血液内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:4

血友病AへのMim8予防投与が既存治療を上回る出血抑制/NEJM

 Mim8(denecimig)は、活性化第VIIIa因子の機能を模倣する二重特異性抗体で、第VIII因子インヒビターの有無にかかわらず、血友病A患者の出血を予防する目的で開発された。イタリア・ヒュマニタス大学のMaria Elisa Mancuso氏らは「FRONTIER2試験」において、Mim8の予防投与はオンデマンド治療や血液凝固因子濃縮製剤の予防投与と比較して、治療を必要とする出血イベントの年間発生率を有意に抑制し、血栓塞栓イベントや中和抗体の発現はみられないことを示した。研究の成果は、NEJM誌2026年4月30日号で報告された。

新規診断の多発性骨髄腫患者と医師のコミュニケーションの実態~国内アンケート調査

 多発性骨髄腫の治療選択肢が拡大する中、協働意思決定(SDM)の重要性が増しており、医師と患者のコミュニケーションが重要となる。今回、近畿大学奈良病院の花本 均氏らが実臨床における医師と患者のコミュニケーションの実態についてアンケート調査した結果、治療開始時および病状安定時において、医師と患者の認識に顕著な乖離があることが示された。eJHaem誌2026年4月26日号に掲載。  本研究は、造血幹細胞移植を受けていない新規に診断された多発性骨髄腫患者220例と、多発性骨髄腫を診療する血液専門医120人を対象とした観察調査研究(2024年9〜11月実施)である。患者は自己記入式の34項目の調査票(オンラインまたは紙媒体)に回答し、血液専門医は、自己記入式の18項目の調査票にオンラインで回答した。治療開始時および病状安定時における、患者と医師間のコミュニケーションの状況、患者の治療に対する期待、価値観、感情、知識、治療に関する意思決定の希望に関する情報をまとめた。

免疫介在性炎症性疾患患者のがんリスク、要因は炎症か

 全身性エリテマトーデス(SLE)、関節リウマチ(RA)、乾癬などの免疫介在性炎症性疾患(IMID)患者はがんリスクが高いことが知られているが、リスクが高いのはIMID診断後1年間であり、抗炎症薬による治療を開始するとそのリスクは経時的に低下する可能性が、新たな研究で示された。ガッルーラ地域保健局(イタリア)リウマチ科部長のDaniela Marotto氏らによるこの研究は、「Cancers」に3月23日掲載された。Marotto氏は、「初期段階でがんリスクがピークに達するということは、治療よりも慢性炎症そのものががん発症の重要な要因であることを示唆している」と述べている。

多発性骨髄腫のフレイル患者に対する抗CD38抗体3剤併用、実臨床での有用性

 多発性骨髄腫のフレイル患者に対する抗CD38モノクローナル抗体を含む3剤併用療法については、主要試験のサブ解析で有効かつ安全であることが示されているが、実臨床ではフレイル患者への投与を避けることは少なくない。今回、国立病院機構渋川医療センターの入内島 裕乃氏らが後ろ向き解析を実施した結果、適切な管理を実施することでフレイル患者においても非フレイル患者と同様の治療効果と安全性が得られることが示された。Cancers誌2026年3月24日号に掲載。  本研究は、2017~24年に同センターにおいて抗CD38抗体(ダラツムマブまたはイサツキシマブ)を含む3剤併用療法を受けた多発性骨髄腫患者を対象とした後ろ向き観察研究である。

造血細胞移植におけるEmergency/日本造血・免疫細胞療法学会

 造血細胞移植は、急性白血病や悪性リンパ腫などに対して根治を目指しうる治療法である。一方で、移植前処置や強力な免疫抑制療法、長期にわたる好中球減少状態などを背景に、早急な対応を講じなければ不可逆的な臓器障害を来し、致命的となりうる重篤な病態(Emergency)が急速に進行することもある。そのため移植医療の現場では、数日単位で生命予後が左右されるEmergencyに備える姿勢が不可欠であり、事態への即応力が強く求められることになる。

移植患者に対するワクチン接種/日本造血・免疫細胞療法学会

 造血幹細胞移植後の患者において、ワクチン接種は感染症予防のための重要な手段となる。しかし、免疫再構築の個別性やワクチン免疫原性の低下、さらには費用・制度面の課題などにより、実臨床における実装状況には施設間差が見られる。  2026年2月27日~3月1日に開催された第48回日本造血・免疫細胞療法学会総会では、「移植患者に対するワクチン接種」をテーマとしたシンポジウムが企画され、国内実態調査、優先度の高い予防接種の科学的根拠、実臨床における運用体制という3つの視点から、移植後ワクチン接種の現状と課題が提示された。

CD19-CAR-T細胞療法/日本造血・免疫細胞療法学会

 CD19キメラ抗原受容体T(CD19-CAR-T)細胞療法は、再発・難治性B細胞性悪性腫瘍に対する革新的な細胞免疫療法であり、急性リンパ芽球性白血病(ALL)や大細胞型B細胞リンパ腫(LBCL)を中心に臨床実装が進んでいる。  2026年2月27日~3月1日に開催された第48回日本造血・免疫細胞療法学会総会では、「CD19-CAR-T細胞療法」をテーマとしたシンポジウムが開催され、ALLやLBCLに対する治療の進化と課題、さらに治療アクセスの課題などを含めた包括的な議論が展開された。CD19-CAR-T細胞療法はすでに重要な治療選択肢として位置付けられている中で、その治療最適化に伴い、治療戦略の再設計や医療提供体制の整備などが同時に求められる段階に入っていることが示された。

免疫性血小板減少症、抗CD38抗体mezagitamabが有望/NEJM

 持続性または慢性の免疫性血小板減少症(ITP)を有する患者において、mezagitamabによる治療はプラセボと比較して、血小板数の増加をもたらし、安全性プロファイルは類似していたことを、米国・マサチューセッツ総合病院のDavid J. Kuter氏らMezagitamab ITP Phase 2 Trial Investigatorsが第II相試験の結果で報告した。ITPは血小板破壊の亢進と血小板産生の抑制によって特徴付けられる自己免疫疾患であり、出血リスクの増加とQOLの低下を伴う。利用可能な治療法はあるが、約20%において十分な血小板数の維持が認められない。mezagitamabは、形質細胞、形質芽細胞およびナチュラルキラー細胞などをターゲットとする抗CD38抗体である。

がん薬物療法における皮下注射剤の可能性/日本臨床腫瘍学会

 近年、がん薬物療法領域での皮下注射剤の活用が広がっている。2026年度診療報酬改定では外来腫瘍化学療法診療料への皮下注製剤の加算も認められる見通しとなった。第23回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2026)では、腫瘍内科医、薬剤師、緩和ケア医、看護師、制度申請者の立場から、皮下注射の現状と課題が多角的に論じられた。  大阪大学の吉波 哲大氏は、腫瘍内科医の立場からがん薬物療法における「時間毒性」の概念を提示した。がん薬物療法においては、骨髄抑制や悪心などの従来型有害事象に加え、経済毒性が近年注目されている。吉波氏は見落とされやすいもう1つの側面として「時間毒性」の重要性を訴える。

高齢者のがん薬物療法GLの改訂ポイント【総論・造血器】/日本臨床腫瘍学会

 『高齢者のがん薬物療法ガイドライン 改訂第2版』が2026年3月25日に発刊され、第23回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2026)のシンポジウムで全17項目のクリニカルクエスチョン(CQ)が解説された。  本ガイドラインは、2019年の初版以降に蓄積されたエビデンスを踏まえ改訂された。「Minds診療ガイドライン作成マニュアル2020」に準拠し、新規CQの追加や対象領域の拡張を行った。今回の改訂では新たに「Evidence to Decision(EtD)フレームワーク」が導入された点が大きな特徴である。これにより、エビデンスの確実性だけでなく、益と害のバランス、患者の価値観、実行可能性など多面的な要素を考慮した推奨決定のプロセスが可視化された。