血液内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:6

未治療MCL、免疫化学療法+イブルチニブ±ASCT(TRIANGLE)/Lancet

 未治療・65歳以下のマントル細胞リンパ腫(MCL)患者において、自家造血幹細胞移植(ASCT)+免疫化学療法へのイブルチニブ追加はASCT+免疫化学療法に対する優越性を示したが、ASCT後のイブルチニブの投与継続により有害事象が増加した。ドイツ・ミュンヘン大学病院のMartin Dreyling氏らEuropean Mantle Cell Lymphoma Networkが欧州13ヵ国およびイスラエルの165施設で実施した無作為化非盲検第III相優越性試験「TRIANGLE試験」の結果を報告した。結果を踏まえて著者は、「導入療法および維持療法にイブルチニブを追加することは、65歳以下のMCL患者の1次治療の一部とすべきで、イブルチニブを含むレジメンにASCTを追加するかどうかはまだ決定されていない」とまとめている。Lancet誌オンライン版2024年5月2日号掲載の報告。

免疫不全患者のCOVID-19長期罹患がウイルス変異の温床に

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に1年半にわたって罹患していた免疫不全の男性患者が、ウイルスの新たな変異の温床となっていたとする研究結果が報告された。さらに悪いことに、確認された変異のいくつかは、新型コロナウイルスのスパイクタンパク質に生じていた。これは、ウイルスが現行のワクチンを回避するために進化していることを意味する。アムステルダム大学医療センター(オランダ)のMagda Vergouwe氏らによるこの研究の詳細は、欧州臨床微生物・感染症学会議(ECCMID 2024、4月27〜30日、スペイン・バルセロナ)で発表された。

先天性TTP、ADAMTS13の予防的投与で症状発現を抑制/NEJM

 先天性血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)患者では、遺伝子組み換えADAMTS13の予防的投与後のADAMTS13活性が正常値である101%を達成し、有害事象の大部分は軽度~中等度で、TTPイベントや症状の発現はまれであることが、英国・ロンドン大学病院のMarie Scully氏らの検討で示された。研究の成果は、NEJM誌2024年5月2日号に掲載された。  本研究は、欧州連合(EU)、米国、英国、日本の34施設で実施した第III相非盲検無作為化2期クロスオーバー試験であり、今回の中間解析では、2017年10月~2022年8月に登録した患者の結果が報告された(Takeda Development Center AmericasとBaxalta Innovationsの助成を受けた)。

CAR-T細胞療法、CD7陽性造血器腫瘍のハプロ一致HSCTの橋渡しに有望/NEJM

 再発・難治性の造血器腫瘍患者の治療において、ハプロタイプ一致の同種造血幹細胞移植(HSCT)への橋渡しとしてのキメラ抗原受容体(CAR)-T細胞療法は、安全かつ有効で寛解を達成し、有害事象は重篤だが可逆的であり、従来の同種HSCTが適応とならないCD7陽性腫瘍の患者に対して実行可能な治療法となる可能性があることが、中国・浙江大学医学院のYongxian Hu氏らの検討で示された。研究の成果は、NEJM誌2024年4月25日号に掲載された。

ペット型ロボットが血液内科の無菌室で活躍

 造血幹細胞移植を受ける血液がん患者は、治療に伴い、身体的にも心理的にも大きな痛みを経験する。新たな研究により、患者が血液内科の無菌室で治療・療養している間、犬型ロボットの「aibo」と触れ合うことで、心理的ストレスが軽減されることが明らかとなった。東京医科大学血液内科学分野の研究チームによる研究結果であり、「Scientific Reports」に2月27日掲載された。  強い抗がん剤を使用する血液がん患者は、感染症を予防するため無菌室に入室する。閉鎖的な空間で長期療養を要することから、一般病棟の患者と比べて不眠や抑うつが多く生じる。近年、慢性疾患患者の精神的ケアの一つとしてセラピードッグなどが導入されつつあるが、免疫力が低下している血液がん患者には適していない。そこで著者らは、人工知能(AI)を搭載したソニーグループ株式会社の犬型ロボット「aibo」を導入し、患者の心理面に及ぼす効果を検証した。

迅速承認の抗がん剤の臨床的有用性/JAMA

 米国では、食品医薬品局(FDA)の迅速承認を受けたがん治療薬の多くは、承認から5年以内に全生存期間(OS)または生活の質(QOL)に関して有益性を示せず、確認試験で臨床的有用性を示したのは半数に満たないことが、米国・ハーバード大学医学大学院のIan T. T. Liu氏らの調査で明らかとなった。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2024年4月7日号で報告された。  研究グループは、FDAによる迅速承認を受けたがん治療薬が最終的に臨床的有用性を示すかを確認し、通常承認への転換の根拠を評価する目的でコホート研究を行った(Arnold Ventures and the Commonwealth Fundの助成を受けた)。  迅速承認は、満たされない医療ニーズのある重篤な疾患の特定の治療薬について、代替評価項目の改善に基づいて承認を許可する優先審査制度。迅速承認を受けた医薬品の製造企業は、有効性を確認するために臨床評価項目の評価を行う承認後臨床試験の実施を求められる。

PNHに対するC5阻害薬と併用する世界初の経口薬、ボイデヤ発売/アレクシオン

 アレクシオンファーマは2024年4月17日、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)の治療薬としてボイデヤ(一般名:ダニコパン)を同日より発売開始したことを発表した。  PNHは、血管内溶血として知られる血管内の赤血球破壊と、白血球および血小板の活性化を特徴とするまれで重度の血液疾患であり、血栓症を引き起こし、臓器障害や早期死亡に至る可能性がある。C5阻害薬のユルトミリス(一般名:ラブリズマブ[遺伝子組換え])またはソリリス(一般名:エクリズマブ[遺伝子組換え])は、補体C5を阻害して終末補体を抑制することで症状および合併症を軽減し、PNH患者の生存率への影響が期待できる薬剤である。

国内初の造血器腫瘍遺伝子パネル検査を申請/大塚

 大塚製薬、国立がん研究センター、九州大学、京都大学、名古屋医療センター、東京大学医科学研究所附属先端医療研究センター、慶應義塾大学医学部は2024年3月29日、共同で設計・開発してきた造血器腫瘍遺伝子パネル検査について、国内での製造販売承認申請を行ったと発表した。  がん遺伝子パネル検査は数種類の性hんが固形腫瘍に保険適用されているが、造血器腫瘍では同様の製品はない。そのため、造血器腫瘍では保険診療下のゲノム医療が行われていない。

抗BCMA/CD3二重特異性抗体エルラナタマブ、再発・難治多発性骨髄腫に承認/ファイザー

 ファイザーは2024年3月26日、抗BCMA/CD3二重特異性抗体エルラナタマブ(商品名:エルレフィオ)について、「再発又は難治性の多発性骨髄腫(標準的な治療が困難な場合に限る)」に対する治療薬として、国内における製造販売承認を取得した。今回の承認は、国際共同第II相試験(MagnetisMM-3試験)および国内第I相試験(MagnetisMM-2試験)の結果等に基づくもの。  再発・難治多発性骨髄腫に対する治療では、免疫調節薬、プロテアソーム阻害薬および抗CD38モノクローナル抗体の3クラスの薬剤がキードラッグとして用いられる。

イノツズマブ オゾガマイシン、小児CD22陽性急性リンパ性白血病に適応追加/ファイザー

 ファイザーは2024年3月26日、イノツズマブ オゾガマイシン(商品名:ベスポンサ)について、小児の再発又は難治性のCD22陽性急性リンパ性白血病(ALL)に対する国内における医薬品製造販売承認事項一部変更承認を取得した。今回の承認は、小児の再発・難治ALLを対象とした2つの医師主導治験、国内第I相試験(INO-Ped-ALL-1試験)および海外第I/II相試験(TCC-059 試験)の結果に基づいている。