血液内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:6

JAK阻害薬ルキソリチニブ、造血幹細胞移植後のGVHDに承認取得/ノバルティス

 ノバルティス ファーマは2023年8月23日、JAK阻害薬ルキソリチニブ(商品名:ジャカビ)について、「造血幹細胞移植後の移植片対宿主病(ステロイド剤の投与で効果不十分な場合)」の効能又は効果の追加承認を取得した。  移植片対宿主病(GVHD)は、同種造血幹細胞移植で多く認められる移植合併症である。ドナー由来の免疫細胞が、移植を受けた宿主の正常な組織を攻撃することにより引き起こされる。GVHDは急性GVHDと慢性GVHDに分けられる。

飲酒で発症リスクが上がるがん、下がるがん~女性80万人の前向き研究

 アルコール摂取は一部のがん発症リスクの増加や減少に関連していると考えられている。今回、英国・オックスフォード大学のSarah Floud氏らが、前向き研究であるUK Million Women Studyで調査したところ、アルコール摂取量が増えると、上部気道・消化管がん、乳がん、大腸がん、膵臓がんのリスクが増加し、甲状腺がん、非ホジキンリンパ腫、腎細胞がん、多発性骨髄腫のリスクが低下する可能性が示された。また、この関連は、上部気道・消化器がんを除いて、喫煙、BMI、更年期ホルモン療法による変化はなかった。BMC Cancer誌2023年8月16日号に掲載。

悪性リンパ腫のアントラサイクリンによる心機能障害、アトルバスタチンが抑制/JAMA

 アントラサイクリン系薬剤による治療が予定されているリンパ腫患者において、アトルバスタチンの投与はプラセボと比較して、アントラサイクリン系薬剤関連の心機能障害を有意に抑制し、心不全の発生には有意な差がないことが、米国・マサチューセッツ総合病院のTomas G. Neilan氏らが実施した「STOP-CA試験」で示された。研究の成果は、JAMA誌2023年8月8日号で報告された。  STOP-CA試験は、米国とカナダの9つの施設が参加した二重盲検無作為化プラセボ対照臨床試験であり、2017年1月~2021年9月の期間に患者を登録し、2022年10月に追跡調査を終了した(米国国立心肺血液研究所[NHLBI]の助成を受けた)。

長時間作用型の抗HIV薬は患者を問わず有効な可能性

 HIV(ヒト免疫不全ウイルス)感染症患者では、30年近く前から、抗レトロウイルス薬の毎日の服用が、AIDS(後天性免疫不全症候群)発症を抑える上で非常に効果的な方法となっている。しかし患者の中には、薬物中毒や精神疾患などの理由で毎日の服薬が困難な者もいる。こうした中、新たな研究で、長時間作用型の抗レトロウイルス薬の注射により、ほぼ全ての患者が完全な防御を得られる可能性が示された。米カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)ベイエリア・エイズ研究センター(CFAR)のMonica Gandhi氏らによるこの研究結果は、「Annals of Internal Medicine」に7月4日掲載された。

途上国で最強、最適な治療(解説:岡慎一氏)

ケニアで行われた臨床試験である。途上国では2000年以降、非核酸系逆転写酵素阻害薬(NNRTI)をKey drugとして、核酸系逆転写酵素阻害薬(NRTI)2剤との3剤を合剤にしたGeneric薬が、治療の中心として用いられてきた。もちろん、これにより多くの命が救われた。しかし、NNRTIを中心とする治療は、治療に失敗した場合に薬剤耐性ウイルスが出やすい一方、薬の種類が少ないため、2回目以降の治療の選択肢は限られていた。その後、プロテアーゼ阻害薬(PI)がKey drugとなってから治療失敗による薬剤耐性の頻度はやや減ったが、PIは薬剤の相互作用が多く、脂質異常など副作用も多いため、すでに先進国ではあまり使用されていない。

TTP診療ガイド2023改訂のポイント~Minds方式の診療ガイドラインを視野に

 「血液凝固異常症等に関する研究班」TTPグループの専門家によるコンセンサスとして2017年に作成され、2020年に部分改訂された、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)の診療ガイドライン、『血栓性血小板減少性紫斑病診療ガイド2023』が7月に公開された。2023年版では、Minds方式の診療ガイドラインを視野に、リツキシマブに対してclinical question(CQ)が設定され、エビデンスや推奨が掲載された。 ・リツキシマブの推奨内容の追加・変更とCQの掲載 ・カプラシズマブが後天性TTP治療の第一選択に ・抗血小板薬、FFP輸注に関する記述を追加 ・FrenchスコアとPLASMICスコアに関する記述を追加 ・増悪因子に関する記述を追加

ガスコンロの使用で血液がんリスクを高める化学物質が排出

 ガスコンロの使用によって室内の空気中のベンゼン濃度が上昇する可能性のあることが、米スタンフォード大学ドア・サステナビリティ学部のRobert Jackson氏らの研究で示された。ベンゼンは、白血病などの血液がんのリスク上昇に関連することが指摘されている化学物質だ。この研究からは、ガスコンロから排出されるベンゼンが家中に広がり、何時間も漂い続ける可能性も示唆された。この研究結果は、「Environmental Science & Technology」に6月15日掲載された。

イノツズマブ+ブリナツモマブ併用mini-Hyper-CVD療法で再発ALLの生存率改善

 mini-Hyper-CVD療法とイノツズマブの併用は、再発難治性急性リンパ性白血病(ALL)患者において有効性を示し、ブリナツモマブ追加後はさらに生存率が向上したことが、米国・テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのHagop Kantarjian氏らによる研究で明らかになった。Journal of Hematology & Oncology誌2023年5月2日号の報告。  成人ALL治療は近年、大きくその様相が変化している。CD19表現抗体を標的としたブリナツモマブやCD22を標的とした抗体薬物複合体のイノツズマブ オゾガマイシンや各種CAR-T細胞療法など、新しい治療法選択肢が登場したためである。  再発難治性ALLに対するブリナツモマブとイノツズマブ単剤の有効性は、すでに確認されているとおりである。今回は、イノツズマブを用いた低用量のmini-Hyper-CVD療法に、ブリナツモマブを追加することで、化学療法による負担を減らすことができないかを検討した。

真性多血症に新技術の治療薬が登場/ファーマエッセンシアジャパン

 真性多血症(PV)の治療薬ロペグインターフェロンアルファ-2b(商品名:ベスレミ)の発売に合わせ、ファーマエッセンシアジャパンは「真性多血症の治療における新たな選択肢」と題して、都内でメディアセミナーを開催した。  ロペグインターフェロンアルファ-2bは、PVの治療薬(既存治療が効果不十分または不適当な場合に限る)としては初のインターフェロン製剤であり、2023年年3月27日に製造販売承認を取得、5月24日に薬価収載、6月1日より販売を開始している。  セミナーでは、同社の概要や今後の展開のほか、同社のコアテクノロジーである“部位選択的モノペグ化技術”の概要の説明のほか、専門医によるPVのレクチャーが行われた。

HIVの2次治療、ドルテグラビルへの切り替えは可能か?/NEJM

 既治療のヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染患者で、薬剤耐性変異の有無に関するデータがなく、ウイルス抑制下にある患者において、リトナビルブーストプロテアーゼ阻害薬(PI)ベースのレジメンからドルテグラビルへの切り替えは、リトナビルブーストPIを含むレジメンに対して非劣性であることが、ケニア・ナイロビ大学のLoice A. Ombajo氏らが同国4施設で実施した多施設共同無作為化非盲検試験の結果で示された。遺伝子型の情報がなく、リトナビルブーストPIを含む2次治療でウイルスが抑制されているHIV感染患者において、ドルテグラビルへの切り替えに関するデータは限られていた。NEJM誌2023年6月22日号掲載の報告。