治療反応性と強く相関し、生存期間延長を予測することが示され、再発/難治性AMLや2次性AMLでベネトクラクス+アザシチジン併用療法の対象となる患者選択に有益であることが示唆された。Blood誌2025年1月23日号に掲載。

骨髄線維症、移植後30日目の変異消失が予後に関連/NEJM

 骨髄線維症患者において、移植後30日目におけるドライバー遺伝子変異の消失は、その種類に関係なく再発および生存に良好な影響を及ぼすことを、ドイツ・ハンブルグ・ エッペンドルフ大学医療センターのNico Gagelmann氏らが明らかにした。同種造血幹細胞移植は骨髄線維症に対する唯一の治癒的治療法である。この疾患の病態生理学的特徴はドライバー遺伝子変異であるが、移植後の変異の消失の影響は不明であった。NEJM誌2025年1月9日号掲載の報告。  研究グループは、2000~23年にハンブルク・エッペンドルフ大学医療センターにて初回移植を受けた原発性骨髄線維症または二次性骨髄線維症(真性多血症または本態性血小板血症に続発)の患者324例を対象に、移植前および移植後30日目、100日目、180日目にドライバー遺伝子変異をモニタリングし、変異の消失と再発および生存に及ぼす影響を検討した。

イサツキシマブの新規システムによる皮下投与、多発性骨髄腫治療で静注に非劣性(IRAKLIA)/サノフィ

 再発・難治性多発性骨髄腫患者を対象に、ポマリドミド・デキサメタゾン併用療法(Pd)に追加してイサツキシマブ(商品名:サークリサ)をオン・ボディ・デリバリー・システム(OBDS)用いて皮下投与する方法と、同剤を静注する方法を比較した無作為化非盲検第III相IRAKLIA試験において、複合主要評価項目である客観的奏効率(ORR)などを達成し、皮下投与の静注に対する非劣性が示された。  IRAKLIA試験は、再発・難治性多発性骨髄腫患者を対象に、Pdレジメンにイサツキシマブの固定用量をOBDSで皮下投与を追加する集団と、体重換算用量を静注追加する集団を比較した無作為化非盲検ピボタル第III相試験。

新素材PICC、デバイス不具合を改善するか/NEJM

 末梢挿入型中心静脈カテーテル(PICC)留置のために紹介された患者では、標準的なポリウレタンPICCと比較して新素材の疎水性PICCおよびクロルヘキシジンPICCはいずれも、非感染性または感染性合併症によるデバイス不具合のリスクが低減しなかったことが、オーストラリア・クイーンズランド大学のAmanda J. Ullman氏らが実施した「PICNIC試験」で示された。研究の詳細は、NEJM誌2025年1月9日号で報告された。  PICNIC試験は、標準的なポリウレタンPICCと比較して、2つの技術革新(疎水性PICC、クロルヘキシジンPICC)を用いると合併症によるデバイスの不具合のリスクが低減するとの仮説の検証を目的とする、実践的な無作為化対照比較優越性試験であり、2019年9月~2022年12月にオーストラリア・ブリスベンの3つの病院(成人施設2、小児施設1)で参加者の適格性の評価を行った(オーストラリア国立保健医療研究評議会[NHMRC]の助成を受けた)。

再発・難治性MMへのtalquetamab+teclistamab、第Ib-II相で有望(RedirecTT-1)/NEJM

 イスラエル・テルアビブ・ソウラスキー医療センターのYael C. Cohen氏らRedirecTT-1 Investigators and Study Groupが、再発・難治性の多発性骨髄腫に対するtalquetamab+teclistamab併用療法の安全性と有効性を評価するRedirecTT-1試験の第Ib-II相の結果を報告した。Grade3/4の感染症の発現頻度がそれぞれの単剤療法と比べて高率であったが、すべての用量群において高い割合の患者で奏効が観察され、推奨された第II相レジメンでは持続的な奏効が示された。talquetamab(抗Gタンパク質共役受容体ファミリーCグループ5メンバーD:GPRC5D)およびteclistamab(抗B細胞成熟抗原)は、CD3を標的としT細胞を活性化する二重特異性抗体薬であり、3種類の標準的な前治療歴を有する再発または難治性の多発性骨髄腫の治療薬として承認されている(本邦では承認申請中)。NEJM誌2025年1月9日号掲載の報告。

高腫瘍量濾胞性リンパ腫1次治療に対するモスネツズマブ皮下注の評価(MITHIC-FL1)/ASH2024

 高腫瘍量濾胞性リンパ腫(HTB-FL)の1次治療に対する、CD20/CD3二重特異性抗体モスネツズマブ皮下注射の多施設第II相試験の結果が第66回米国血液学会(ASH2024)で発表された。  初発進行期のHTB-FLでは、抗CD20抗体併用化学療法が行われる。一方、近年の研究で、FLは深い免疫抑制状態を特徴とし、腫瘍内のT細胞の機能不全が臨床経過に影響するとの報告もある。そのような中、CD3陽性T細胞に、CD20陽性FL細胞を認識させ排除させるCD20/CD3二重特異性抗体が、FL治療の鍵を握る選択肢として期待される。